[CML 030928] 戦略兵器としてのマスコミ : ウクライナをめぐるメディア戦争3

Yasuaki Matsumoto y_matsu29 at ybb.ne.jp
2014年 4月 20日 (日) 23:32:08 JST


*西側メディアはウクライナについての論調をコントロールするために RTとロ
シアのメディアを標的にする
*  リビアとシリアでの危機が開始する期間に、アメリカとその同盟国は戦闘集
団を支援していることを認めようとしなかった。それら は、多くの人がアルカ
イダ勢 力あるいはアルカイダの一派と見なしている常軌を逸した偏狭な視野を
持つ者たちである。時間がたつにつれて、アメリカとその同盟 国は、徐々にだ
が、これら の偏狭な常軌を逸した勢力がリビアとシリアに存在することを認め
ざるを得なくなった。アメリカとその同盟国によるこの認識は、シ リアの同盟
者であるイラン や中国やロシアのような国々のマスメディアによってなされる
情報のキャンペーンが成功した結果だった。カタールに拠点を持つア ル・ジャ
ジーラ・ネットワー クのアラブ世界での横柄な姿勢は、Rusiya Al-YaumやAl-
ManarやAl-Mayadeenのようなチャンネルがそのシリア危機についての報道に挑戦
するにつれて、むしろ損なわれていっ た。
 ウクライナのケースも同様である。アメリカとその同盟者たちは、極右ナショ
ナリストたちが参加していることを否定しようとし、 ウクライナで の自分たち
の利権に益する物語を作り上げようと努めてきた。ところが、ロシアのメディア
が一方に君臨しておりその論調に敵対して いる。したがって戦いはア メリカと
その同盟国によるロシアのメディアに対する攻撃で始められている。シリア報道
をめぐるロシアの国際的メディア・ネット ワークに対するいらつきを表 明する
かのように、北アメリカとヨーロッパ連合の主流メディアは、ロシアの主流メ
ディアを非客観的で信用できないものとして紹介 することに狙いを定める。 だ
から、アメリカ国営RFEのクレア・ビッグが2013年12月の記事で
<http://www.rferl.org/content/ukraine-euromaidan-russian-media
/25194912.html>次のような報道を行ったのだ。彼女はその冒頭で「ロシアの国
営TVチャンネルは不偏不党性を持たないことで有名だ」と語り、あるロシアの
気象予報官のコメ ントをそのコンテキストから抜き出して示すことで、ロシ
ア・メディアが悪天候とウクライナでの抵抗運動を結びつけていると主張し て
いるといったような、陰 謀主義的なものに描こうと努めるのである。
 ロシアのメディアに対するキャンペーンは、とりわけその英語部門と国際的な
活動部門 を標的とす る。具体的にはRTアメリカとRTインターナショナル
で、それらはワシントンとブリュッセルがウクライナのクーデターについて世
論に売りつけたいと願う語 り口に挑戦してきたものだ。この二つのRT職員た
ちのコメントとクリミア自治区の件は、RTアメリカとRTインターナショナル
に 対する攻撃に利用されてい る。後者に関して言うと、ウクライナ政府に対す
るクーデターが失敗する可能性があったように見えた(推定的に言うならたぶん
狙撃 手による抵抗者たちの殺害 後の2月20日にクーデターが起こるだろうと
彼らが予測したためだろうが)ときに、ウクライナ西部がその関与の跡を残さず
にどう やって分離できるのかにつ いて、大西洋両岸のメディアが全く無意味に
も報道し始めたのである。
 ガーディアン紙が2014年2月21日に
<http://www.theguardian.com/world/2014/feb/21/ukraine-western-pro-
european-cities-lviv>そ の状況について次のように伝えた。「キエフ中心部の
街路で抵抗が続く一方で、ウクライナ西部の諸都市は、並列する政府と治安部隊
を持つ自治の方に向かって 雪崩をうっている。それらは政府を見捨て抵抗者た
ちの側に向かっていることを公に認めている」。この報道が西部諸都市を奪って
政 治家を脅迫する極右ナショ ナリスト武装勢力の役割に言及しないことに注目
するのは重要なのだが、最大のポイントは、西側メディアの中でクリミアの独立
に向 けた動きが全面的に全く異 なった基準で取り扱われていることだ。北アメ
リカとヨーロッパ連合にある主要メディアはウクライナの西半分では自治に何の
問題も 見出さなかったのだが、ク リミアに対しては同じ基準を適応せずにそれ
に反対している。同じメディアがクリミア住民の政府を無視あるいは軽視し、そ
の代わり に、クリミアの独立に向け た動きをクレムリンによる決定であるとい
うフレームアップを行った。
 RTは、北アメリカとヨーロッパ連合にある主要メディアによって、クレムリ
ンのプロパガンダ機関として、繰り返し陰湿なあるいはあからさまな形のどちら
かで攻撃を受けている。それは、BBCやCNN、 Fox News、Sky Newsそして
France 24と同様にロシアのクリミア侵略についての「真実に満ちた」報道をす
ることをRTが拒否するからだ。しかしながら、事実を捻じ曲げた経過が非常に
