[CML 035351] 今日の言葉(「私」と総選挙)19 ――辺見さん。いかに好まざる選択であったとしても、よりましな選択としては・・・ということにならざるをえないのではないでしょうか。

higashimoto takashi higashimoto.takashi at khaki.plala.or.jp
2014年 12月 6日 (土) 12:30:32 JST


今日の言葉(「私」と総選挙)は辺見庸の「日録1-11」(2014/12/05)の「積極的棄権」云々の言葉に対する私の反論的「引用
者注」の言葉。私の「感じ」では「サヨク」的知識層の中には選挙に関して辺見庸的認識を持つ人は少なくない。そんなこと
ではダメなんじゃないか。「政治」をよく知る人、とりわけ政治学者やメディアによく登場する編集委員クラスの花形記者諸氏
は「政治は妥協の産物」だなどとよく言う。私にも異論はない。が、そうであれば、あなたも「妥協」するべきではないか、とい
うのが「『私』と総選挙」の言葉です。

辺見庸「日録1-11」(2014/12/05)から。

     某紙デスクと「ろくでなし子・北原みのり両氏不当逮捕事件」についてはなす。現場の若手記者がいつまでも原稿を
     送ってこないので、なぜかと問いただしたら、「だって、作品に品位がなく、くだらないので・・・」と答えたという。記事
     に値しない、と。この事件の深刻性、重要性、今日性を、デスクはいちから説明しなければならなかったという。若
     手記者はキツネにつままれたような調子。おもわず〈ばかやろう!てめえなんかやめちまえ!〉と言いかけたが、コ
     ンプライアンスという自己規制でデスクは声にはしなかったらしい。聴いていてはげしい苛立ち。記者が世間の自警
     団なみのオツム。選挙への積極的棄権をかんがえている。「彼ら(人民)が自由なのは、議員を選挙するあいだだ
     けのことで、議員が選ばれるやいなや、人民は奴隷となり……」(『社会契約論』)とおもうだけではない。投票行動と
     その結果が、憲法を無視する不正な政権をみとめることに直結し、集団的自衛権行使容認、秘密保護法、武器輸
     出、普天間基地移設、原発再稼働などの各重要問題で、安倍政権の方針を法的に承認したものと解釈されてしま
     うからだ。まさに「キャッチ=22」である。このたびの選挙は間接民主制の弱点を悪用した、戦後史を劃する「大策謀」
     としかみえない。飼い主が投げた餌を尻尾をふってくわえにいく犬。安倍はそのように選挙民をみくだしている。わた
     しは現時点で、安倍の策謀としての選挙にいくよりも、明日12月6日の秘密保護法反対デモに参加するほうがはる
     かに、はるかに重要だとおもう。自身をせめても納得させることができるのは、どのみち空虚さはまぬかれえないに
     しても、後者なのだ。

「『私』と総選挙」の言葉(引用者注)から。

     辺見さん。某紙若手記者に対する辺見さんの怒りはまったくそのとおりだと私も思いを同じくします。が、「選挙への
     積極的棄権」という考え方には賛成できません。「投票行動とその結果が、憲法を無視する不正な政権をみとめる
     ことに直結」するという指摘はこれもそのとおりだと思いますが、 「選挙を棄権する」 という選択も不作為という点で
     「不正な政権」をそのまま認知するということにならざるをえません。であれば、いかに好まざる選択であったとして
     も、よりましな選択としては、選挙で首相安倍を明確に弾劾する政党に一票を投じるという行為を選択するほかな
     い、ということにならざるをえない。・・・のではないでしょうか。

引用者注追記:

「ろくでなし子・北原みのり両氏不当逮捕事件」について某紙のデスクが現場の若手記者が「いつまでも原稿を送ってこない
ので、なぜかと問いただしたら」、同若手記者が「だって、作品に品位がなく、くだらないので・・・」と答えたというその若手記
者の思想と発言の愚かさについては、同じく2014年12月5日付け「日録1-11」の前半部分参照。すなわち、以下。

     かつて、といってもだいぶまえ、ある美大の「卒制」をみにいったことがある。どこまでも自由でのびやかだった。MD
     (マンコデッサン)というのがあった。ま、逆立ちした自画像のシリーズみたいなもの。それも堂々と展示されていた。
     もしも女性の陰部という人体開口部を「顔」とみたてれば、これは陰翳と曲線と凹凸に富む自画像なのである。見事
     であった。〈陰毛が成長するまで〉といったタイトルの、自撮り写真集もあり、こちらは、いったんきれいに剃毛した局
     部から、少しずつヘアがはえてきて、ついにはひとつのこんもりとした森のようになるまでの全プロセスを、開脚して
     数十枚さつえいしたもの。たしか、終いのほうはもう写真ではなく、じつぶつのピュービックヘアがはりつけてあったと
     記憶するが、みていてその自由奔放さがきもちよく、こころがやわらかになった。これらを「わいせつ物陳列」の疑い
     で逮捕というなら美大全員逮捕だぜ。ろくでなし子さんらの不当逮捕事件は〈女性のかがやく美しい国〉のキャッチフ
     レーズが真っ赤なウソであることをものがたっている。これはA政権の特徴がよくあらわれた思想表現の弾圧ととら
     えられるべきだ。

これでもおわかりにならない向きが仮にあったとしても、私は、これ以上の説明はするつもりはありません。


東本高志@大分
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