[CML 033181] Re: ヘイトスピーチネット発言を巡り在日朝鮮人ライターが在特会を提訴 個人の在特会提訴は初めて ――注目もしたいし、応援もしたい
maeda at zokei.ac.jp
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2014年 8月 15日 (金) 15:16:49 JST
前田 朗です。
8月15日
東本さん
情報ありがとうございます。
この件知りませんでしたが、若干の補足。
第1に、個人の被害ですから、これは通常の名誉毀損訴訟、不法行為訴訟でしょ
う。被害を受けた誰でも起こせる訴訟です。それにもかかわらず意義があるのは、
日本人なら誰でも提訴できても、在日朝鮮人は提訴すらできない状況に置かれて
いたからです。この間のヘイト・スピーチの悪質さは、スピーチ行為者だけでは
なく、それを放置してきた日本社会、「表現の自由だ」などと異常な主張をして
ヘイト・スピーチを応援してきた憲法学者の言動によっていっそうひどくなって
いました。京都朝鮮学校訴訟の原告が頑張って、朝鮮学校が提訴し、勝利したこ
とが大きいです。
第2に、通常の名誉毀損訴訟ですが、京都朝鮮学校訴訟と同様に、被害額の算定
に際して、人種差別撤廃条約を適用して、条約第一条の定義する人種差別に当た
ることを認定し、それゆえ悪質性が高いから損害賠償額を高額にするという判決
を目指すことになるでしょう。
第3に、師岡さんが指摘しているように、これによって、(1)朝鮮学校という
団体の提訴と、(2)個人の提訴が続いたことになります。ただ、(3)ヘイト・
スピーチ問題の中心課題は「不特定多数に対するヘイト・スピーチ」です。日本
の裁判では「被害者が特定できないから、訴訟の対象にならない」、「不特定多
数に対する誹謗中傷は犯罪ではない」という特異な立場をとっています。憲法に
そんなことは書いていないのに、無理やりそういう解釈を採用しています。この
点は、本件裁判ではなく、次の段階の議論となります。
----- Original Message -----
> ネットによるヘイトスピーチ発言を巡り在日朝鮮人ライターが在特会を提訴し
ました。個人による在特会提訴は初めてという
> ことです。注目もしたいし、応援もしたいと思っています。
>
> ■ヘイトスピーチ:ネット発言、在特会を提訴 在日朝鮮人ライター、
18日にも(毎日新聞 2014年08月15日)
> http://mainichi.jp/shimen/news/20140815ddm041040063000c.html
>
> インターネット上の人種差別的な発言で名誉を傷つけられたとして、
在日朝鮮人のフリーライター、李信恵(リシネ)
> さん(42)=東大阪市=が、「在日特権を許さない市民の会」
(在特会)の桜井誠会長や在特会に約550万円、ま
> た発言を掲載したインターネットサイト「保守速報」の運営者に約
2200万円の損害賠償を求める訴えを、18日に
> も大阪地裁に起こす。専門家によると、在日への「ヘイトスピーチ」
を巡り、個人が賠償請求する訴訟は初めてとみ
> られる。
>
> 李さんによると、桜井会長らは昨年初めから今年7月までインター
ネット上で、在日朝鮮人という李さんの出自を取
> り上げて、「不逞(ふてい)鮮人」などと蔑視、差別するような言
葉を繰り返し投稿。「保守速報」も昨夏から今年7月
> まで同様の匿名による差別的な発言を掲載した、としている。
>
> ヘイトスピーチの法規制を研究する師岡康子弁護士(東京弁護士会)
は「学校を攻撃対象とした朝鮮学校訴訟から
> 発展して、今回の訴訟には、特定の個人に対するヘイトスピーチも
違法だと確認する意義がある」と話す。【松井豊、
> 後藤由耶】
>
>
> 東本高志@大分
> higashimoto.takashi at khaki.plala.or.jp
> http://mizukith.blog91.fc2.com/
>
>
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