[CML 032913] 【琉球新報・社説】安倍政権の横暴性 県民にこそ正当性がある/島ぐるみ会議 尊厳回復へ再結集を/辺野古「殺人鉄板」 直ちに撤去し人命守れ
uchitomi makoto
muchitomi at hotmail.com
2014年 8月 1日 (金) 10:33:09 JST
琉球新報・社説
安倍政権の横暴性 県民にこそ正当性がある
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-229160-storytopic-11.html
2014年7月27日
これほど沖縄と敵対する政権が過去あっただろうか。住民運動へのどう喝、かく乱、だまし討ち。普天間飛行場の名護市辺野古への移設を強行する安倍政権の横暴性が、いよいよ露骨になってきた。県民はいま「県内移設ノー」の訴えを平然と押しつぶす政権の横暴と差別性を目の当たりにしている。
海底ボーリング調査に向け、夜間や未明にキャンプ・シュワブへ資材が搬入された。住民からは「だまし討ち搬入を許さない」という抗議の声が上がった。基地反対運動の裏をかく沖縄防衛局の常とう手段であり、県民の声を切り捨てる安倍政権の抑圧的な性格もここに表れている。
中城海上保安部がシュワブ沖500メートルにある長島に設置した「使用・立入禁止」と記した看板も不可解だ。上陸時に利用する桟橋の使用を禁じたものだ。長島は常時立ち入り禁止とされる「臨時制限区域」の境界線近くに位置する。
保安部は「島自体への立ち入りを禁止するものではない」と説明する。ところが桟橋を使わなければ上陸は困難といい、保安部の説明は全く理解できない。島自体への立ち入りを事実上禁止しており、抗議行動を封じ込める狙いがあることは明らかである。
これらを見るだけでも、普天間飛行場の辺野古移設に固執する安倍政権には民主主義を踏まえた正当性が存在しないことが分かる。辺野古沿岸部を埋め立て、新基地を建設するためには手段を選ばないという乱暴さが前面に出ている。
このようなことが日本の他地域で許されるとは到底思えない。もしも沖縄ならば可能だと安倍晋三首相が考えているのであれば、この政権が抱える差別性の極みである。
「辺野古の海を守ろう」という県民の訴えは海外でも共感を広げている。海外識者による米軍普天間飛行場即時返還と辺野古新基地建設反対の声明には1万1700人余が賛同の署名を寄せた。
昼夜を問わず抗議行動を続ける住民と、それを支える県民世論にこそ正当性がある。沖縄防衛局がボーリング調査を強行しようとしている今、そのことをあらためて確認したい。
シュワブ第1ゲート前では基地移設に反対する住民と県警の激しいもみ合いが連日続いている。県民と敵対する政権は許されない。安倍政権は沖縄への抑圧や差別性を改め、直ちにボーリング調査を断念し、移設計画を見直すべきだ。
琉球新報・社説
島ぐるみ会議 尊厳回復へ再結集を
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-229246-storytopic-11.html
2014年7月29日
立場の違いを超える言葉が、これほど求められた大会もないだろう。27日の島ぐるみ会議結成大会は人波であふれたが、参加者は登壇者のあいさつに聴き入った。中でも保守政界や経済界の登壇者のあいさつは静けさに包まれ、県民の再結集を呼び掛ける意見にはひときわ大きな拍手が上がった。
もう一度、県民の心を結集させたい。会場に共通していたのはそんな思いだ。「オール沖縄」再構築の必要性をあらためて自覚したい。
登壇者の金城徹那覇市議が述べたように、世論調査では今も県内移設反対が74%もあり、その中には自民党支持者も多い。辺野古反対は保革を超えた民意だ。
沖縄は全国のどこよりも米軍基地の被害を深く受けてきた。例えて言えば、原発被害の辛酸をなめた福島県で、県民の7割超が原発新設に反対する中、政府が原発建設を強行したりするだろうか。だが沖縄でならそれをしてもよい。政府は明らかにそう見なしている。誰が考えても差別であろう。