はっき りと分かるのはCNNやこれらのニュース・ネットワークと報道機関の
方である。それらは現在、親ロシアであるクリミアの人々を絶 えることなく悪
魔化し続け ている。パトリック・リーヴェルとデイヴィッド・ブレアーによっ
て書かれた2014年3月11日のテレグラフ紙
<http://www.telegraph.co.uk/news/worldnews/europe/ukraine/10691386/Join-
Russia-now-or-later-asks-Crimea-ballot-paper.html>の 記事は、クリミア自
治共和国での投票がクリミア住民にとって、ロシアへの加入が今なのか将来なの
かというたった二つの選択肢しか 持たないものである、など と報道するところ
にまでに至っている。そのイギリス紙は住民投票での質問を拡大解釈して、ロシ
ア連邦への直接の加入を望むのか、 それとも議会での論議を通 すことを望むの
かとクリミア住民に対して問うものだと語る。このイギリスの新聞は事実を直接
に語るのではなく、その住民投票の信 用を貶める手段として捻じ 曲げられた言
葉を使って物事を混乱させるのだ。事実としては、その住民投票はクリミア住民
に、ロシア連邦への加入を望むのか、あ るいは1994年のクリミ ア憲法の下
でウクライナの一部としてとどまることを望むのかと問うものである。後者の選
択肢はロシアに加入するための議会選挙の 可能性を認めるものである かもしれ
ないが。
 このタイプの悪魔化報道のもう一つの例は、CNNのニック・ペイトン・ウォ
ルシュ、ローラ・スミス-スパークそしてベン・ブラ ムフィールドによって書か
れた記事である。その冒頭部分は次のように語る。「もし列車で行くのなら、親
ロシア武装集団による荷物 検査を覚悟しなければなら ない。もしウクライナ西
部が主導する暫定政権を支持するデモを望むのなら、横暴な親ロシア派に取り囲
まれるのを覚悟しなければな らない」。この話の中では 抑圧される人々がキエ
フにある憲法違反のクーデター後の政権を支持する人々であり、一方で攻撃的で
あると都合よく描かれるのは親 ロシア派の人々なのだ。自 分の意見を言おうと
すれば親ロシア武装集団に荷物検査されるだの「横暴な親ロシア派」に取り囲ま
れるなどというコメントが説明し たいのはそれである。この ように現われる語
り口は、ロシアとロシアへの併合を望むクリミアの人々を否定的な色に塗りつぶ
すだけではなく、キエフで起きた クーデターの実態と、国境線 についての民意
の調査が武装勢力つまり極右ナショナリストの者たちによるクリミアの不安定化
を防ぐ目的で行われるという事実を無 視しているのだ。
 視覚的そして言葉によるコミュニケーションの方法がともにRTの信用を貶め
るために使用される。例えばBBCは、コンテキスト から切り離された地図を
元に、RTがその報道の中でウクライナの東部と南部をロシアの一部であるよう
に紹介していると報道した。他の論評がコンテキストから切り離されたクリミア
の地図を示して
<http://www.businessinsider.com/rt-map-with-crimea-as-part-of-russia-
2014-3>、 RTがそこをロシアの一部であるように認識していたと述べた。
BBCでもどこでも一人あるいは複数の者たちが、RTからコンテキ ストを無
視して視覚資料を 抜き出して示すことにしたのだが、彼らは決定的に不誠実で
無原則である。彼らはコンテキストから切り離して取り出されたビデオや 静止
画像を示すことで、そ の映像が持つ意味を意図的に偽って紹介した。彼らはそ
れらの地図がウクライナの地理で国内の人口統計学的な分離状態を、つまりク
リミアの住民が直面する異 なった可能性を示す記事の一部として紹介されたと
いう事実を消し去った。
 BBCにはビデオや画像を偽って紹介した歴史がある。BBCは、RTと は
無関係であっても、この種の報道の中で数多くの同種のねつ造に手を染めたこと
が分かっている。2008年にはインドの治安部隊 によって殴られるチベット
僧が、中国政府によるチベット人たちへの抑圧として、BBCによって紹介され
た。他のケースでは、2011年に、インドの旗を振 るインド人のデモがリビ
ア 政府の打倒を祝うリビア人として視聴者に宣伝された。もっと最近では、
2013年のシリア危機の報道の中で、声のすり替えすら やってのけたことが
分かって いる。イギリスの元外交官クレイグ・マーリーがBBCのシリア報道
でのねつ造について語ったこと は引用する価値がある
<http://www.craigmurray.org.uk/archives/2013/10/fake-bbc-video/>。 「不
穏当なのは医師が話しているビデオシーンがそれぞれの回で全く同じものである
ことだ。それは、その女医の語りとその肉声が同 じタイミングだという印象 を
与えるように編集されており、音声に重ねられる翻訳の作成には何かのからくり
が使われた跡は認められない。しかし、少なくとも 1回、たぶん2回は、彼女
自身の声と同じタイミングで話をしていないシーンがあることは間違いの無い事
実だ。」

