[CML 029878] 高知新聞社説:【エネ計画政府案】こんな欠陥だらけでは…ほか

uchitomi makoto muchitomi at hotmail.com
2014年 2月 26日 (水) 10:09:38 JST


京都新聞・社説

今を生きる考える  再生エネ導入加速させたい
http://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/20140224_3.html

もっとスピード出して マンガ・岡本 治 

 「太陽が輝く限り、希望もまた輝く」。18世紀ドイツの国民的詩人シラーは、そんな格言を残した。人生の挫折を乗り越える力を与えてくれる言葉だが、地球規模のエネルギー・環境の問題に直面する現代では、文字通り「太陽」が人類の希望とさえいえる。

 化石燃料の消費を抑え、地球温暖化防止の鍵と期待される再生可能エネルギーの普及が、日本で急速に進んでいる。発電した電気を有利な価格で買い取るよう電力会社に義務付けた国の「固定価格買い取り制度」(FIT)が大きな追い風となっている。

 FITは2012年7月にスタートした。その結果、太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスなどの設備容量は、制度開始前の2060万キロワットから、1年で367万キロワット、約18%も増えた。

 その中心は太陽光で、全体の導入量の95%を占める。米民間調査会社によると、13年の日本の太陽光発電導入量は、ドイツ、中国、米国を抜いてトップに躍り出た。

 「メガソーラー」に代表される大規模発電の導入量が、住宅の屋根に取り付ける量を大きく上回った。太陽光発電には大きな初期投資が必要だが、有利な買い取り価格が企業参入を後押しした。

耕作放棄地に太陽光

 ただ、飛躍的な増加にもかかわらず、電力供給に占める再生可能エネルギーの割合は1・6%(12年度)。原発を肩代わりするにはまだまだ力不足で、導入を一層加速させていく必要がある。

 行政の動きも活発化している。

 京都市は20年度までに再生可能エネルギーの3倍増を目指す。新年度から地域主導の太陽光や小水力の活用を促進するため、コーディネーター派遣制度を創設する。

 京丹後市は直接、太陽光発電所の運営に乗り出す。住宅300戸分に相当する930キロワットの設備で今春から売電を始める。

 高齢化が進み、営農継続が厳しくなっている府北部などでは、耕作放棄地に太陽光パネルを設置して発電する農家も現れ始めた。地域経済の基盤である農業を先細りさせないよう、農業と発電を両立できる制度設計は急務といえる。

 ところが、普及の要であるFITに逆風が吹き始めた。

 環境先進国のドイツは22年までに原発を全廃し、電力の80%を再生可能エネルギーでまかなう計画だ。日本のモデルとなった買い取り制度のおかげで昨年、再生可能エネルギーは総発電量の4分の1を占めるまでに成長した。

 しかし、買い取り価格の「逆ザヤ」を埋めているのは消費者だ。昨年の電気料金は00年の2倍を超え、不満の高まりにメルケル政権は制度見直しを模索している。

 日本でもFITへの信頼を揺るがす問題が判明した。太陽光発電事業の認可を受けたものの、設備の値下がりを待って建設を始めない業者が相次ぎ、経済産業省は672件の認可を取り消す方針だ。

リサイクル対策を

 こうした問題が起きる背景に、太陽光発電設備が依然高額なことがある。中国製のダンピングで市場価格は下落しているが、菅直人首相(当時)が打ち上げた「20年までに3分の1」には程遠い。

 太陽光設備の耐用年数は約20年とされ今後、老朽設備が大量発生する。ただ、中核の結晶モジュールの寿命は半永久的。部品や施工方法の規格の標準化を急ぎたい。リサイクルを簡素化できれば、コストを大幅に下げられる。

 ドイツでは、送電網が貧弱なため、北部の風力発電の電力を効率的に南部に送れず、安定供給の妨げになっている。日本も教訓を学び、送電網の整備や発送電分離を含む電力改革を急ぐべきだ。

 日本では14年度までが買い取り価格が高めに設定されている「プレミアム期間」。15年度以降も導入を加速させていくには、高価格の買い取りを続ける必要がある。

 そのコストは消費者に跳ね返るが、長い目でみれば、原発に依存するリスクを減らし、エネルギーの海外依存も減らせる。温暖化防止や安全保障への貢献など、経済性だけで計れない再生可能エネルギーの値打ちを、もっと高く評価すべきではないか。

[京都新聞 2014年02月24日掲載]


