[CML 033409] 市町村消滅論と放射脳カルト
林田力
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2014年 8月 25日 (月) 23:22:22 JST
日本の多くの自治体が人口減少により消滅するとの市町村消滅論は各方面に衝撃を与えた。しかし、この日本創成会議(増田寛也座長)の推計は農村を切り捨て、人口の選択と集中を目論む官僚や財界のアジテーションとの批判がある。
「増田レポートは、そのスタートの問題意識であった少子化対策から、『消滅市町村』『消滅可能性都市』の公表を媒介として、いつのまにか、特定の地域に対する撤退の勧めとして実質的に機能し始めている」(小田切徳美「『農村たたみ』に抗する田園回帰」世界2014年9月号190頁)。
地域からの撤退の勧めという点では放射脳カルトの福島県や東日本切り捨ての主張と重なる。日本創成会議が「農村たたみ」論ならば、放射脳カルトは「福島県たたみ」論である。特定の自治体を消滅可能性が高いと名指ししたことに対して「これは風評被害だ」と憤った町長もいるという(坂本誠「『人口減少社会』の罠」世界2014年9月号203頁)。これも放射脳カルトのデマに対する自治体の怒りと重なる。
因みに『世界』2014年9月号は市町村消滅論批判をサブ特集にしているが、その表紙写真は福島県の、のどかな自然風景である。人の手が入らなくなったために自然の楽園のようになっている。それは放射脳カルトの喧伝する福島のイメージとは異なる。
「福島県たたみ」論の欺瞞は現実のものである。「福島の子供たちの4割に甲状腺の異常、首都圏の子供たちもそれに近い割合」と唱える「宇城市政を刷新する会」は政策に「東日本・関東から未来ある若者・家族の受入支援・移住促進で過疎・高齢化を解消」を掲げる。自主避難が過疎化・高齢化する自分達の地域社会の解決策との本音を露骨に出している(林田力『放射脳カルトと貧困ビジネス』「宇城市長選挙に篠崎鐵男市長と守田憲史県議が出馬」)。
避難者の健康や生活ではなく、自分達の地域発展を考えた主張である。これが自主避難支援という善意を装ったものの実態である。放射脳カルトが太り、住民が痩せ細る貧困ビジネスである。放射脳カルトに地域社会を論じてほしくないと思うのは私だけではないだろう。
放射脳カルトは福島県内の自治体が地域経済を維持するために自主避難を妨げていると批判していた。しかし、「宇城市政を刷新する会」で示された論理からは、福島県内の自治体が住民流出阻止に力を入れることを批判する資格はなくなる。
放射脳カルトの主張が通るならば福島県をはじめ東日本の多くの市町村がたたまれてしまうことになる。これは市町村消滅論にとって好都合な展開である。もともと放射脳カルトは脱原発運動のイメージを下げるための体制側の工作員とも指摘される。福島を切り捨てることは、やがては日本を切り捨てることになる。
放射脳カルトの主張は地域社会に対する大所高所からの配慮に欠けている。放射脳カルトは復興に取り組む住民の実態を全く知らないか、承知で嘘をつく人々である。被災地の復興を妨害する放射脳カルトは、することなすことが後ろ向きである。
放射脳カルトは明らかに地域社会の良識に抵抗している。放射脳カルトの言動は人としての品格や人権感覚が疑われるレベルである。放射脳カルトは地域社会を阻害する要因である。健やかな社会を作っていくためにも人々を食い物にする放射脳カルトは不要である。
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林田力(『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』著者)
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