[CML 033062] J.ペトラス著:「皇帝の激怒:世界をカオスで包んでしまえ!」

Yasuaki Matsumoto y_matsu29 at ybb.ne.jp
2014年 8月 8日 (金) 20:48:36 JST


みなさまへ    (BCCにて)松元

長年、米欧西側の世界各地での画策にメスを入れる訳業に努め、今回ウクライナ
とガザの事態をはやくから注目してきた童子丸開さんが、「世界戦 争間際」と
も 読み取れるジェイムズ・ぺトラスの最新論考を翻訳紹介しています。自らの
覇権のために「公正・正義」をなし崩してきた欧米中心主義の末路をぺ トラス
が描い ています。ぜひ読んでみてください。

・・・・・・・・・以下、全文転載・・・・・・・・・・・・・・・
http://bcndoujimaru.web.fc2.com/fact-fiction2/The_Emperors_Rage-Let_Chaos_Envelop_the_World.html
<http://bcndoujimaru.web.fc2.com/fact-fiction2/The_Emperors_Rage-Let_Chaos_Envelop_the_World.html%0A>

*ジェイムズ・ペトラスの最新論文
**皇帝の激怒:世界をカオスで包んでしまえ!*

 以前に私は「*ロシアがウクライナに返答を望む10の質問*
<http://bcndoujimaru.web.fc2.com/fact-fiction2/Malaysia_MH17_crash-
10_questions_Russia_wants_Ukraine_to_answer.html>」の翻訳後記の中で次の
ように書いた。
《…実を言えば私はこの事件が起こったときに「これはイスラエルのガザに対する
蛮行から世界の注意をそらす役割も兼ねているのだろうな」と思った。ガザへの
地上攻撃が開始されたタイミングと重なっていたからだ。新聞やTVニュースの
トップで最大の時間を割いてウクライナとアメリカの政府発表 に基づいた情報
を 流し、ガザで起こっている大虐殺は片隅に追いやられるのだろうと予想した
のである。しかし私の予想は見事に裏切られたようだ。スペインの TVと新聞
は、か つてなかったほど大規模にしつこくイスラエルの暴力性と残虐さを視聴
者にアピールしており、逆にマレーシア航空事故がかすんでしまう。…》

 実際には、イスラエルによるガザでのジェノサイドは私の予想の正反対、つま
り、東ウクライナでの蛮行から世界の注意をそらす役割を兼ねたも ののよう
だ。ウクライナの戦闘地区には400万人の住民がおり、ガザ地区同様の人道的
惨事
<http://en.ria.ru/world/20140806/191764780/Four-Million-Ukrainians-in-
Combat-Area-on-Verge-of-Humanitarian.html>が続いている。その住宅地と公共
施設に爆撃が加えら れ無差別殺人が続けられている。国連人道問題調整事務所
(OCHA)によれば、4月中旬以降すでに1367人が殺害され、4087人
が負傷し ているがそのうち2589人は一般市民だ。6月初旬までには250
人の民間人が <http://rt.com/news/174128-lugansk-osce-death-toll/>死亡し
ていたのだが、最新のWHOの調査に よると、7月26日までに1129人の
民間人が殺害され3422人が負傷している
<http://en.ria.ru/world/20140805/191745195/Ukraines-Luhansk-Under-
Threat-of-Environmental-Disaster--Local.html>。およそ80万人がロシア国
境を越えて難民となり17万人がロシアの入国手続きのために
<http://en.ria.ru/world/20140805/191755388/Ukraine-Crisis-Refugee-
Number-Rises-to-117000-Says-UN.html>国境付近にとどまってい る。西側マス
コミでこのような事実を伝えている記事があるのだろうか。

 一方で、8月5日に 400人を超えるウクライナ政府軍兵士が
<http://rt.com/news/177740-ukrainian-military-russia-refuge/>ロシアとの
国境を越え て亡命を申し出た。ウクライナ軍兵士の士気は高くないし指揮系統
の混乱やいい加減さも多いようだ。(攻撃を計画し指示しているのはアメリカ人
の「顧問」と思われるが。)しかも、ウクライナ国家当局と軍が関与していなけ
れば起こり得ない
<http://bcndoujimaru.web.fc2.com/fact-fiction2
/Malaysian_Airlines_MH17_Was_Ordered_to_Fly_over_the_East_Ukraine_Warzone.html>
マ レーシア航空機事故について、多くの疑問には耳をふさいで
<http://bcndoujimaru.web.fc2.com/fact-fiction2/Malaysia_MH17_crash-
10_questions_Russia_wants_Ukraine_to_answer.html>何の証拠も無いままに
「ロシアの責 任」が喧伝されている。911事件以来
<http://bcndoujimaru.web.fc2.com/fact-fiction/re-
these_big_lies_are_war_crime.html>、何度となく繰り返されてきたアメリカ政
府と西側マスコミのやり口である。