高知新聞・社説

【エネ計画政府案】こんな欠陥だらけでは…
http://www.kochinews.co.jp/?&nwSrl=316130&nwIW=1&nwVt=knd

2014年02月26日08時03分

 私たちの暮らしに直結する将来のエネルギー計画が、こんな欠陥だらけではどうしようもない。 

 中長期的なエネルギー政策の指針・エネルギー基本計画の政府案が決まった。数々の疑問点があるが、まずは将来的な原発の位置付けだ。 

 「基盤となる重要なベース電源」 

 「重要なベースロード電源」 

 前者は昨年12月の当初案だが、東京都知事選で原発政策が争点化し、与党内からもトーンが強すぎるとの批判を受け、政府案は後者になったという。 

 読み比べても、二つの文の違いはよく分からない。 

 「ベースロード」とは英語で「基礎的な分担量」を意味し、経済産業省は「常時一定量を発電する電源の概念を分かりやすくした」と説明する。だが「分かりやすい」との認識自体が、国民の意識と懸け離れている。 

 前民主党政権下での大規模な国民的議論を経て、多くが脱原発依存を支持している。一方で安倍政権は前政権の「原発ゼロ目標」を否定し、原発を活用していく方針だ。 

 ならばなおのこと、政府はエネ計画の文言入れ替えや変更ではなく、将来の原発の在り方について真っ正面から国民に説明すべきだった。 

 しかし政府案は結局、原発依存度を可能な限り低減させつつ、再稼働を進める方針を示しただけだ。当初案と同様に依存度をどう下げるのか、肝心なスケジュールが抜け落ちている。 

 再生可能エネの導入加速は記したものの、原発との電源構成比率などは不明だ。これでは国民は、将来のエネルギー政策を見通せない。 

 さらに核燃料サイクル政策について政府案は、その中核を担う高速増殖炉原型炉もんじゅを含めて基本的に推進していく方針だ。 

 本欄で何度も指摘したように、使用済み核燃料を再処理して利用する増殖炉計画の維持は、安倍首相も繰り返す「原発依存度の低減」と矛盾する。この大きな疑問への解答も示さずに、核燃サイクル推進を掲げるのはあまりにも無責任だ。 

 当初案と比較して茂木経産相は「いくつかの変更点はあるが、基本的に方向性は変わっていない」とする。エネ計画のどこに欠陥があるのか認識できていない。政府案は、与党協議を経て来月中にも閣議決定される。この国のエネルギー政策は危うい。


信濃毎日新聞・社説

エネルギー計画 「修正」とは口先ばかり
http://www.shinmai.co.jp/news/20140226/KT140225ETI090005000.php

02月26日(水)

 結局は東京都知事選を意識した一時しのぎにすぎなかった。そう受け取らざるを得ない安倍政権のやり方だ。

 エネルギー基本計画の政府案がきのう、まとまった。原発推進を明記した当初の計画案に対しては、与党内からも批判が相次いだ。政府は修正に乗り出したが、ふたを開けてみれば、全くと言っていいほど中身が変わっていない。

 脱原発を求める世論を聞き入れる気がないのなら、国民との溝は深まる一方だ。各地の原発再稼働は、地元の同意を得る段階で難航することになるだろう。

 当初の計画案は原発を「基盤となる重要なベース電源」と位置付けた。使用済み核燃料を再利用する核燃料サイクル政策も「着実に推進する」とした。

 安倍政権の姿勢が揺らいだのは都知事選だった。「原発即ゼロ」を訴える小泉純一郎氏が細川護熙氏を全面支援し、原発の是非が争点に浮上した。旗色が悪いと考えたのか、政府は告示に合わせるように修正を明言した。

 今度の政府案は原発を「重要なベースロード電源」との表現に変えている。常時一定量を発電する電源という意味で、経済産業省は「ベース電源の概念を分かりやすくした」と説明している。

 言葉の遊びにすぎない。現に茂木敏充経産相が「いくつかの変更点はあるが、基本的に方向性が変わったとは認識していない」と言い切っている。

 都知事選で自公が推した舛添要一氏が大勝し、微修正で済むとの政治判断に傾いた、との見方が出ている。都民が原発推進を認めたわけではないだろう。選挙での論戦をまともに受けずにおいて、結果だけ都合のいいように解釈するのは虫が良すぎる。

 安倍晋三首相は、原発依存度を極力低減させ、自然エネルギー導入の取り組みを強化する、と繰り返し述べている。それが本気なら、核燃料サイクルの必要性も薄らぐはずだ。首相の言葉を裏付ける具体的な目標や文言が、政府案には見られない。

 自民党内で脱原発を掲げる「エネルギー政策議員連盟」が、原発を「過渡期の電源」と位置付け、核燃料サイクルから撤退するよう政府に提言している。公明党も昨年の参院選で「脱原発を目指す」と公約。野党各党もそろって脱原発を約束している。

 ここは協力して安倍政権の姿勢をただし、国民の声を反映したエネルギー計画に導いてほしい。各党の踏ん張りどころだ。 		 	   		  


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