[CML 033465] 空き家活用陳情葛飾区回答
林田力
info at hayariki.net
2014年 8月 27日 (水) 17:40:10 JST
希望のまち東京in東部は2014年7月8日に葛飾区長宛陳情「若者の自立支援政策を目的とした区内の空き家の実態調査とそれに基づく施策策定の陳情」を提出した。葛飾区からは8月13日付で回答が送付された。江東区回答は課長名義であったが、葛飾区回答は青木克徳区長名義で区長印も押されている。
***
葛飾区としては、空き家の実態調査を行う予定はございません。
本区は現在、多様な年齢層が暮らす多世代コミュニティの形成、子育て世帯への居住支援、低額所得者・高齢者等の住宅確保要配慮者の居住の安定に取り組んでおります。
単身若年層への支援につきましては、既存施策のなかで対応させていただきます。
空き家(部屋)の利活用につきましては、宅建団体との情報共有を図っていきたいと考えております。
***
葛飾区回答も江東区と同じく空き家の実態調査を行う予定はないとする。単身若年層への支援は「既存施策のなかで対応」とする。これは江東区も同じであるが、江東区回答が「住宅支援給付事業」という具体的な施策で対応するというものであった。これは限定的な施策で住まいの貧困に苦しむ若年層の多くを救済できるものではないと批判できる。
これに対して葛飾区回答は江東区のような限定は書いていない。この点では葛飾区の方が可能性はあるように見える。一方で具体的な説明はないということはシニカルな視点に立てば何もやらないという見方も成り立つ。江東区回答では住宅支援給付事業の説明資料も同封しており、不十分と考えるものの、やることはやろうとする意欲は感じられた。葛飾区の「住宅確保要配慮者の居住の安定」への具体的取り組みに注目する。
葛飾区回答は空き家活用について「宅建団体との情報共有を図っていきたい」とする。江東区回答になかった視点である。宅建団体との情報共有は空き家活用に取り組む上で必要なことである。
世田谷区の空き家活用事例では不動産会社との交渉がネックになったとの報告もなされた。「モデル事業として採用された時点で建物のオーナーと話はしたものの、その後、間に不動産会社が入って以降、意志の疎通が難しくなった」(中川寛子「世田谷区空き家活用フォーラムに見る、空き家等の地域貢献活用のこれから」HOME'S PRESS 2014年4月6日)。不動産会社が空き家活用の意義を理解し、柔軟な対応を可能にするためにも行政との情報共有は有意義である。
http://www.hayariki.net/tobu/akiya2.html
--
林田力(『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』著者)
http://www.hayariki.net/
http://hayariki.zero-yen.com/
CML メーリングリストの案内