*主流メディア報道から出る愚かな質問が語るもの
* 紛争におけるジャーナリストの役割もまた軽視することができない。たとえ
ば、BuzzFeedの記者ロウジー・グレイは、RTの編集長マルガリー タ・シモ
ニャンに <http://rt.com/op-edge/answers-to-questions-buzzfeed-362/>次の
ような質問を送った。
(1)あなたはクレムリンやロシア政府の高官と定期的な会議を行っています
か。もしそうなら、それがどんなものか述べることがで きますか。クレムリン
がどれくらいにRTの報道に対して影響を与えていますか。
(2)あなたのオフィスが、ある職員が教えてくれたことなのですが、報道室と
は明らかに異なった階にあるのはなぜですか。
(3)また、アナスタシア・チュルキナは父親のおかげで雇われたのですか。彼
女が自分の父親にカメラの前でインタビューすること をどうして許されたので
すか。
(4)アラビア語版RTを運営するのはプーチン大統領の元通訳だと聞いていま
すが、彼がその地位に就いたのはそれが理由なのです か。
  これらの質問がまじめなものかそれとも侮辱なのかを語るのは難しい。北ア
メリカの記者で、ミカ・ブレジンスキーがどうやって MSNBCで職を得たの
か、父 親のズビグニュー・ブレジンスキーが彼女の就職に対して何かをしたの
か、などと敢えて質問する者はいない。もしこのような質問が 為されるとして
も、はるか に水で薄められたものになる。ところが、北アメリカのメディアと
その記者たちは、ロシア人や他の社会のメンバーを取り扱う場合に は同じ基準
を適用させな い。
 これらの尋問調の激しさを考慮しないまでも、その質問は、回答者からの特定
の反応を引き出すために強く歪められたあるいは仕組 まれたもので ある。第一
に、これらの質問は誘導尋問である。それらがニュース・ネットワークとしての
RTを辱め信用を貶めるために返答をある 特定の方向に導くように仕 組まれて
いるからだ。次に、これらの質問は罠を含んでいる。それらが複数の仮定を含ん
でおり回答を記者の意図を満たすように限定 させようとしているからで ある。
罠を含んだ質問の典型的な例はつぎのようなものである。「あなたは自分の子供
を殴るのをやめましたか」。質問全体の前提が 不正確な仮定に基づいてい る。
ほとんどの場合、どんな回答であっても、人々は当惑させられ単にそれに返答す
ることでその質問に何らかの正当性を持たせるこ とになる。
 マルガリータ・シモニャンは
<http://rt.com/op-edge/answers-to-questions-buzzfeed-362/>返 答としてそ
の罠を含んだ質問を嘲笑った。 [1]