呉屋守将金秀グループ会長は「経済活動は大事だが、ウチナーンチュの尊厳、基本的人権、平和はもっと重要だ」と訴えた。ひときわ大きな拍手が起こったのは、会場の多くがその被差別認識を共有しているからだろう。
県内移設断念を求めて県内41市町村の全首長、全議長、県議らが署名した昨年1月の「建白書」提出は戦後史に特筆される。「銃剣とブルドーザー」と称される米軍の軍用地強制接収・一括買い上げに抵抗した「島ぐるみ闘争」以来の、県民を挙げた運動だった。
仲井真弘多知事らの容認でその枠組みは崩れたが、仲里利信元県議会議長が鋭く指摘したように「沖縄で保革がけんかをして喜ぶのは日本政府と米国」だ。移設強行を止めるという民意を実現するためにも、県民の再結集が必要だ。
何も絶望することはない。民主主義と人道に照らせば、理は沖縄にある。沖縄が一つになって意思表示すれば、世界最強の米軍でさえ土地の買い上げを撤回した。「島ぐるみ」の効果は歴史で実証済みなのだ。
差別を受けてもいいという人は世の中にいない。だから人としての尊厳ある扱いを求める沖縄の意思は不可逆的である。辺野古移設強行はそんな差別の象徴だ。理不尽な扱いの代償の重さを、日米両政府に思い知らせよう。
琉球新報・社説
辺野古「殺人鉄板」 直ちに撤去し人命守れ
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-229371-storytopic-11.html
2014年7月31日
国策に抵抗する者は負傷しても、死んでも構わないというのか。県民の生命を差し置いても普天間飛行場の辺野古移設を強行しようとする政府の手法に怒りを覚える。
沖縄防衛局がキャンプ・シュワブのゲート前に三角形の突起が並んだ鉄板を設置した。移設に反対し、座り込みを続ける市民らは抗議行動の排除を狙ったものだとして反発している。
防衛局はゲートに出入りする工事車両の「泥落とし」だと説明している。この説明を真に受ける県民はほとんどいないであろう。
「泥落とし」が目的ならば、ゲートの内側に鉄板を据えればよいではないか。工事現場でタイヤや車体に付いた泥はその現場の出口で洗い流せば済む話だ。舗装された国道を長く通行してきて、ゲートに入る車両に多量の泥が付着するとは思えない。防衛局の説明は矛盾している。市民が指摘するように抗議行動の抑止が目的であることは明らかだ。
市民と警察官のもみ合いが連日起きているゲート前に、鋭角の突起物が並んだ鉄板を設置することがどれほど危険か、防衛局の担当者が知らないはずはない。
鉄板の上で激しく転倒すれば、骨折などの重傷を負う恐れがある。打ちどころが悪ければ生命にも関わるかもしれない。それを予期した上で鉄板を設置したのならば、あまりにも残酷だ。
鉄板などの設置について防衛省の武田博史報道官は記者会見で「歩行者等の安全な横断を確保することなどを目的に、ゲートの整備を行っている」と述べた。だが、実態はまるで正反対だ。防衛局のやっているのは真逆のことだ。鉄板の設置は市民に危害を加える行為に他ならない。現場を訪れた弁護士は「鉄板の上で取り締まりがあれば必ずけが人が出る。殺人罪、少なくとも傷害罪の未必の故意になる」と明確に指摘している。
米軍統治下の反戦・反基地運動のさなか、憲兵隊は銃剣を突き付けた。基地のない平和な島を希求する大衆運動に対する威嚇行為だった。その非人道的な行為が普天間の辺野古移設の名の下に再現された。これも安倍内閣の専横の表れだといえる。
県内移設を拒む県民世論に支えられた抗議行動を敵視し、市民の生命を奪うような行為は断じて許されない。憲法が保障する「表現の自由」に照らしても「殺人鉄板」を直ちに撤去すべきだ。
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