[CML 033345] 細川勝手連と細川護煕票

林田力 info at hayariki.net
2014年 8月 23日 (土) 16:24:44 JST


都民参加への模索連絡会夏季討論合宿では宇都宮支持者と細川支持者が今後も平場で議論を続けていきたいという結論になった。宇都宮支持者と細川支持者で統一候補を模索することは大きな意義がある。単純な数字合わせであるが、もし2014年東京都知事選挙で宇都宮98万票と細川95万票が一つになったとしたら、舛添要一候補に匹敵する。

 問題は細川勝手連が細川95万票を体現しているかということである。既に私は細川勝手連と細川陣営のギャップを指摘したことがある。そのギャップは細川勝手連と細川95万票のギャップにも重なると感じている。何故ならば、直感的に感じたことであるが、細川勝手連流の細川支持は、脱原発を唱えた細川氏個人を応援するという傾向が強いためである。それでは宇都宮98万票とは別の政治嗜好を持つ人々として細川95万票を捉えることにはならない。

たとえば国家戦略特区に関する細川氏の選挙戦最終盤の公約は「規制緩和を推進し、岩盤規制を打破するが、解雇特区は慎重に」というものであった。当時は脱原発至上主義が批判されて仕方なく生活密着課題の公約を打ち出したと言える状況であり、どこまで「解雇特区は慎重に」と考えているかは疑わしい。むしろ宇都宮陣営のブラック特区批判があったからこそ、細川陣営も「解雇特区は慎重に」と言わざるを得なくなった。

 故に宇都宮氏を支持するが、細川氏の公約が言葉通りのものであるならば、それを積極的に支持する人々もいる。何でもかんでも規制緩和に反対という左翼教条主義よりも民意に近い。宇都宮支持層の間でも選挙の供託金を参入規制と呼び、規制緩和を求めるレトリックが使われているほどである。

もともと規制には同業者保護もあれば消費者保護もあれば労働者保護もあり、性質も参入規制や事後規制など様々である。それらを一まとめにして規制緩和賛成・反対の二分法にすることは乱暴である。故に「規制緩和を推進するが、解雇規制緩和は慎重に」は一つの見識である。

しかし、細川勝手連の支持者からは、このような脱原発以外の面での政策評価は、あまり聞かれない。逆に「細川氏は本音では国家戦略特区に反対」など公式の主張と逆のことを主張する傾向がある。むしろ細川勝手連の人々の求める政策は非常に左翼的である。故に「そのような人々が何故、細川氏や小泉氏を熱狂的に支持するのか」という疑問が生じる。細川氏や小泉氏の政治的立ち位置を無視して、人間として支持していなければ説明つかない。「新自由主義は嫌いだが、細川氏や小泉氏は特別だ」というメンタリティである。

 私としては細川勝手連とつながることで、細川95万票とつながることができるならば素晴らしいことと考えるが、細川氏や小泉氏しか見ていないように感じられる。中には民主党や連合の支持が必須と考える人もおり、それは一つの考えである。しかし、これから細川95万票がまとまるムーブメントが起きるとしたら、民主党よりも維新と結の新党になる可能性もある。そのような第三極に対して、細川勝手連の支持層が宇都宮支持層よりも柔軟な姿勢を持っているようには見受けられない。むしろ頭ごなしの拒否感が強い。

そのような細川勝手連支持者と宇都宮支持者が合意できるところから合意するという形で建設的に議論すると、逆に非常に狭い左翼的なものになってしまうのではないかとの危惧がある。平行して広い民意を意識していくことが必要である。

 但し、これも統一候補観によって評価が変わる。「本来は一つであった人々が別々の党派に分かれている」との問題意識に立つならば、狭いものになったとしても、それを一つにすることには意義がある。

 人間は造物主のように世界全体を作り変えることはできないとしても、自分の目の届くところから変えていくことはできるかもしれない。都民参加への模索連絡会の立ち位置からすると、宇都宮支持者と細川勝手連支持者の連携から取り組むことが目の届くところからの行動になる。

-- 
林田力(『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』著者)
http://www.hayariki.net/poli/tomoren.html


CML メーリングリストの案内