 西側の戦争狂どもにとっては、ウクライナの事実をこそ世界の 目から遠ざけ
たいはずだ。他方、イスラエルは世界中のどこの誰が何を言おうが屁とも思わな
い。いつも通り、いままで何十年も続けてきたとおり の破壊と大量 殺人を繰り
返し、それを止める者は誰もいない。いまさらその残虐行為を大っぴらに報道さ
れても何ら痛くもかゆくもあるまい。この鋼鉄の神経を 持つイスラエ ルとシオ
ニスト・ロビーに世界の注目をウクライナからそらしてもらうことで、プーチン
を破滅に一歩近づけることができよう。加えて、近頃なに かとイスラエ ルに嫌
な顔をするアメリカ大統領オバマを脅迫し服従を命じて、シオニストの絶対権力
を誇示することもできる。たとえ戦闘が終わっても、電気も 水も無いガザ のパ
レスチナ人がどれほど死ぬのか見当もつかないが、この者たちにとっては虫が死
ぬほどの意味も持たないのだろう。

 オバマは、ガザでの ジェノサイドとマレーシア航空機「墜落」が起こって以
来、何一つ明確な証拠と示すことなく「ロシアの責任」と「制裁強化」だけを喚
き散らし、 ネタニヤフの 後ろに付いて「ハマスの責任」をつぶやくことしかで
きない。この数日間TVで見る限り、その顔が目も当てられないほど醜怪さを増
してきた。ど うやら本物の 悪魔にとりつかれてしまったようだが、彼に効くエ
クソシストが存在するだろうか。こんな「皇帝」オバマを取り巻く状況につい
て、ユダヤ系アメ リカ人、 ニューヨーク州立大学ビンガムトン名誉教授で社会
学者のジェイムズ・ペトラスによってこの7月28日に公表された次の文章を和
訳(仮訳)して みた。
The Emperor’s Rage: Let Chaos Envelop the World! ( 07.28.2014)
http://petras.lahaine.org/?p=1997 

 私はこの文章を一読して思わず目を疑った。当サイトではペトラスの論文の和
訳「*キエフ一揆:反抗する労働者たちが東部で権力を握る*
<http://bcndoujimaru.web.fc2.com/fact-fiction/The_Kiev_Putsch-
Rebel_Workers_Take_Power_in_the_East.html>」をつい2ヶ月半ほど前に公開し
たばかりだが(ペトラスの他の記事はこちら
<http://bcndoujimaru.web.fc2.com/fact-fiction
/Changing_US_Imperial_Intervention.html>、こちら
<http://bcndoujimaru.web.fc2.com/fact-fiction/re-
zion_power_and_war.html>)、 今回の記事の調子が同じ人物のものとは思えな
いほどに変化していたからだ。彼の文章は今まで、アメリカ・EUの戦争政策と
それを強引に推し進 めるシオニス トに対する嘆きと激憤の一方で、その戦略に
対する冷静な分析とともに、未来への希望の糸口をつかもうとする姿勢が一貫し
ていた。しかし今回、 これほどにペ シミスティックなペトラスに出会うとは
思ってもいなかったのである。

 核戦争勃発の可能性を訴える人々がいる。ペトラスもまた、今回の記 事を読
む限り、現在の状況がもはやその最悪の事態に向けて制御不能に陥ってしまった
と観念しているように見える。もちろんその可能性はゼロで はあるまい。 第2
期ブッシュ政権のときにイランの地下核施設を小型戦術核を搭載したバンカーバ
スターで破壊しようという計画があったようだ。しかし、空中 で核爆弾を破 裂
させる戦争については、ネオリベラル経済で地球を支配しようとする者にとって
「宝の山」である市場を破壊し再生不能にする行為であり、彼ら の貪欲と打算
が、殺人と破壊に狂った悪魔どもの手を押しとどめるのではないか…。

