[CML 029613] 英エコノミスト誌の安倍首相批判とNHK会長、経営委員批判 ――「もっとも、日本最大の放送局を味方につけておくことは間違いなく助けになるだろうが」

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2014年 2月 13日 (木) 17:01:37 JST


英エコノミスト誌が日本の安倍内閣とNHKを批判する記事を書いています(英エコノミスト誌 2014年2月8日号)。

以下は、その英エコノミスト誌の記事のJBプレスの翻訳記事です。

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■NHKを巡る騒動:いくら右でも我が祖国(The Economist JBプレス(翻訳)
2014.02.13)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/39924

(英エコノミスト誌 2014年2月8日号)

過去の亡霊が再び安倍晋三首相を取り囲んでいる。

歴史に関して異様に修正主義的な意見を述べ、2008年に職を解かれた元航空幕僚長の田母神俊雄氏(65歳)が、まだ一目置く
べき存在だというのは信じ難いことに思われる。だが、東京都知事選に向けた田母神氏の選挙運動は、日本の巨大公共放送局、
日本放送協会(NHK)を巡る論争を激化させた。

安倍晋三首相は昨年末、NHKの報道を右寄りに変えることを狙い、定数12人のNHK経営委員会に新委員4人を任命した。2月上
旬、新委員の1人である右派の小説家、百田尚樹氏が田母神氏の選挙応援を行った。報道によると、同氏は東京都心部で選挙
カーの屋根の上から、日本軍が中国市民を殺した1937年暮れの南京大虐殺はプロパガンダに過ぎず、実際には「なかった」と断
言したという。

物議を醸す新会長と経営委員の発言

この一件は、歴史に関する安倍氏の右派の思惑に大きな関心を集めている。わずか数週間前には、安倍氏が物議を醸す靖国
神社――250万人の戦没者とともに14人のA級戦犯が祀られている――を参拝したばかりだった。

1月25日、やはり安倍氏に直に選ばれたNHK新会長の籾井勝人氏が就任後初めての記者会見で、NHKは政府の方針に従うよう
努めると語った。NHKは法律で中立であることを義務付けられているにもかかわらず、だ。「政府が『右』と言っているものを『左』と
言うわけにはいかない」と籾井氏は説明した。また安倍氏の靖国神社参拝をNHKが批判すべきではないとも付け加えた。

籾井氏は、戦中の日本軍が「慰安婦」として韓国やその他アジア諸国の女性を働かせていた問題に関する論争にも加わり、従
軍慰安婦の活用は昔は「ヨーロッパはどこでもあった」慣行だと述べた。国会に招致されると、籾井氏は発言を撤回した。

しかし、政府が籾井氏の発言に驚いたわけがないと、政治情報誌「インサイドライン」の歳川隆雄編集長は話している。籾井氏
の率直な物言いは、安倍氏の側近の間ではよく知られていたからだ。

安倍氏と自民党にとっては、メディアを再起動させることは戦略的な優先課題だ。彼らの考えでは、第2次世界大戦中に日本軍
の宣伝媒体としての役目を果たしたジャーナリストらは、その後、対極へと走った(もっとも他の民主主義国のメディアの基準から
すると*、日本のメディアは既に不健全なほど従順だ)。

      *引用者注:
      【パリ共同】国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」(RSF、本部パリ)が12日発表した、世界各国の報道の自由度
      を順位付けした報告書で日本は昨年の53位から59位に後退した。東京電力福島第1原発事故の影響を取材しようと
      するとさまざまな圧力を受けるとされたほか、特定秘密保護法の成立が響いた。日本は、各国を5段階に分けた分類
      で上から2番目の「満足できる状況」から、主要先進国で唯一、3番目の「顕著な問題」のある国に転落。東アジアでは
      台湾や韓国を下回る自由度とされた。日本は昨年も福島の事故について情報の透明性が欠けるとして大きく順位を落
      としていた。(「報道の自由、日本後退59位 福島事故と秘密法響く」共同通信 2014/02/12)
      http://www.47news.jp/CN/201402/CN2014021201001249.html

2012年まで続いた民主党政権下では、NHKで時事問題を扱う部局が、2011年の福島第一原発の原子力災害に対する政府の
対応を批判する番組を制作し始めていた。今年1月30日に抗議の意思を示してラジオ番組を降板した出演者によると、NHKは今
は事実上、原発問題について一切議論しないよう命じられているという。

新会長による扇動的な発言について、他のマスコミから猛烈な批判を浴びるなか、NHKは3日間もそのニュースを報道しなかっ
た。

2月上旬には、安倍氏が任命したNHKの経営委員からさらに右派の妄想が出てきた。1つは長谷川三千子氏の随筆で、同氏は
1993年の極右の人物による儀式的な自殺は日本の天皇を現御神にしたと記していた。

しかし、安倍首相は戦後日本の平和主義体制の見直しを訴え続けている。政府報告書の草案は間もなく、日本の自衛隊が
「集団的自衛」に加わることを認めるよう、戦争を放棄する憲法の解釈見直しを提言すると見られている。そうなれば、日本は同
盟国、特に米国の救援に駆けつけられるようになる。

安倍首相とホワイトハウスの関係にも悪影響

この措置は米国の国防機関に支持されている。しかし、NHKに関するニュースは恐らく安倍氏とホワイトハウスとの関係を悪化
させるだろう。両者の関係は既に安倍首相の靖国参拝でこじれていた。菅義偉官房長官は、NHKの経営委員らの見解を非難す
ることを拒んだ。

近隣国、特に中国は、かつての敵国が、次第に右傾化し国家主義の色彩を強める政権の下で、戦後の軍事的制約をかなぐり
捨てるかもしれないと愕然としている。中国外務省は2月5日、「国際正義と人類の良識に対する公然たる挑戦」として百田氏の
発言を非難した。

平和主義が依然支持されている日本国内では、集団的自衛の容認を売り込むのが一段と難しくなるだろう。もっとも、日本最
大の放送局を味方につけておくことは間違いなく助けになるだろうが。

*英エコノミスト誌の記事は、JBプレスがライセンス契約 に基づき翻訳したものです。 


  英語の原文記事はwww.economist.comで読むことができます。
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東本高志@大分
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