[CML 029482] 金光翔さんの東京都知事選論 ――リベラル・左派の堕落によって市民が大きなツケを払わされている

higashimoto takashi higashimoto.takashi at khaki.plala.or.jp
2014年 2月 7日 (金) 12:03:05 JST


以下、金光翔さん(批評家。元岩波「世界」編集部員)の東京都知事選論をご紹介させていただこうと思います。私の問題意識
ともずいぶん重なります。私のこの問題に関しての問題意識の一端は次の「論」で述べることになるだろうと思います。

      *金光翔さんの論で私が重要と思う箇所は弊ブログの以下のエントリでゴチックなどにしています。下記もご参照くだ
      さい。

      ■金光翔さんの東京都知事選論 ――リベラル・左派の堕落によって市民が大きなツケを払わされている
      (弊ブログ 2014.02.07)
      http://mizukith.blog91.fc2.com/blog-entry-780.html

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■都知事選とリベラル・左派の問題(金光翔「私にも話させて」2014-02-06 )
http://watashinim.exblog.jp/20324721/

都知事選で「脱原発」を標榜する細川護熙候補が話題となっているが、細川は、「放射性廃棄物の最終処分場の受け入れを
「東京は当然、ある意味で負担しないといけない」と述べた」と報道されている。(日本経済新聞インターネット版1月23日)
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDC2200F_S4A120C1EA2000/
http://69763999.at.webry.info/201401/article_25.html

また、kibikibi20氏はツイッターで、「細川護煕が都知事選挙に出たのは、自身が理事長である財団法人「瓦礫を活かす森の長
城プロジェクト」の利権が関係してるのかもしれない。「東北の為」とか「エコ」とかいって東京五輪の工事に震災瓦礫を持ってく
るかもしれない⇒ http://greatforestwall.com 」と指摘している。
https://twitter.com/kibikibi20/status/428337284279054336

そうすると、なぜこれが「脱原発」ということになるのか、私は全く理解できないのである。細川からすれば、こういったものを全
部受け入れた上での「脱原発」ということになるのだろうが、それでは細川の下に馳せ参じているリベラル・左派文化人・知識
人はどう考えているのか。

ところで、Kibikibi20氏は、「私の想像に過ぎないが、小泉純一郎が細川護煕を立てた目的は、前回都知事選挙で得票の少な
かった宇都宮陣営の切り崩しというよりも、自民党の最期が近いことを知り、息子進次郎の為、日本新党のような「政界再編」
の「受け皿」を遺しておいてやりたいからではないか?」とも指摘しているが、これも大体当たっているのではないかと思う。
https://twitter.com/kibikibi20/status/431070770572189697

細川―小泉が仮に今回負けたとしても、今後の政界再編の軸になっていくのであろう。「この動きを国政につなげていこう!」
という人々も必ず出てくるのである。結局、そうすると、小泉―小泉を結集軸とした政治勢力の結成こそが、細川陣営に集結
するリベラル・左派文化人・知識人の(潜在的な)駆動要因であって、だからこそ恐らく自分たちおよび大多数の市民の「反原
発」の志向とは異なる、細川の「脱原発」論が黙認されているのではないか、という感想を持つのである。

ところで、今回の細川―小泉へのリベラル・左派文化人・知識人の支持と、その後の(予想される)細川・小泉勢力への参加と
いう事態は、実は昔見た光景なのである。私が昔「言論界における「小沢派」の成立」と題して書いた状況である。その時に私
は、「仮に小沢から捨てられるか、小沢が政治的に没落するかしたとしても、言論界における「小沢派」は雇い主または信奉
の対象を変えるだけだろう。別の、リベラル・左派を利用しようとする野心的な政治家と癒着するだけである。そうした構造が
成立してしまったのが2010年秋であると私は見ている。」と書いたが、小沢が実質的に没落してから、民主党政権への礼賛へ
の自己批判もないまま、「脱原発」「反橋下」「反在特会」という誰もが反対しない主張で時間を稼いでいたリベラル・左派が、よ
うやく新しい宿主を見つけた(見つけようとしている)、というのが今回の事態なのではないかと思う。その渦の中に、政治音痴
の面々が次々と巻き込まれている、ということだろう。
http://watashinim.exblog.jp/12465295/
http://watashinim.exblog.jp/12465499/

