[CML 028878] NYTimes 竹富報告「歴史の書き換えを狙う日本の指導者たち」‏2

masuda miyako masuda_miyako1 at hotmail.com
2014年 1月 11日 (土) 22:26:19 JST


竹富町は学生・生徒の学習戦争における爆心地   さらに今回の検定基準の改訂案では曖昧な表現が使用されている。これは、さらなる拡大解釈を可能にする怖れがあると、教育関係者たちは懸念している。   これらの改革は国家主義者たちが何年にもわたり試みてきたものであり、安倍氏自身も長期にわたり支援してきている。彼らは教科書から日本の戦時の行動のネガティブな記述を削除しようとしてきた。こうした教科書の改訂に反対する者たちは、彼らが新しい戦略を身につけるようになってきたと指摘する。それは国政レベルでは何度も失敗してきた教科書に関する改革を、地方行政レベルで強行しようということなのだ。   八つの小島で構成される町、竹富町は水牛の曳く牛車と穏やかな珊瑚礁で有名だが、この対決では最大の爆発地点(グランド・ゼロ)になりつつある。  問題は2年前にさかのぼる。隣接する石垣島で保守派市長が選出され、彼が新たに任命した地元教育委員会の教育長が、右派系出版社による社会科教科書を中学3年用に採用した。教科書採択では共同採択でこの地区に所属している竹富町は、即座にこの教科書の採択を拒否した。教師たちの言うところでは、この教科書はあまりにも歴史修正主義的で、反戦平和の日本国憲法は、日本を弱国としておきたい連合国占領者たちによって押付けられた外来文書だとする描写もある。    安倍首相は、戦後策定の日本国憲法の全面改訂を政治家としての生涯の目標としている。   竹富町の教育委員会は、今年の3年生32名は現在使用中の教科書を使い続けることを議決した。この教科書は、現行憲法とそれが擁護する平和メッセージを価値あるものとして称えている。    当初、政府はこの静かな反乱を無視していた。しかし、安倍氏の自民党政府が2012年に復権していらい、評論家たちの見るところ、彼の政府構成員たちは、教育のなかにある異常な左翼的傾向と彼らがみなすものに対するゆり戻しの事例として、竹富町をみせしめにする決意を固めていったように見える。   これまでのところ、竹富町は採択地区の申し合わせに従えという中央政府の要求を拒否している。竹富町の慶田盛安三教育長は、自分の世代が苦い体験から学んだ戦争を憎むこころを、保守派の教科書では子供たちに教えることはできない、と言う。沖縄戦では、日本軍兵士からマラリヤの巣窟であるジャングルへの逃避行を強制され、何百人という竹富町の人々が死んだ。   72歳の慶田盛氏は、マラリヤの高熱で震えながら死ぬ級友を看取ったことを覚えており、「私たちには、未来の世代に戦争の恐ろしさを教える義務がある」と語る。   慶田盛氏と地元教育者たちは、安倍政権の右派メンバーが象徴的な政治上の勝利をあげようとして、長らく反戦平和の拠点となってきた沖縄県内の小さな一角にすぎない竹富町をターゲットにしていると言う。与党のメンバーは竹富町は採択地区の決定に従うことを拒否し法律に違反しており、左翼の教育組合に率いられた竹富町教育委員会こそがイデオロギー色の強い政策を押し付けていると反論している。   「これは軍国主義への回帰ではなく、アメリカ合衆国やその他の国々では当たり前の愛国心を教えるにすぎません。」と与党の国会議員、義家弘介氏は述べた。   各自治体の教育委員会の最終的決定権者を市長など首長たちにする改革案は、批評家たちに言わせると、竹富町を屈服させるためのもくろみのひとつだが、さらに大きは政治的計画と評論家が見ている制度にも効果を発揮する。地元指導者の首長たちを組織的に動かせば、現在までは不振つづきの国家主義的教科書を、国家主義者たちによって採択できる状況に変えられる、と彼らは言う。   文科省によれば、この地区が選んだ保守派の出版社である育鵬社の教科書は中学1年生から3年生までが全国で使用する250万部の歴史・社会教科書のわずか4%にすぎない。対照的に、竹富町が使用する反戦平和の教科書の出版社、東京書籍は、全国で使用される学校教科書の半数以上を供給している。 沖縄県教職員組合の前委員長、大浜敏夫氏は「保守党員たちは竹富町を、他の地区に育鵬社教科書を押し付ける際のマニュアルとして使いたいのだ」と述べた。    竹富町教育長・慶田盛氏は、町は政府との長引く対決をやり抜くには資力など十分ではないと言ったが、彼は屈服はしないと誓った。 「なぜ彼らは僕たちを放っておけないのだろう」と彼は言う。「自分たちの地域の子供たちに平和の価値を教えたいだけなのに」と。  <補足説明>  (文責・高嶋伸欣)  安倍首相は、靖国参拝を公約にすることで自民党総裁に当選し、さらに総選挙や参議院議員選挙でも同じ公約を掲げることで保守派の支援を得て、現在の強固な政治的態勢を確立できた。しかし、国際的な状況から4月の春の例大祭では靖国神社参拝には踏み切れなかった。そのため党内外の保守勢力から「裏切り」とまで責め立てられ事態になった。その不満をなだめるために、ほぼ同じ顔ぶれの党内勢力が以前から要求していた「4・28主権回復記念式典」を政府主催で突如実施するということにした。しかし、沖縄側から予想外の反発を招き、天皇・皇后は出席するだけの晒し者にしたことで、保守派からも批判される始末となった。   その後、靖国参拝は8・15でも実行できなかった。また秋の例大祭でも実行は難しいとの見通しだった。このため、党内外の保守派の「裏切り」批判は強まり続けていた。そこで、安倍首相はさらなる「なだめ策」に踏み切る必要に迫られていた。そこで浮上してきたのが、4.28式典の場合と同様に、ほぼ同じ顔ぶれの議員が揃っている教育再生実行本部による歴史修正主義の教科書「改革」公約の実施だった。  安倍首相自身も第一次政権で教育基本法を全面改定した実績を誇る意識を持ち続けているので、教育再生実行政策の遂行に積極的であったし、それが保守派からの批判解消に役立つのであればなおさら好都合と判断した、と考えられる。それに、教育への政治的介入の強化以外には、保守派による「裏切り」批判をなだめる効果的な方策は、浮かばない状況だった。そのことは、本来は2015年度の高校歴史教科書の検定に間に合わせれば良いはずの検定基準見直しを、2014年度の中学教科書検定から適用するとして、強引にことを進めている不自然によっても裏付けられている。    このような無理を重ねていたものの、安倍首相は12月26日に靖国神社参拝を実行した。その結果、圧力を加えていた保守派や安倍首相の予想を超えた批判の嵐に、安倍政権は晒されている。その一方で、竹富町は不当な圧力に屈しない存在として高く評価され、国際的にも注目される存在であることを、NYタイムスが広く世界中に知らせることになった。 この記事は、人口4000人の小自治体さえも説得、屈服させられない程に安倍政権の歴史修正主義による政策が歪んだものであることを、描きだしている。 		 	   		  


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