[CML 030727] 強制とは何か(2)河内謙策さんへの質問

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2014年 4月 9日 (水) 22:02:25 JST


前田 朗です。
4月9日

ブログを更新しました。

強制とは何か(2)河内謙策さんへの質問
http://maeda-akira.blogspot.jp/2014/04/blog-post_9.html

前回は国内法の誘拐罪について質問しました。今回は国際法です。

「慰安婦」問題で真っ先に取り上げられてきたのは、醜業条約と略称される19
10年の醜業婦ノ取締ニ関スル国際条約です。他にも同協定や婦人等売買禁止条
約がありますが、ここでは1910年醜業条約について確認すれば十分です。 

第1条	何人ニ拘ラス他人ノ情欲ヲ満足セシムル為メ売淫セシムル意思ニテ未丁
年ノ婦娘ヲ傭入レ誘引若クハ誘惑シタル者ハ仮令本人ノ承諾アルモ又犯罪構成ノ
要素タル各種ノ行為カ他国ニ於テ遂行セラレタルトキト雖モ処罰セラルヘキモノ
トス 
第2条	何人ニ拘ラス、他人ノ情欲ヲ満足セシムル為メ売淫セシムル意思ニテ詐
偽、暴行、強迫、権勢其他強制的手段ヲ以テ成年ノ婦娘ヲ雇入レ誘引若クハ誘惑
シタル者ハ仮令犯罪構成ノ要素タル各種ノ行為カ他国ニ於テ遂行セラレタルトキ
ト雖モ処罰セラルヘキモノトス 

(1)	第1条は、未成年女性(本条約では21歳以下)については、たとえ本
人の承諾があっても誘引・誘惑を犯罪としている。  
(2)	第2条は、成年女性については、「詐偽、暴行、強迫、権勢其他強制的
手段」による誘引・誘惑を犯罪としている。「詐偽」は「強制的手段」の例とし
て明示されている。

日本政府はこの条約批准時に植民地に適用しない旨の留保をしたことが知られて
います。以上のことから、「強制があったかなかったか」に絞ってみると、次の
ことが言えます。 

(1)	日本軍に「慰安婦」とされた非常に多くの未成年女性(なかには15歳
や16歳の女子が多数いた)については、本人に同意能力がなく、すべて第1条
に当たる。それゆえ「強制」であった。ただし、条約は適用されないとすれば、
「犯罪」として処罰しなかったことは条約違反とまでは言えない。
(2)	「慰安婦」とされた成年女性のうち、詐偽によって騙されて連れ出され
た事案は「強制」であった。ただし、条約は適用されないとすれば、「犯罪」と
して処罰しなかったことは条約違反とまでは言えない。

前回取り上げた国外移送目的誘拐罪の大審院判決以後、日本政府は「渡航規則」
に改正を加えて、日本本土からの酌婦渡航を禁止しましたが、植民地である朝鮮
半島等からの酌婦渡航を禁止しませんでした。醜業条約も植民地には適用しない
と決めました。つまり、日本政府は、あえて朝鮮半島等からの「慰安婦」連行を
行いやすいようにしました(この件は小林久公さんの研究に詳しい)。 

河内さんへの質問です。 
(1)	醜業条約の強制の定義に詐偽が含まれることをどうご覧になりますか。
 
(2)	朝鮮人、中国人等の「慰安婦」に未成年者が多数いたことをご存知です
か。 
(3)	それとも、条約は植民地に適用されないという理由から、強制の定義そ
のものを否定されるのでしょうか。
(4)それとも、これ以外の強制の定義を想定されているのでしょうか。





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