[CML 033366] 北九州市長選挙と放射脳カルト

林田力 info at hayariki.net
2014年 8月 24日 (日) 09:27:43 JST


2015年2月19日に任期満了を迎える北九州市長選挙は対決型になる見込みである。民主党出身の北橋健治市長は2014年8月5日、市内で開いた政治資金パーティーで、「北九州市の将来のために命をかけて戦い抜く決意だ」と述べ、出馬意向を明らかにした。これに対して自民党は北橋市長支持の声もあるものの、麻生太郎副総理の号令で独自候補擁立を模索する(「<北九州市長選>自民混迷…現職か独自候補か 選挙まで半年」毎日新聞2014年8月20日)。

この選挙の敗者になることは確実であるが、混乱要因の危険があるものが放射脳カルトである。北橋市長の実績の一つは東日本大震災の被災地瓦礫の処理である。上記パーティーでも北橋市長は市外から反対派が市役所周辺に押し寄せてきた時のエピソードを紹介し、「市議会各派の支援があったから役所の機能が滞っても乗り切れた」と語った(「北九州市長選、北橋氏が3選めざし出馬へ」日本経済新聞2014年8月6日)。

これは放射脳カルトの市民感覚からの逸脱を印象付けた出来事であった。世論が脱原発運動に全面的な賛意を寄せなくなった要因は、北九州市への過激派的な抗議行動など放射脳カルトの暴走であった。

 現実の北橋市政はスマートシティーなど再生可能エネルギーの普及に熱心である。これは脱原発を志向する市民にとって歓迎できることである。放射脳カルトが瓦礫処理をもって北橋市政を目の敵にし、原発推進と決め付けることは脱原発と脱被曝の混同であり、「脱原発は支持しても、放射脳カルトお断り」の市民感覚から外れる。脱原発を上昇気流に乗せるための最大の武器が放射脳カルト批判にほかならない。

 北橋市政と開発政策なり福祉政策なりの市政課題で対立軸を有していた人々が独自候補を擁立することを否定するつもりはない。管見は広汎な市民派統一候補擁立を期待する立場ではあるが、それは政策を軸にしたものであるべきで、脱原発至上主義のような道理に反する一本化は否定する。

これに対して放射脳カルトが瓦礫を受け入れた北橋憎しで動くならば、体制側の別働隊・応援団にしか機能しないだろう。もともと放射脳カルトには脱原発運動のイメージを下げるために原子力ムラから送り込まれた工作員との見方がある。放射脳カルトの動き次第では北九州市長選挙が一つの実例を示す可能性がある。

 同じ九州で放射脳カルトが体制側の別働隊・応援団として機能した例に2013年の熊本県宇城市長選挙がある。篠崎鉄男市長は2012年11月12日、公共施設の「海のピラミッド」(同市三角町)で行政代執行を実施し、CLUB PYRAMID(有川理・有限会社レストラン凱旋門社長)の不法占拠を排除した(林田力『放射脳カルトと貧困ビジネス』「宇城市が行政代執行で海のピラミッドを市民の手に取り戻す」)。

これに対して放射脳カルトは篠崎市長をバッシングした。選挙結果は自民党・公明党推薦の守田憲史・熊本県議会議員の当選である。放射脳カルトの動きは主張とは裏腹に反原発、反TPP、反増税の逆方向に機能している。この九州での放射脳カルトの暴走は、市民の脱原発への反感となり、鹿児島二区補欠選挙にも悪影響を及ぼした。
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林田力(『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』著者)
http://www.hayariki.net/poli/kitakyushu.html


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