*情報時代におけるマスメディア・コミュニケーションの危険な悪用*
 アメリカとロシアの間にある分裂はウクライナ情勢が激化するにつれて激しく
なるだろう。この危機から派生する影響は、シリア、 朝鮮半島、国連から、テ
ヘランとP5+1の間で行われているイランの核開発問題の交渉テーブルまで
に、幅広く感じられることにな るだろう。
  最終的に、アメリカとロシアの情報戦争の遂行は、情報時代と呼ばれてきた
歴史の転機と言うにふさわしいものかもしれない。しかし ながらその役割は不
吉なも のである。マスメディアによる情報のコントロールと誤魔化しは、人間
各個人に対して、自分を取り巻く世界と日常生活の仕組みの背 後にある社会的
な関係性に 対する自発的な認識を持たせないようにしてしまう。決定事項を伝
え、個々人を社会化し、そして人々の文化を形作るその力は悪用さ れている。
 情報 戦争は敵対する権力や経済ブロックの間で遂行されるばかりではない。
情報のコントロールと誤魔化しは、政府と企業によって、社会 の下位の階層に
対して対内 的に用いられるのだ。それは、特権についての社会的な現実や富と
権力の不公平な配分を無視する盲目的な閉じられたシステムを作る 手段とし
て、情報を噴霧す るのである。
 その誤魔化しと偽りの語り口の背後にいる者たちですら、世界に対する誤魔化
しの意図に満ちた非人間的な視点の囚人として捕らわ れか ねない。プロパガン
ディストたちは自らの手が作り上げてきたものの囚人となるかもしれない。ペン
タゴンの権力についての論調は、 アメリカとロシア連邦ある いは中国との間に
ある対立など取るに足らない結果しかもたらさず核戦争の可能性を伴わないもの
だと、アメリカの政策立案者に考え させるのだが、ロシアと中 国のどちらも核
兵器という致命的な武器と大規模な軍を持つ恐るべき同盟を形作っているのだ。
アメリカと、ロシアか中国との衝突 は、この惑星上のあらゆる生 命にとって壊
滅的な結果をもたらすかもしれない。
 もし情報がこの情報時代に正しく使われないのなら、アルバート・アインシュ
タイン がかつて語ったように、我々は石器時代に戻るのかもしれない。

*注釈
*[1] テーブルの上にあるものは簡単にロウジー・グレイとBuzzFeedの上に投げ
返されていたのかもしれない。彼らは同じ論法をトール・ハルヴォルセン・メン
ドサと結び付けて
<http://www.buzzfeed.com/rosiegray/is-this-the-face-of-a-new-global-
human-rights-movement>使ったのだ。その返答としてグレイは、ベネズエラの反
政府派リーダーであるレオポルド・ロペス・メンドサのいとこであ るトール・
ハルヴォルセンとつながりがあったためにベネズエラの反政府抵抗運動を支持し
たのかと、尋ねらる可能性もあっただっただろう。
 ハルヴォルセンは怪しげにも自分のいとこをオスロ・フリーダム・フォーラム
で人権運動のリーダーとして紹介している。ハルヴォルセンと ロペスは、ウ
ゴ・チャベスをあらゆる手段を使って取り除こうとしたベネズエラの寡頭支配者
層のメンバーなのだ。
  ジャーナリストのマックス・ブルメンタルによれば、ハルヴォルセンは
CIA要員の家族の出であるばかりでなく、彼自身が元々は「人権活動 家の雰
囲気の裏 で、目に付きにくい形でネオコンサーヴァティヴなアジェンダを推し
進める、帝国主義的な政治権力を確立するための資産を作り上げてきた学 生活
動家」なので ある。ブルメンタルが語っているのはハルヴォルセンが人権を隠
れ蓑にしていることだが、それは、NATOによる戦争を通してリビアの政権取
り換えを可能にする作業への人権団体 の関わり
<http://www.globalresearch.ca/libya-and-the-big-lie-using-human-rights-
organizations-to-launch-wars/26848>によって証明されるように、極めて一般
的なものである。
  ブルメンタルはまた「ハルヴォルセンの主要なPR媒体はBuzzfeedなのだ
が、その記者であるロウジー・グレイは2013年にオスロ に飛び、彼のプロ
フィールと彼のオスロ・フリーダム・フォーラムにこびへつらう記事を書いた。
(グレイは、ハルヴォルセンが彼女の旅費を出してくれたかど うか、食事や宿
泊 などの経費を提供してくれたかどうかは、明らかにしていない。)」
 グレイが政権取り換えについてハルヴォルセンと同じ見解を持っているかどう
か 尋ねてみる価値がある。ハルヴォルセンは圧倒的に、富と権力、同時に/ある
いはベネズエラやロシア、スーダン、中国、北朝鮮およびベラ ルーシのような
国々 の政権に反対する反体制派の側に付いているように思える。フィリピンや
シンガポール、コロンビア、イスラエル、韓国、フランスおよびアメ リカの政
権に反対 する反体制派がどうしてハルヴォルセンの周囲にはいないのか、疑問
に思う人もいるだろう。

【訳出、ここまで】


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