[CML 026668] 計画行政

hayariki.net info at hayariki.net
2013年 9月 21日 (土) 10:52:42 JST


今日の行政は様々な計画を立案し、その計画に基づいて業務を遂行している。行政各部署が法律や条例・予算で定められた範囲で計画を立案し、その計画に基づいて業務を遂行することは効率的な業務遂行をする上で当然である。問題は計画が事実上、法律・条例や予算の根拠となっている日本の計画行政の実態である。 

本来、行政は議会の議決した法律・条例や予算に基づいて執行されるものである。主権者の代表者である議会の議決の枠内で行政が執行されることで、主権者の意に沿った政治が実現する。これが民主主義、法の支配である。ところが、行政が基本計画などの名称で長期的な計画を立案することがある。そして、その計画に基づいて法律・条例が整備され、予算がつけられるという傾向がある。行政を縛るべき法律・条例や予算の上位に行政の立案する計画が位置するという民主主義にとって本末転倒の事態になる。 

計画には法律・条例や予算のような行政に対する拘束力は期待できない。行政にとって計画が都合よければ計画を根拠に強行する。行政にとって都合が悪くなれば計画を見直せばいい。計画は行政にとって都合の良い道具である。 

憲法に明文の根拠のない行政計画が大手を振っている状況に対して問題意識が乏しいことは驚くべきことである。ここには批判主体となり得る左翼の旧ソ連への憧憬がある。旧ソ連は五ヵ年計画や計画経済など計画行政中心であった。民営化には激しい拒否反応を示しても、官僚の立案する計画には甘くなる。 

この官僚批判の鈍さは相対的に新興の市民派が革新政党を見限る要因となった。新興市民派が伝統的な革新政党ではなく、小沢一郎氏の政治勢力を熱烈に支持した要因は官僚政治の打破に期待したためである。アベノミクスが公共事業による景気回復を図る旧態依然の土建政治である以上、新自由主義に対する保守本流という対立軸で小沢氏を支持する魅力はない。生活の党支持者は対米従属の打破を主張することが多いが、小沢氏の過去の言動との一貫性の点で穴が生まれる。生活の党の復権は徹底した官僚批判となるだろう。 

閑話休題。現実問題としては、行政のような複雑・巨大な組織が計画に基づいて業務を遂行することは不可避である。PDCAサイクル(plan-do-check-act cycle)は民間組織では当たり前の手法である。業務の公共性を理由に民間の手法を取り入れることへの抵抗する向きもあるが、既得権益擁護者として批判を免れない。効率的な業務遂行は税金の無駄遣いを防ぎ、納税者の利益になる。但し、この利益は上からの効率的なマネジメントによる利益に過ぎず、民主主義の政治体制が主権者にもたらす利益とは別問題である。 

行政には法律・条例や予算の上位になるような計画立案は行政の越権として許さないことが正論である。一方で法律による行政の原則自体が委任立法で骨抜きにされている日本の現状を踏まえるならば、原則論だけでは不十分である。計画立案への議会の関与や住民参加を制度的に保障するなど計画自体を民主政治の枠内に取り込むべきである。
http://hayariki.net/futako/34.htm 
-- 
林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』
http://www.hayariki.net/
http://hayariki.zero-yen.com/


CML メーリングリストの案内