 しかし下記の和訳でこのペトラスが述べているように、徐々にそのコントロー
ルすら不可能な状態に近づいているのかもしれない。カオスは何か わずかのパ
ラメータの変調で誰もが予想できず止めることもできない出来事を引き起こす。
人間の愚かさが理性を圧倒し虚構が真実を破壊してきた
<http://bcndoujimaru.web.fc2.com/fact-fiction/re-911-
evidences_abandoned_for_ten_years.html>の が現代の歴史だ。狂気と貪欲・打
算と愚かさの混沌から何が産み出されるか、正確な予想はできない。作りだされ
た政治的・経済的・文化的なカオ スが巨大化さ れ、それがあらゆる秩序と平和
を破壊していく中で、この老教授を核戦争と放射能地獄を予想する絶望感にまで
追い込んでいるのは、母国アメリカ とその指導 者、そして何よりも、アメリカ
とイスラエルに住む彼の同胞たちが見せる、血の盃に酔い痴れて踊るカーリー
<http://livedoor.blogimg.jp/matomesu/imgs/a/1/a1a4f237.jpg>のおぞましい
姿なのだろう。

2014年8月7日 バルセロナにて 童子丸開

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*皇帝の激怒:世界をカオスで包んでしまえ!*
2014年7月28日 分析記事

/序:アメリカ、ヨーロッパとその眷属・同盟者たちが大量虐殺の戦争を追求す
るにしたがい、 カオスが支配的となり拡大する。シリアでの傭兵による戦争、
イスラエルのガザに対する恐怖の爆撃、ウクライナ・パキスタン・イラク・アフ
ガニスタン・リビア・ソマリアでの代理戦争。
/・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 何千万人もの避難民が全面的な破壊の場面から逃亡する。神聖なものは何も無
い。どこにも聖地は無い。家も、学校も、病院も、全ての家族が、 破壊の対象
となっている。

*意図的なカオス*

 カオスの中心部では、野蛮な目つきのオバマ大統領が盲目的に、その結果を思
い描くことなく、財政的な破綻あるいは核戦争の危険を進んで 犯そうとして、
こぶしを振り上げる。彼はイランに対する制裁を強化させ、ロシアへの制裁を科
し、モスクワから5分の位置にミサイル基地群を設 け、パキスタ ン、イエメン
とアフガニスタンに殺人無人機を送り込み、シリアの傭兵に武器を与え、イラク
でクルド人を訓練して装備させ、ガザに対するイスラ エルの蛮行の ために資金
を支払う。

*何も機能しない*

 カオス大統領は、ある者の敵を飢えさせること が従順さの確保にはならない
という事実に盲目である。それによって彼らはまとまって抵抗するのだ。政権を
すげ替え力と誤魔化しで傀儡を押し付 けることは、 複合的な社会の社会的構成
を破壊する可能性がある。何百万もの農民と労働者が根こぎされた難民となるか
らだ。人々の社会的な運動は組織的犯罪 集団と武装盗 賊集団とに置き換わる。

 中央アメリカは、アメリカによる直接のそしてその傀儡を使った軍事侵略の結
果であり、それらが最も基本的な構造 の変化を妨害したのだが、無数の人々に
とって混乱した住むに耐えない地獄と化している。数十万の子供たちがその「自
由市場」から逃げ出してい るが、そこで は大規模な飢餓と軍事国家とギャング
どもの暴力がある。アメリカ国境での幼い難民たちは大量に逮捕され、間に合わ
せの収容所に閉じ込められて いる。その中 では警官と監視官による精神的、肉
体的、性的な虐待を受ける。収容所の外部では、これらの哀れな子供たちは、彼
らが脱出を試みる危険とその地 獄を産み出し ているアメリカ政府の役割を知ろ
うともせずにおびえるアメリカ国民の、人種主義的な嫌悪に曝されるのである。

  アメリカが背後に付くキエフ政権の航空当局は、キエフのジェット機が反抗
的な都市と町を爆撃しているというのに、国際線旅客機に防空ミサイルが林立す
る戦 闘地域上空を飛ぶように進行方向を変えさせた。一つの飛行機が撃ち落と
され、300人に近い民間人が死亡した。ロシア大統領プーチンを非難す るキ
エフから の告発が、その悲劇/犯罪を説明する本物の事実が何一つ無いまま
に、西側メディアに爆発するように溢れだした。戦争狂いの大統領オバマと涎を
垂らすEUの 首脳たちは、ロシアをのけ者国家にしてしまうぞと脅迫しなが
ら、最後通告を噴射させた。「制裁、制裁、どこででも…。でも最初に…、フラン
ス はロシア海軍 に15億ドルの売却【 2隻のミストラル級軍用艦船の売却
<http://rt.com/news/174740-france-mistral-delivery-russia/>: 訳者】を果
たさねばならない」。そしてシティー・オブ・ロンドンはロシアの大富豪を「制
裁」から免除する。彼らが寄生的なFIRE(ファイナ ンス、保険、 不動産)
経済での資金洗浄に深く食らい込んでいるからである。冷戦は戻って来たが、ビ
ジネスにとって…例外を伴いながら…醜い転換をもたらし ている。

