[CML 033177] 今日の言葉~抜録~きょうは「敗戦記念日」。軍国主義の除去、戦争犯罪人の処罰、再軍備禁止……の各項につき、現状の日本はポツダム宣言に明確に違反している ――辺見庸「日録30」、朝日新聞「天声人語」から
higashimoto takashi
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2014年 8月 15日 (金) 12:28:19 JST
辺見庸「日録30」(2014年8月13日)から。
http://mizukith.blog91.fc2.com/
・とっくに終わったはずのバイカウツギが咲いている。昼間なのに花のまわりだけが真っ暗になっている。闇夜になっている。
ポツダム宣言とは、1945年7月26日、ポツダムにおいて、米・英・中3国(対日参戦と同時に、ソ連も参加)により発せられた
対日降伏勧告および戦後処理にかんする宣言(「全日本軍の無条件降伏」を求めた全13か条の宣言)であり、日本におけ
る軍国主義の除去、軍事占領、主権の制限、戦争犯罪人の処罰、再軍備禁止などについて規定している。なかに〈日本は
無分別な打算により自国を滅亡の淵に追いこんだ軍国主義者の指導をひきつづき受けるか、それとも理性の道を歩むか、
選ぶべき時がきたのである〉の最後通告もあった。日本は、しかし、ポツダム宣言を無視し、広島、長崎への原爆投下・無
差別殺戮をへた8月14日、これをやっと受諾、無条件降伏した。おい、シュショーAよ、以上の事実にまちがいはないな?も
しもまちがいないというなら、軍国主義の除去、戦争犯罪人の処罰、再軍備禁止……の各項につき、現状の日本は、ポツ
ダム宣言に明確に違反している。軍国主義者の指導についても然り。そうである以上、Aよ、あんたはあさって、世界にたい
し「ポツダム宣言拒否」を厳かに宣言すべきではないか。そして、それは米国政府の承認をえている、歴史とはブラック・ユ
ーモアでしかない、と。ちなみに、あさっては「終戦記念日」ではない。「降伏記念日」か「敗戦記念日」である。
http://yo-hemmi.net/article/403666987.html
・毎晩ウイスキーをボトル3分の1も飲んで、「アル中ハイマー」と自称していた(引用者注:弊ブログフリーエリア欄の「グラス
のある風景」参照。ただし、同記事にある「私の年長の友人」は別の人。この人は四国のとある町役場の助役を経て別府に
流れてきてやはりとある旅館の番頭をしていました)。『人間臨終図巻』などで知られる作家の山田風太郎は飄逸の人だ。
医学生だった敗戦の年を克明に描いた『戦中派不戦日記』はいまも読み継がれる。山田青年は1945年8月14日の日記
に、「個」を潰しに潰してきた日本の社会に対する痛恨の念を記している。出る杭を打ち、変わり者を追い払う。日本人は
「全く独立独特の筋金の入らないドングリの大群」のようになったと嘆いた。全体主義が支配した戦時中のこととして読み流
すことができない。あなた方もドングリになりなさい。そんなささやきが、昨今のこの社会のそこかしこでも執拗に繰り返され
ているのではないかと危ぶむ。「梅雨空に『九条守れ』の女性デモ」(http://www.asahi.com/articles/ASG745249G74UTNB00
H.html)。この俳句を刊行物に載せることを、さいたま市の公民館が拒否した。世論を二分する問題だからだという。当初は、
市の意見と誤解されないよう配慮したとの説明もあった。作者の名前も出るのに、である。憲法や原発の問題で講演をやめ
ようとしたり、展示を拒んだり。時の政権を刺激しそうなことは極力しない。公職者らの上目遣いが相次ぐ。意見がわかれ、
議論をかわす。民主主義の面倒臭さをすっ飛ばすなら時代は逆流する。あの夏の8月16日、風太郎は敗因を分析し、記し
た。日本人は「なぜか?」という問いを持たなかった、と。いま、ドングリになれという声には、なぜかと問い返そう。「個」であ
るために。(朝日新聞「天声人語」2014年8月15日)
http://www.asahi.com/paper/column.html
東本高志@大分
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