[CML 030696] タカ派ジャーナリストとしての馬脚を現わした山田孝男記者(毎日新聞『風知草』筆者)の反ジャーナリスト性 ――「高村は何を説いたか」という「集団的自衛権限定行使容認」礼賛論(風知草 2014年4月7日)

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2014年 4月 7日 (月) 23:04:27 JST


高村正彦自民党副総裁が先月31日の自民党総裁直属機関の「安全保障法制整備推進本部」(本部長・石破茂幹事長)の初会合で、
国の存立のための必要最小限度の自衛権を認めた1959年の砂川事件の最高裁判決を論拠にして欺瞞的かつ牽強付会な「集団的
自衛権限定行使容認論」をぶちあげたことについては、すでにいくつかのマスメディアは、このようなやり方がいったん認められれば、
「憲法が空文化し、権力が憲法を順守する『立憲主義』は形骸化する」(東京新聞社説)として強い調子で厳しく批判しています。

      ■集団的自衛権 「限定容認」という詭弁(東京新聞社説 2014年4月5日) 

      http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014040502000148.html
      「限定的なら認められる、というのは詭弁ではないのか。集団的自衛権の行使の「限定容認論」である。政府の憲法解釈は
      長年の議論の積み重ねだ。一内閣の意向で勝手に変更することは許されない。」

      ■集団的自衛権 砂川判決のご都合解釈(朝日新聞社説 2014年4月6日) 

      http://www.asahi.com/articles/DA3S11070230.html?ref=editorial_backnumber
      「牽強付会とはこういうことをいうのだろう。(略)学説としてまともに取り上げられていない解釈を、あたかも最高裁の権威に
      裏付けられたかのように振りかざすのは、誤った判断材料を国民に与えることになりかねない。(略)こんなこじつけに説得
      力があるはずもない。」

そうした中、毎日新聞『風知草』のコラムニストの山田孝男記者(編集委員)は、自らのコラム『風知草』において、その「集団的自衛権
限定行使容認論」をぶちあげた高村氏を礼賛する記事を書いています。「高村は何を説いたか」(『風知草』2014年4月7日付)。

同記者は3年前の福島原発事故以来、他紙の記者に先んじて「脱原発」を明確にした一見剛直に見える記事を書いてきたこと。小泉
元首相の「脱原発宣言」をスクープしたあたりから権力志向の書きぶりだけがなにやら目についてきて、その「剛直さ」に陰りと濁りが
生じ、驕りが露わになってきたことについてはすでに書きました。

■「風知草」(毎日新聞)コラム筆者の山田孝男記者(編集委員)の「日本維新の会」ばりの認識を批判する(弊ブログ 2014.02.28)
http://mizukith.blog91.fc2.com/blog-entry-797.html

一見剛直に見えたその書きぶり。だから、一見「革新」志向のようにも見えたその書きぶりの思想の「核」は、実のところ、「右派」の
論客の人のそれでしかなかった。そういうことどもが「小泉」礼賛記事以来一挙に透けて見えてきました。そして、今度の「高村」(「集
団的自衛権限定行使容認論」)礼賛記事です。山田孝男記者(編集委員)の反ジャーナリズム性、反ジャーナリスト精神は雪どけの
ときの地盤のようにくっきりと露呈してきました。

そういうこともあるのか。東京新聞や朝日新聞のような「集団的自衛権限定行使容認論」に対する毎日新聞自体としての社説はいま
のところ書かれていません。山田孝男記者と同様、毎日新聞の編集委員総体が右派の思想に冒されているということか。毎日新聞
総体としてのジャーナリズム性が問われている事態といわなければならないでしょう。 


それにしても、小泉元首相の「脱原発」宣言礼賛という自身の思想の遠景には「集団的自衛権限定行使容認」礼賛という右派的な思
想のパトス(情動)が伏在していたことを今回の記事で山田孝男記者ははからずも読者に示してくれたように思います。

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■風知草:高村は何を説いたか=山田孝男(毎日新聞 2014年04月07日)
http://mainichi.jp/shimen/news/20140407ddm002070174000c.html

同じ主張も、安倍晋三首相(59)の口から出ればたちまち「右傾」「危険」と反発を招くが、高村(こうむら)正彦自民党副総裁(72)だ
と、そうでもない。この違いはどこからくるか。ポイントはバランスだろう。

週末、高村と話して最も印象に残ったのが、このセリフである――。

「国の平和を守るためには平和外交努力と一定の抑止力が必要なんですよ。これ、私から見ればアッタリマエなんだけど、世の中に
は、平和外交努力を極端に軽視する人と、抑止力を極端に軽視する人がいる。両極端は少数だけど、バランスを欠いている人って
ワリに多いんですよ」

先週、高村は「集団的自衛権」の行使を条件付きで認める方向で自民党内の論議を落ち着かせ(3月31日)、慎重派の山口那津男
公明党代表(61)とも会談した(4月3日)。

多難と思われた与党内調整の歯車が回り始めたとも見える局面である。

◇

集団的自衛権とは、自国が直接攻撃されていなくても、同盟国などが攻撃されれば参戦する権利のことである。国際法で認められて
いるが、日本は「憲法9条があり、行使できぬ」と自らを縛ってきた。

縛り過ぎて非現実的だから緩めようというのが安倍政権。それも憲法改正ではなく、憲法解釈の変更で緩めたい考えであり、そのこと
の是非をめぐって延々議論が続いている。

自民党内の議論が収束に向かったのは、高村が砂川事件の最高裁判決(1959年)を持ち出してからだと言われている。

砂川裁判とは、57年、東京都砂川町(現立川市)で起きた反米軍基地闘争の刑事罰をめぐり、そもそも日米安保体制が合憲か否か
が争われた訴訟である。

最高裁は日米安保を合憲と認め、「わが国存立のため、必要な自衛権行使は当然」と宣言した。

それを出すとなぜ議論が収まるのか。高村に聞くと苦笑して答えた。

「(自民党の)総務懇談会(3月17日)で(安易な憲法解釈変更は)立憲主義に反するという話が出たので、『その通りだけど、憲法の
番人である最高裁はこう言ってますよ』と私が説明したわけです」

「そしたら、後で数人から『あれで勝負ありましたね』と言われてね。あ、これ効くんだと思った。いわば総務懇談会における成功体験
から、そういう流れになったんですよ」

一方、公明党は納得していない。そもそも集団的自衛権という問題が意識されていなかった時代の最高裁判決など、決め手にならぬ
と言っている。

それはそれでもっともだと思う。つまるところ、砂川事件の最高裁判決は、皆が平伏する水戸のご老公様の印籠(いんろう)ではない。

自民党内の異論はなぜ収まったか。もともと改憲政党だからという面もあろうが、高村の経験、貫禄が物を言ったと思う。

当選11回。弁護士。国務大臣・経済企画庁長官を経て格下の外務政務次官を2期。外相2回、防衛相、法相を歴任した党内屈指の
外交・安保論客だ。

そしてここが大事だと思うのだが、外相として対中外交に深く関わり、日中友好の旗を降ろさぬ日中友好議連会長である。

集団的自衛権は、国際法と憲法、日本防衛と日米防衛協力、アジア外交にまたがる難問である。

難問を解く「アッタリマエのバランス」が、自民党内だけでなく国民に広く行き渡り、理解される必要がある。(敬称略)
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東本高志@大分
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