 核大国同士の対峙が差し迫っている。そして狂乱するバルト諸国とポーランド
はロシアとの戦争を求めて最大限の金切り声をあげる。自分たちが 最初に灰に
されてしまう場所にいることにも気づかずに…。

  毎日毎日、イスラエルの戦争マシンは、ますます多くの嘘を吐きだしなが
ら、ますます多くのガザの子供たちを噛み潰す。大喝采するイスラエルの ユダ
ヤ人たち が、包囲されたガザにある人口密集地シェジャイヤ地区の集合住宅と
学校に一発一発のミサイルが命中するのを祝うために、要塞化された丘の上に
腰を下ろす。 ブルックリンの正統派と世俗派のユダヤ人企業家のグループが団
体旅行を組織したが、それは、日中には聖なる地を訪れ夜間はガザの花火大会を
楽 しむ…逃げ惑 う母親たちと焼け死ぬ子供たちを観察するためのナイト・ゴー
グルが小額の追加料金で貸し出される…というものだ。

 再び、アメリカ上院は イスラエルの最新の大量虐殺戦争に全会一致で支持の
投票を行っている。どんな犯罪もアメリカ指導者たちの良心の呵責をかきたてる
に足るほどに 酷いものでは ないのだ。52米国主要ユダヤ人組織代表者会から
与えられる台本を墨守する。彼らは共に、パレスチナの肉と骨を貪り食う黙示録
のけだものを抱 きしめるの だ。

 しかし、何と忌々しい! フランスのシオニストは「社会主義者大統領」オラ
ンデを動かしている。明らかなジェノサイドの報道がある にもかかわらず、パ
リは全ての反イスラエル・デモを禁止する。ガザの抵抗を支持するデモ隊は、特
別武装警官によってガス弾を撃ちこまれ暴行さ れる。「社会 主義者」オランデ
は、自分の国の共和制の伝統とその聖なる「人間の権利」をゴミ箱に投げ捨てな
がら、強力なシオニスト組織の要求に仕えるの だ。

  若いパリの抗議者たちは、自由パレスチナの旗を振りながら、パリ・コ
ミューンのかすかな伝統の中で、バリケードと歩道の石を使って戦い返し た。
たった1本 の「赤旗」すら目にすることはなかった。フランスの「左翼」は
ベッドの下に潜り込んでいたか、あるいはバケーションで留守だったのである。

 殺人の戦場から遠く離れた場所で不吉な兆候が現われる。経済が収縮するのに
株価が上昇している。野蛮な投機屋たちが、「洪水」つまり新たな 不可避の破
綻の前に、架空の経済と実体経済のギャップを広げるその目覚ましい作業に再び
取り掛かっている。

  かつてのアメリカ産業の偉大なデトロイトで、基本サービスへの支払いので
きない何万人もの貧しい市民に対して水道が閉ざされている。夏のさ中 に都市
にいる 家族は、廊下や路地や空き地に排便をさせられる。水が無くトイレがつ
まっているのだ。子供たちは体を洗うことができない。配管工の棟梁ロス コー
は仕事など どこにもないと語る。

 悪名高い我々のエコノミストたちによると、デトロイトの経済は「回復しつつ
ある…収益は上昇し、苦しんでいるのは人々だけだ」。生産性は2 倍になり、投
機屋たちは満足だ。年金はめった切りにされ給料は下げられる。しかしデトロイ
ト・タイガーズは首位に立っている。

  どこでも公立病院は閉鎖されつつある。ブロンクスとブルックリンでは救急
病棟が超満員だ。何たるカオス!インターンが36時間交代で働き…、 そして病
人や けが人は睡眠導入剤を与えられて治療のチャンスに賭ける。一方でマン
ハッタンでは、エリート階級のための私立病院と「ブティック」プラクティ ス
(高級専門 医療)が急増している。

 スカンジナビア人たちはキエフでのクーデターによる権力奪取を祝福した。ス
ウェーデンの外相ビルトはロシアとの 冷戦を求めてどなり散らした。デンマー
クの使者でNATOリーダーであるラスムッセンは、リビアに対するNATOの
「勝利」の再現として、シ リアへの爆撃 と破壊の展望を下劣に吐きつけた。

