[CML 029534] 東京都知事選感想2題もしくは3題 ――辺見庸と古寺多見氏(「きまぐれな日々」主宰)の感想及び田中宏和氏(「世に倦む日日」主宰)と私(「みずき」主宰)のコメント

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2014年 2月 10日 (月) 14:58:54 JST


以下、辺見庸と古寺多見氏(「きまぐれな日々」主宰)の今回の東京都知事選に関する感想と田中宏和氏(「世に倦む日日」主宰)
と私(「みずき」主宰)の関連コメントです。参考言説として記録しておきたいと思います。

■東京都知事選、宇都宮健児と細川護煕がダブルスコアの敗北(きまぐれな日々 2014.02.10) 

http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-1334.html

東京都知事選は予想通り舛添要一の圧勝に終わった。ただ、猪瀬直樹が宇都宮健児をクアドラプルスコアで破った一昨年12月
の都知事選と比較すると、差はかなり少なくなり、舛添が宇都宮健児につけた差はダブルスコアを少し超える程度だった。告示前
からモタモタしていた細川護煕は、宇都宮健児の後塵を拝する3位で、田母神俊雄は細川から大きく離れて、それでも12.6%の得
票率で4位だった。(中略)

私も都知事選の有権者だったので投票したが、以前から当ブログに書いた通り、上記の主要候補4人には投票しなかった。公約
や思想信条からいえば宇都宮健児なのだが、昨年末に澤藤統一郎弁護士が発した前回(2012年)都知事選における公選法違反
の告発に対し、「人にやさしい東京をつくる会」が今年1月5日に「法的見解」を出したものの、それに対しても澤藤統一郎氏の他、
醍醐聰氏からも疑義が呈された。しかし宇都宮陣営はこれを事実上黙殺した。この一件に見られる「ムラ体質」を忌避して、前回
宇都宮氏に投票した私は今回は彼に投票しなかった。しかし宇都宮氏は前回より得票数を僅かながら伸ばしている。これは選挙
の投票率低下を考慮すると、まずまずの健闘だったと認めざるを得ない*。

      *引用者注:私は「まずまずの健闘」とは思いません。この点については、私は、「世に倦む日日」氏の「一本化を阻止し、
      狙いどおり立候補にこぎつけた宇都宮健児の陣営(社共)にとって、次の目標は都知事に当選することではなく、前回
      並みの得票で現勢力を維持することだ。96万票を取らなくてはいけない。その目標を達成して、フライングの立候補の
      正当性は担保される。自陣(身内)に対して言い訳できる」(「細川・小泉を見放し始めたマスコミ - 『脱原発』は争点にな
      らず」2014-01-24)という指摘の方が真相に近いだろうと思っています。今回の都知事選において、宇都宮氏、共産党と
      も、その「フライング」の責任、すなわち、都知事選惨敗の責任は大きなものがある、というのが私の見方です。

理由として考えられるのは、前回は衆院選とのダブル選挙であったために、宇都宮氏を推薦する政党の選挙運動が衆院選に重
きを置かれたこと、有権者の関心も主に衆院選に集まったこと、それに対して今回は都知事選が注目され、選挙運動に力が入っ
たことに加え、数少ないテレビ討論などで宇都宮氏の主張に説得力を感じた有権者がかなりいたためだと考えている。

そりゃそうで、もともと宇都宮氏が主張していること自体は立派なものなのだ。ただ、言っていることと選対の組織の体質の乖離
がはなはだしいことが問題なのだ。これはしばしば「共産党の体質」に帰される傾向があるが、私はもっと根の深い問題だと思う。
というのは、前回都知事選における公選法違反の告発を行った澤藤統一郎氏は共産党支持の弁護士の大物である一方、告発
された主要な人間は、元国立市長の上原公子氏であり、上原氏は生活者ネット、つまりほぼ絶滅した民主党左派(菅直人など)
に近い人だったのである。さらに岩波書店の熊谷伸一郎なる人物の深い関わりが指摘されている。

また宇都宮氏は、昨年の参院選前にも澤藤弁護士から批判されている。宇都宮氏は前述の上原公子氏らとともに、「脱原発」候
補を推薦すると称した「緑茶会」なるもののメンバーとなっていたが、この会が推薦したのは緑の党の全候補者をはじめ、民主党、
生活の党、みんなの党などの候補を推薦する一方、共産党の吉良佳子氏には推薦を出していなかった。このことからもわかるよ
うに、宇都宮氏はもともと共産党系の人士ではなく、社民党、民主党左派、生活の党などに近い人だったと推測されるのである。

要するに、政党以前に、ごく一部の人物が2012年都知事選における宇都宮選対を壟断していたのであって、その問題への十分
な検証が行われないまま選挙に突っ走り、自浄作用が働かなかった。今回は共産党が組織内候補と同格に扱ったように外部か
らは見える。共産党員や支持者も澤藤統一郎氏が提示した疑義に取り合おうとしなかった。

そんなことで良いのだろうかと私は思うのである。前回の都知事選と比較すると「善戦」したとはいえ、宇都宮氏は舛添にダブル
スコアで負けているのである。宇都宮氏陣営は、このことの意味をよく考えるべきだろう。

