[CML 029868] 参与連帯

林田力 info at hayariki.net
2014年 2月 25日 (火) 22:52:06 JST


参与連帯(さんよれんたい、People's Solidarity for Participatory Democracy; PSPD)は1994年に発足した韓国の市民運動団体である。参与連帯の活動領域は幅広い。落選運動は有名であるが、情報公開請求、株主代表訴訟、賃借人の権利擁護、携帯電話の料金引き下げも行っている。2008年の米国産牛肉輸入再開問題に対するロウソク集会・ロウソクデモでも主導的役割を果たした。

 東京都知事選挙において参与連帯を評価する宇都宮健児氏と、脱原発至上主義の細川護煕氏と一本化しなかったことは当然である。「脱原発以外の問題は関係ない」というスタンスから遠いところにある。脱原発小児病とは異なる、地に足の着いた市民運動を志向する。

 参与連帯は開発問題でも発言している。釜山広域市海雲台区での超高層ビル建設に対して「民間事業者に不動産開発利益を作って与える事業。開発による砂浜流失や交通混雑について対策を準備する必要がある」と批判する(「海雲台を象徴する101階建てビル、中国企業が建設へ(2)」中央日報2013年10月18日)。日本では住民運動と市民運動の間には相互にギャップがあり、見習う価値がある。

 社会福祉分野では国民生活最低線運動に取り組む。国民が遍く社会保障サービスを受けられるようにする方向を志向する。たとえば年金問題では所得下位の高齢者だけに支給する基礎老齢年金制度が存続することに対して、「政府案は国民年金に加入し誠実に保険料を払っている人を逆差別するもの。公約通りすべての高齢者に20万ウォンを支給すべき」と批判する(「野党「すべての高齢者に支給を」…基礎年金法の国会通過厳しく=韓国」中央日報2013年09月26日)。

これは低所得者だけの主張にはなっていない。「逆差別」という表現は日本の左翼では考えられない。ホワイトカラー層を含む会員基盤の厚さを反映した主張になっている。福祉を貧困層など特定の人だけでなく、全ての国民のためのサービスと捉える視点は宇都宮氏とも共通する(宇都宮健児『希望社会の実現』共栄書房、2014年、47頁)。それが生活保護バッシングなど福祉攻撃への対抗論理になる。

 参与連帯の注目すべき活動に司法監視がある。法曹関係者をモニターし、人事評価書を発表し、市民の人権を侵害する人物を告発する。これは日本でも重要である。日本でも数多くの裁判闘争があり、裁判所の問題は認識されているが、裁判官個人を継続してモニターする意識は低い。

たとえば北本市いじめ自殺裁判と最高裁裏金裁判は、どちらも酷い裁判として各々のニュースに接した人々からは批判された。しかし、両裁判が同じ裁判官(東京地方裁判所民事第31部、舘内比佐志裁判長、後藤隆大裁判官)が担当したという事実はあまり知られていない。漠然と「裁判所はダメだ」「司法は反動化している」と言うだけでは、改善につながらない。具体的に問題裁判官を明らかにすることが牽制になり、改善になる。

また、弁護士についても金儲け優先で倫理観を喪失し、ブラック企業に脱法行為を指南するブラック士業が社会問題になっている。このブラック士業は宇都宮氏の落し物という側面もある。宇都宮氏は多重債務問題に取り組み、大きな成果を出した。一方で、その成果に便乗した過払い金返還請求専門という金儲け第一の弁護士を生み出してしまった。宇都宮氏の日弁連会長当選は、その種の金儲け弁護士の一掃が期待されてのものであった(林田力「宇都宮健児日弁連新会長の課題はモンスター弁護士の排除」PJニュース2010年3月27日)。

ところが、日弁連会長在任中に東日本大震災と福島第一原発事故が襲い、被害者救済に奔走したために、この面での活動は宿題を残した。宇都宮氏の成果であるグレーゾーン金利撤廃によって過払い金バブルは崩壊し、金儲け弁護士は過払い金返還請求以外の分野に進出して問題を引き起こしている。新たにブラック士業という言葉が生まれるまでになった。ブラック士業の監視と告発は、司法修習生の給費制など弁護士会側の主張への市民の理解を得るためにも有益である。
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林田力Hayashida Riki
http://www.hayariki.net/poli/sanyo.html


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