  ドイツの指導者たちはガザに対してイスラエルが実行中のジェノサイドを是
認する。彼らは、70年前のナチの犯罪に対する「罪悪感」というノスタルジッ
クな ブランケットによって、あらゆる道徳観念から心地よく保護されているのだ。

  サウジが資金を与えるイラクの聖戦主義テロリストたちは、単にかつてのモ
スルから何千人ものキリスト教徒を追い出すことによって…、その「限 りない慈
悲」 を示した。2000年近く続いたキリスト教徒の存在は十分に長かったの
か! ただ少なくとも、逃げた者たちの大部分はまだ首が胴につながって はい
たが。

*いたるところでカオス*

  10万人を超える米国国家安全保障省のエージェントが、アメリカにいる
200万人のイスラム教徒国民と住民をスパイするために雇われている。 しか
し、使わ れる何百億ドルものカネと何千万もの会話記録の全てと引き換えに、
イスラム教の慈善活動が裁かれ博愛主義の個人は「おとり捜査」の中で罪を
でっちあげられ るのだ。

 どこに爆弾が落とされるのか誰も知らないが、人々は逃げる。何百万人もの
人々がカオスから逃げつつある。

 しかし行くべき場所が無い! フランス人は六つのアフリカの国を侵略する
が、難民たちはフランスに逃がれることを拒否される。何千人もが砂 漠で死ぬ
か地中海を渡る途中で溺死する。実際にフランスに逃れる者は、犯罪者の烙印を
押されるか、ゲットーと収容所に送り込まれる。

 アフリカで、中東で、中央アメリカで、そしてデトロイトで、カオスが統治す
る。アメリカのメキシコとの国境全部が、武装した拘留センター、 多国籍犯罪
者収容所と化している。その国境線は我々の世代にとって見る影もないものだ。

  市場でカオスが統治する。カオスは貿易の制裁という仮面で現われる。昨日
はイラン、今日はロシア、そして明日は中国だ。ワシントンよ、注意しろ! お
前の 敵たちは共同の場を見出し、貿易をし、合意を結び、防衛を打ち立てつつ
ある。それらの結びつきはより堅固に成長しているのだ。

 イスラエ ルでカオスが統治する。戦争に取りつかれたイスラエル人たちは、
貧弱に武装した少年たちや男たちが自らの土地のために立ち上がるガザの路地
で、神に選ばれ た民族もまた血を流して死に肋骨と目を失うだろうことに気づ
くのだ。歓声が嘲りに変わるときに、彼らは自分たちの清浄なる屠殺人、ビビ
【ネタ ニヤフの愛 称:訳者】を再選するのだろうか? 海外の同胞たち、資金
調達者たち、ロビイストたち、そして肘掛椅子の上で殺人を煽りたてる者たち
は、自動 的に何らかの 新顔を擁護するだろう。疑問も後悔も、また(断じて
あってはならない!)自己批判も抜きにである。 ― 『イスラエルとユダヤ人に
とって良いものなら』それは正しいに違いないのだ!

 ニューヨークでカオスが統治する。法の支配は、古いアルゼ ンチンの債権に
1000%の収益率を要求する海賊どもとそのハゲタカ資金を優遇する。もしア
ルゼンチンがその金融脅迫状を拒めば、債務不履行 とその衝撃波 が世界中の金
融市場を襲うことになる。債権者は見通しが立たず震え上がるだろう。恐怖感は
新たな金融危機にまで膨れ上がるだろう。またしても 何兆ドル規模 のベイルア
ウトが絞り出されるのだろうか?

  しかしお金はどこにあるのだ? 輪転機は昼夜を徹して回っている。数隻の
救命ボートしかない…銀行家とウォール・ストリートにとっては十分だが、残り
の 99%は泳ぐかサメのえさにならねばならないだろう。

  腐敗した経済紙はいま、戦争屋にはどの国に爆弾を落とすかを、政治家には
どのように経済制裁を科すかをアドバイスするのだ。もはや彼らが健全 な経済
情報を 供給したり市場への投資家にアドバイスすることはない。その論説の馬
鹿騒ぎは投資家の遁走を煽りたて、銀行が破産する際の緩衝材に使う大型 マッ
トレスの購 入に向かわせるだろう。