私が「<佐藤優現象>批判」その他で書いてきたのは、リベラル・左派が、市民運動などの「下から」社会を変えることに絶望
した結果、佐藤優を媒介として、政界・有力者との結びつきを作り、言論メディア相互の連携を深める(馴れ合う)ことで、「上か
ら」社会を変える(という幻想を持つ)という道を進んでいるという事態である。それを背景として、2010年秋頃、尖閣諸島(釣魚
島)問題を決定的な契機に、歴史認識でも安全保障論でも、「国益」論への躊躇が完全に消え、民主党的な価値観と完全に
同化してしまい、特定の政治家・権力層と癒着する構造が成立してしまったことを指摘した。そこで、大多数のリベラル・左派が
「小沢派左派」とでも言うべきものに一端移行したわけである。

それで、この予想される細川―小泉勢力へのリベラル・左派の吸収についても、上の記事で「小沢派」について書いたこと以上
に書くことはあまりないのである。この記事は2010年11月の沖縄県知事選に関する言説の数々をきっかけとして書いたものだ
が、そこで私は、「言論界における「小沢派」の政治的性格は、その言論活動によって、「下から」の大衆の不満の爆発、緊張
状態を緩和し、体制内に回収し、可能ならばそのエネルギーを反転させて体制側の支配ツールとして逆用」することだと書いた。

細川―小泉勢力へのリベラル・左派の吸収についても同じことが言えて、原発問題、沖縄の基地問題、雇用問題、日韓・日中
関係などの懸案事項(特に日朝国交正常化及びその後の事態)について、没落しつつあるが目立ちたいリベラル・左派文化人
・知識人や社会運動家、およびその周辺のマスコミを活用することで、「緊張状態を緩和し、体制内に回収し、可能ならばその
エネルギーを反転させて体制側の支配ツールとして逆用」しようという権力層主導の体制であると理解することができると思う。
橋下らの維新が「細川―小泉右派」として合流してくるかもしれない。

ちなみに私は上の文章の最後で、以下のように書いた。

「私は論文「<佐藤優現象>批判」の最後で、<佐藤優現象>を近衛文麿の「新体制運動」と同じようなものだとした。言論界
における「小沢派」の成立もそうである。小沢の政治的定見のなさは、近衛の空虚さに対応している。その小沢やその支持集
団に対して、行き詰って展望を失ったリベラル・左派が、「バスに乗り遅れるな」と群がっている構図だ。私は今後も、「左派」や
「リベラル・左派」という呼称を使うと思うが、それはもはや実質的には「小沢派左派」と呼ぶべきものに発展していることを、改
めて強調しておく。」

近衛文麿の孫である細川が、かつての「小沢派左派」を引き継ぐことになるというのは話ができすぎている感もあるが、構造が
同じであるがゆえに、同じことがより酷い形で繰り返されているのである。

だからと言って宇都宮健児候補がよい、ということでもなく、宇都宮は宇都宮で、澤藤統一郎氏がさんざん指摘してきているよ
うな問題を抱えているわけである。
http://article9.jp/wordpress/

そして宇都宮の問題というのも、澤藤氏は岩波書店の関与の疑惑を指摘しており、岩波書店は澤藤氏の指摘に対して一切
沈黙している。澤藤氏の文章にもその名前が出てくる岡本厚・現岩波書店社長が、『世界』編集長として佐藤優を熱心に使い
続けていたことについて当時明確に批判され、社会運動での領域での影響力が大幅に減っていれば、今回の都知事選で宇
都宮が候補として出ている、という事態もなかっただろう。

今回の都知事選は、<佐藤優現象>推進以来の日本のリベラル・左派の堕落によって、日本の市民が大きなツケを払わさ
れていることを非常に分かりやすく示している。放置されていれば、今後、より大きなツケを払わされることになるだろう。
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東本高志@大分
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http://mizukith.blog91.fc2.com/ 



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