[CML 030820] 2013年参院選無効請求訴訟で上告――定数配分の格差の是正で投票価値の格差(死票率の格差)はさらに拡大する

OHTA, Mitsumasa otasa at nifty.com
2014年 4月 14日 (月) 23:58:17 JST


[転送・転載歓迎します。重複受信の際はご容赦ください。]

2013年参院選無効請求訴訟の訴えが東京高裁で2014年1月30日に却下・棄却されたので、4月11日に上告理由書と上告受理申立て書を提出しました。

2013年参院選無効請求訴訟で上告――定数配分の格差の是正で投票価値の格差(死票率の格差)はさらに拡大する
http://kaze.fm/wordpress/?p=527
上告理由書
http://otasa.net/documents/2013Election_Appeal_to_the_Supreme_Court.pdf

争点としては供託金・立候補者数規定、野宿者などの選挙権の剥奪、無所属候補の比例区定数枠からの締め出し(立候補権の制限)も掲げていますが、従来の定数是正訴訟の争点「定数配分の格差」と同型でありながら原判決が判断していない争点、つまり選挙区によって異なる選挙制度を適用することで投票価値の格差(死票率の格差)をもたらす問題についてだけ、上告理由書から転載しておきます。

訴状や準備書面とは別の表現で分かりやすくなっていると思います。表「従来の定数是正訴訟と同型でありながらより重要な本件訴訟の争点「死票率の格差」の構造(従来の定数是正訴訟との比較)」も分かりやすいと思うので、添付ファイルかブログでご覧ください。

第6 選挙区によって異なる選挙制度を適用することは投票価値の格差をもたらす/千葉県選挙区の選挙の違憲性とその他の選挙区の選挙の違憲性
 1 従来の定数是正訴訟の争点「定数配分の格差」(上掲平成24年大法廷判決にいう「投票価値」の格差の一類型)と同型でありながらより重要な本件訴訟の争点「死票率の格差」(同判決にいう「投票価値」の格差の一類型)について憲法判断しない原判決――投票価値の格差の本質は生票と死票の対立にこそある
  (2) 定数配分の格差より死票率の格差の方が重大――定数配分の格差の是正で投票価値の格差はさらに拡大する

[1] 定数配分の格差では、都市部が地方より議員1人当たりの有権者数が多いことが問題とされる。しかし実際には、例えば2012年衆議院選挙の場合、鳥取第1区の当選者の得票数は124,746票で、生票率は 85%、神奈川1区の当選者の得票数は101,238票で、生票率は41%、東京1区の当選者の得票数は82,013票で、生票率は29%となっている。つまり、これら選挙区に限れば、生票を投じることで実質的に投票に参加している有権者数はむしろ地方より都市部の方が少なく(都市部では立候補者数が多く、死票率が高いことなどが原因と考えられる)、生票を投じる有権者に限れば、都市部が地方より投票価値が低いとはいえないのが実態である。ただし、都市部ほど死票を投じる有権者が多いという点で、都市部の方が投票価値は低いといえる。
[2] 衆議院選挙の選挙区選挙において25選挙区もある東京都の有権者が、議員1人当たりの有権者数が2選挙区の鳥取より多いからといって、鳥取から1議席を東京に移して東京の議席が26議席になったところで、東京の地域代表性が高まることに意義を見いだす有権者はあまりいないであろう。現在ほどの定数配分の格差は、地域代表性の格差としては、ほとんど意味がないほどに小さい。
[3] しかも、1選挙区当たりの定数を変えずに議員1人当たりの有権者数を減らしても「有権者個人」の投票価値が高まらないことは、訴状第2の3の(2)「投票価値の格差の本質は生票と死票の対立にこそある」(6ページ以降、特に(2-ア)「投票価値の本質」8ページ)で実証した。
[4] 新たな例で説明すれば、ある1人区の有権者すべてが、1人2票を持つようになったとしても、投票価値が2倍になることはない。例えば、自由民主党候補の集票力が2倍になるが、民主党候補の集票力も2倍になり、両党候補の力関係は1人1票の場合と何ら変わらないからである。
[5] 衆議院選挙区のように1選挙区当たりの定数が同じ選挙区どうしを比べれば、都市部は一面で投票価値が地方より高く(生票率が低い)、他面で低いが(死票率が高い)、地域代表性は地方とさほど変わらない。しかも、1選挙区当たりの定数を変えずに議員1人当たりの有権者数を減らしても死票率は低減せず、全体的な投票価値が高まることはない。
[6] 参議院選挙区の場合は、地方ほど1選挙区当たりの定数が少なく死票率が高く、都市部ほど同定数が多く死票率が低いので(第6の「4 憲法要請「国民の厳粛な信託」から導かれる定量的な選挙制度条件を検討せずに憲法判断をする原判決」参照)、「定数配分の格差」を是正するために地方から都市部へ議席を移して、地方の1選挙区当たりの定数を減らし、都市部の1選挙区当たりの定数を増やすと、地域代表性はさほど変わらないが、両地域の間における死票率の格差という投票価値の格差はさらに拡大する。
[7] 従って、「有権者一般」で議員1人当たりの有権者数の多寡を比べても、さほど意味がないどころか、参議院選挙区における「定数配分の格差」の是正によって、地方と都市部の間における投票価値の格差はさらに拡大してしまう。定数配分の格差より、1選挙区当たりの定数などで規定される死票率の格差の方が、重大である。
[8] しかるに、原判決は、従来の定数是正訴訟の争点「定数配分の格差」(上掲平成24年大法廷判決にいう「投票価値」の格差の一類型)と同型でありながらより重要な本件訴訟の争点「死票率の格差」(同判決にいう「投票価値」の格差の一類型)について憲法判断をしていないから、重大な審理不尽、理由不備・理由齟齬の違法を犯している。


太田光征


CML メーリングリストの案内