 アメリカ大統領は精神的な破滅の崖っぷちに立っている。彼は、政治的パラノ
イア、戦争ヒステリー、そして誇大妄 想の悪化を伴う、ミュンヒハウゼン【ド
イツの物語「ほら吹き男爵の冒険」の主人公:訳者】に匹敵する大嘘つきだ。彼
は荒れ狂い金切り声で「私 は世界を指導 する。アメリカの主導権か、さもなけ
ればカオスか、なのだ」とぶちまける。徐々に世界は別のメッセージを伝えてい
る。「それがアメリカ、すな わちカオスな のだ」。

 ウォール・ストリートは彼を見放しつつある。ロシア人たちは彼を裏切ってい
る。中国商人たちはいまや、かつては我々がいた、そ して今もいるべきどんな
場所ででも商売をしている。彼らはいかさまのサイコロで賭けをしている。頑固
なソマリア人たちは黒人大統領への服従を 拒否する。彼 らはこの「無人爆撃機
を持つマーチン・ルーサー・キング」を拒絶するのだ。ドイツ人たちは、アメリ
カ人が彼らの日常的な会話を監視し記録する ときに、完全 な人事不省に陥って
親指をしゃぶっている。自分たちの安全のために…! 「我々の仲間たちは恩知
らずだ。我々があいつらのために何もかもして やった挙句 に」と、この第1代
黒人大統領はすすり泣く。「我々がやつらの作戦に支払ってやったというのに、
あいつらは我々の求める負担から逃げ出しやが る!」

*最終的解決:カオスの終了*

 唯一つの解決が進行中である。つまり、カオスはカオスを産むということだ。
大統領は自分の「主導権」を発揮しようともがいている。彼は 身近な補佐官た
ちに極めて厳しい質問をする。「なぜ我々は、イスラエルがガザを爆撃するよう
にロシアを爆撃することができないのだ? どうし て我々はヨー ロッパの上空
に『アイアンドーム』を作ってロシアの核ミサイルを撃ち落とさないのか? そ
の間に我々はモスクワに、新しくウクライナに我が軍 の基地から火 を降らせて
やるのだ。我々のドームがどの国々を守るのか? 東ヨーロッパとバルト諸国の
国民は大喜びでその崇高な犠牲を捧げるだろうと、私は 確信してい る。要は、
彼らの指導者たちはロシアとの戦争のために口角泡を飛ばしながら、まさにその
最前線に立っていたのだ。彼らの報酬は核戦争による荒 廃地だが、 我々の成功
を確実にするための些細な代償だろう!」

 シオニスト・ロビーは、我々の「アイアンドーム」がイスラエルを覆うことに
固執する だろう。しかしサウジ家はロシア人を買収して、モスクワがメッカの
近くにあるアメリカ軍基地を標的にする際に、油田を避けるようにしてもらう
かもしれな い。放射能を放つ中東での我が同盟者たちは新しい聖地を設置し直
すだけでよかろう。

 オバマと彼の補佐官たちはアジアの人口を十億人か二 十億人分減らすことを
考えているのだろうか? 大統領の引く「一線」を中国が超えたという理由で、
彼らは何百ものヒロシマを計画するのだろう か? 中国経 済と貿易はあまりに
も速く成長した。あまりにも遠くまで勢力を拡張した。あまりにも競争力があ
り、あまりにも能力にあふれ、市場のシェアを得 るのにあまり にも成功した。
そして彼らは我々の警告と我々の並ぶ者無き軍事力を無視した。

 アジアの大部分は核の塵を吸い込むだろうし、何百万人ものインド人とインド
ネシア人が二次的な被害で非業の死を遂げるだろう。生き残った者 たちは膨れ
上がる海で捕れた「放射能漬けの魚」に舌づつみを打つことになるだろう。

*カオスの果てに;新しいアメリカの道*

 我々の「アイアンドーム」が我々を見捨ててしまうため、我々は死の灰の中か
ら再び現れ出て、戦争も貧困も無い新アメリカを夢見ながら、待避 壕の中から
這い出さなければならないだろう。カオスの統治は終わった。墓場の「平和と秩
序」が最後に統治することだろう。

*帝王たちは忘れられる*

 そして我々は、300名の乗客乗員を乗せた呪われたマレーシア航空機に向け
てあのミサイルを発射した者を見出していないだろう。我々 は、イスラエルの
選民たちに虐殺された何千人ものガザの親たちと子供たちを数え落としているこ
とだろう。我々は、どのようにロシアへの制裁が 作りだされた のかを知ること
が無いのだろう。

 それは、カオスが去った後のポスト核の時代には、どうでもよいことなのだ…。

【引用、翻訳、ここまで】



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