[CML 033469] 日本海賊TV緑茶会の地方選応援

林田力 info at hayariki.net
2014年 8月 28日 (木) 00:11:41 JST


日本海賊TVは2014年8月25日、「みんな、地方選に出よう 緑茶会の地方選応援」を放送した。「みんな、地方選に出よう」は、これから地方選への立候補を考えている方、関心のある方を対象に、様々なゲストを招いて話を聞き、フリートークを行う番組である。

 今回は緑茶会代表の竹村英明氏をゲストに迎えて、緑茶会の考えや選挙戦略など聞いた。聞き手は山内和彦氏(元川崎市議会議員)、田中久雄氏(変えよう選挙制度の会代表)、渡辺哲生氏(社会運動家、日本海賊党党員)、山口あずさ氏(緑茶会運営委員、日本海賊党サポート会員)、岩井努氏(千葉海賊党党首、日本海賊党サポート会員)である。司会は林田力である。東京都千代田区東神田の日本海賊党事務所から放送した。

 緑茶会は脱原発政治連盟の略称である。脱原発を求める市民グループによって、2013年3月に設立された政治団体である。政治の文脈で茶会と言えば米国のTea Partyを想起する。緑茶会はTea Partyと直接の関係はないが、草の根の運動の強さは学びたいという。

 緑茶会は脱原発候補を応援するが、100点満点の候補者のみ応援するという完璧主義の立場ではない。最良の候補者に絞るという立場でもない。第三極の脱原発候補者も否定しない。2014年東京都知事選挙では宇都宮健児候補と細川護煕候補を共に推薦した。

 緑茶会は脱原発政治連盟であり、候補者の評価軸は脱原発のみである。これは脱原発を第一としていない有権者を満足させるものではないが、脱原発政治連盟の立ち位置としては自然である。そして脱原発を広く捉える緑茶会の方向性は脱原発至上主義を批判する管見も肯定できる。脱原発運動に克服すべき課題があるとすれば「脱被曝でなければ脱原発にあらず」というような偏狭さにあると考えるためである。

 国政マターとされる脱原発を目指す緑茶会が地方選挙に取り組む理由は、地方議員の国政選挙に果たす役割の大きさ故という。地方議員選挙では当選可能性を高めるために一つの自治体選挙で一人しか推薦しないという考え方もあるが、反対に脱原発で一致する多くの候補者を推薦したい。各候補者が最善を尽くすことで脱原発票が最大化する。

 番組では竹村代表個人の政治観も聞くことができた。日本では政党が党議拘束など政治家を拘束する負の面が出ているという。選挙では政党ではなく、人間で選ぶことを求めている。私は緑茶会に対して「XX党救済応援団ではないか」という否定的評価を聞いたことがある。しかし、少なくとも竹村代表の思いは、そのような小さなものではないことが理解できた。

 一方で政党への否定的評価は番組出演者の中で温度差があったところである。反対に特に地方選挙では政党色のないこと、無党派であること、地域代表であることが好まれるが、そのような傾向が政策の対立軸を曖昧にし、政治意識を低くしているのではないかとの問題提起もなされた。

 私は理念型としての近代政党には窮屈さ、息苦しさを覚える。緑茶会は「日本初の市民のための政治団体である」との観点から、もっと緩いネットワーク的なものを志向する。この点で私は緑茶会に好意的であるが、一方で近代政党という理念型ができた理由は、それが大衆社会において組織化に最適であるためである。緑茶会のネットワークが近代政党に匹敵する力を発揮できているかという点では道半ばの感がある。近代のパラダイムを超えるような運動を形成できるか注目したい。

 番組では他に選挙制度の問題などが議論された。ここでも得票に沿った政党間の議席分配を可能にする比例代表制か、多様な人を選出できる大選挙区制かという政党観の違いが意見の相違となった。意外なところでは町内会の話題で盛り上がった。政治と言えば国政マターばかりが盛り上がる傾向があるが、身近な地域から考えていくことも大切である。

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林田力(『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』著者)
http://www.hayariki.net/poli/pirate3.html


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