それから細川護煕であるが、予想通りテレビ討論会は悲惨なものだった。(中略)かつての小沢一郎の傀儡・細川護煕が、今度
は小泉純一郎の傀儡になった。こんな候補を「脱原発派」が支持するなど正気の沙汰とは思えないのだが、驚くべきことに、鎌田
慧、澤地久枝、瀬戸内寂聴、それに今年100歳になる老ジャーナリストのむのたけじ各氏までもが細川護煕を推薦した。その結果、
昨日のNHKの出口調査によると、「脱原発」派の6割が細川に投票したそうである。しかし、細川や細川を応援した小泉が、他の政
策は誰が都知事をやっても同じと言わんばかりの妄言を発したことも影響したのか、「脱原発派」以外には支持が広がらなかった。
ネットの「小沢信者」も宇都宮支持派と細川支持派に分裂した。教祖様(小沢一郎)はもちろん細川を推したのだが、岩上安身や
「きっこ」をはじめとして、小沢になびかなかった(元?)信者が続出したのであった。 


私は宇都宮氏陣営の非民主主義的な体質にも失望したが、それ以上に、これまで信頼していた人たちが細川護煕支持へと雪崩
を打ったことにはさらに深く失望した。細川を当選させなければ安倍晋三が戦争に突き進むのを止められないと言っていた人たち
もいたが、細川を当選させたらどうやって安倍晋三を止めることができるのか、それを説明できた人間は誰もいなかった。

ただ、「脱原発派」の変質の前兆は昨年には見られていたようである。私は「脱原発」デモには、一昨年9月を最後にしてそれ以降
は一度も参加していないが、昨年3月11日に行われた集会で、大江健三郎は反原発運動について「戦後ここまで日本人が統一し
たことはない」と、澤地久枝は会場で打ち振られる日の丸について、「日の丸を見たら身構える世代ですが、今日はそれを掲げる
人もいることをうれしく思う」と、それぞれ発言したという。(後略)

■日録6(辺見庸 2014/02/09)
http://yo-hemmi.net/article/387698228.html

エベレスト冠雪のため登頂断念。犬をバッグにいれて、コビトとともに雪道をあるき投票所へ。途中、コビトと犬に、「背中に天使の
羽をはやしたおじさん」に投票するようしつこくせまられる。ま、それでもいいっちゃいいのだけれども、なんとなく拒否。投票所は、
暖かく静かで、みな親切で、視線がやわらかく、とても整然としていた。すでに20人ほどの良民の列があり、乱れもとどこおりもなく、
おだやかな声と態度で受けつけをすませ、歩一歩、投票箱へとすすんでゆく。すばらしい秩序!強制も統制も威圧もなひ。武装警
官も兵士もいなひ。銃剣なし。なにも問題なひ。ひとびとは自由意思でファシズムを選択しているだけ。なんてすばらすい民主主義。
報道やCMがいふとおりに、季節感とスケジュール感をもち、みな同じような言葉でしゃべくり、テレビ番組がいうとおりに働き、笑ひ、
泣き、うたひ、休養し、消費し、投票し、ことを荒だてず、多くのひとが好んでいるといわれているものを好み、多数者が憎んでいる
といわれているものをともに憎み、原発事故をけろりと忘れ、NHKの宣伝どおりにオリンピックを楽しみ、「不幸のただなかにおける
病的快感」に、みんなでいっしょに酔い、かつ麻痺し、日一日、歩一歩、刻一刻、うるわしい全体主義をじっくりと熟成させていこう
ではありませんか。選挙と民主主義の全体主義的ハーモニーよ!「主人を自由に選んでも、主人または奴隷がなくなるわけでは
ない」のだ。だいいち、われわれは自由に選びも選ばれもしていない。「…とくに混乱期にあっては、市民たちは思考の働きを要求
しない人物のほうに大挙してなびいてしまう」としたら、この国は一貫して混乱期ということになる。底がぬけ、たがが外れた樽を、
ファシストどもが喜色満面で転がしている。図にのっている。

      *引用者コメント:辺見庸も雪の中、投票所には行くには行ったようです。さて、誰に投票したのか。舛添要一は論外だと
      しても、細川護熙にも宇都宮健児にも投票したとは思えません(澤藤統一郎氏の宇都宮候補批判を知らなければレス・
      ワース(悪くなる程度をより少なくする選択)の観点から同候補に投票したとも考えられなくもありません)。「市民たちは
      思考の働きを要求しない人物のほうに大挙してなびいてしまう」という呆然の論を述べているのですから「選挙と民主主
      義の全体主義的ハーモニー」への抵抗として「『背中に天使の羽をはやしたおじさん』に投票するようしつこくせまられる。
      ま、それでもいいっちゃいいのだけれども」というくらいの人に投票したかもしれません。

■東京都知事選感想2題もしくは3題 ――辺見庸と古寺多見氏(「きまぐれな日々」主宰)の感想及び田中宏和氏
(「世に倦む日日」主宰)と私(「みずき」主宰)のコメント(弊ブログ 2014.02.10) 

http://mizukith.blog91.fc2.com/blog-entry-782.html


東本高志@大分
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http://mizukith.blog91.fc2.com/ 



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