[CML 026447] 貧困問題へのアプローチ

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2013年 9月 10日 (火) 21:25:27 JST


貧困問題は現代日本における重要な論点である。都政わいわい勉強会in東部地区でも子どもの貧困、学生の貧困(学費減免運動)、住まいの貧困(都営住宅増設、脱法ハウス)、ブラック企業、ブラック士業など貧困問題に関する様々な話題が出た(都政わいわい勉強会in東部地区実行委員会編『都政わいわい勉強会in東部地区』Amazon Kindle)。 

一口に貧困問題と言っても漠然としており、様々な課題や現象がある。しかし、多岐に渡る貧困問題も、その原点は「貧困は許せない」「貧困は不合理」「貧困はなくすべき」との思いがある。この原点を大切にしたい。この思いこそ、貧困問題が市民の幅広い共感を得られる要因になっているためである。貧困問題はイデオロギーや党派を超えて取り組める課題である。目指すべき社会像が異なっていても、目の前の貧困撲滅には一緒に取り組むことができる。 

この点を突き詰めたテーマとして貧困ビジネスの問題がある。具体的にはゼロゼロ物件や脱法ハウスなどである。貧困ビジネスを取り上げるメリットとして、「貧困ビジネスは許せない」「貧困ビジネスを撲滅しよう」で価値観の一致が得られることである。そこに保守と革新の区別はない。むしろ保守の方が義侠心を持って貧困ビジネスに積極的なケースもある。埼玉県議会で貧困ビジネス規制条例を提案した会派は自民党である(林田力『ブラック企業・ブラック士業』「ブラック企業と参議院議員選挙」)。 

貧困問題のネックとなる議論は何と言っても「そこまで公が責任を持つべきか」「財源はどうする」である。この点でも貧困ビジネスの撲滅は公の負担増に直結しないため、党派の別なく支持できるテーマである。市場原理を重視する第三極的な主張も貧困ビジネスの排除は支持できる。むしろ貧困ビジネスのような悪徳業者の規制は、民間活力導入の大前提になる。 

貧困問題の背景には格差・不平等がある。そこでは官民格差や年金と生活保護の格差、ワーキングプアと生活保護の格差、都営住宅住民と一般住宅の住民の格差、認可保育園利用者と無認可保育園利用者の格差も槍玉にあがる。そのために、公務員の労働条件の低下や生活保護などの福祉施策の切り下げを合理化する議論に進む可能性もある。 

この種の議論は従来型の左翼的な市民運動の受け入れるところではないが、このような発想からの貧困問題へのアプローチを否定・排除すべきではない。これも立派な貧困問題への取り組みである。格差を低い方に合わせることは批判できても、格差の解消は望ましいことである。 

様々な政治的立場の人々が各々の考えで貧困問題に取り組むことは好ましいことである。一方でテーマによっては、議論を深めるならば、のっぴきならない党派的対立が生じてしまうことも確かである。その意味でも貧困ビジネス撲滅は共闘しやすいテーマである。 

貧困ビジネスの問題は東京都の政治課題でもある。東京都は悪徳商法の最前線である。「よい意味でも悪い意味でも、流行は東京から始まります」(脱法ハーブ問題についての猪瀬知事・東京都議会答弁)。東京都は貧困ビジネスの先進地でもある。石原都政でも悪質なゼロゼロ物件業者を宅地建物取引業法違反で業務停止処分にしたなど、一定の評価できる動きがあった(林田力『東急不動産だまし売り裁判5東京都政』「開発問題から考える東京都政の課題」)。 

このような東京都の規制に加えて、シェアハウスという新たな住まいの形が流行したことによって、ゼロゼロ物件自体が社会的な存在意義を失った。シェアハウスは猪瀬直樹・東京都知事の目玉政策でもある。都政全体の中でシェアハウスの占める割合は限りなく小さいものの、猪瀬色が乏しいと評されている中で、シェアハウスは貴重な猪瀬都政の特徴になる。 
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猪瀬知事の構想は、独居高齢者が増えている都営住宅を若者が共同で暮らす「シェアハウス」として提供し、異世代交流を促すというものである。若者の住宅難と独居高齢者の問題を解決する一石二鳥の政策である。一方で貧乏な若者に独居老人の介護を押し付け、貧乏人同士の共助による公の責任回避とも批判される。 

また、シェアハウスそのものが新しい住まいの形として肯定的に評価される一方で、ゼロゼロ物件などの貧困ビジネスの隠れ蓑になっているという問題が明らかになった。脱法ハウスの問題である。ゼロゼロ物件・シェアハウス・脱法ハウスを軸に貧困ビジネスの問題を取り上げることは、東京都政と関係し、党派的対立から離れた議論が可能と考える。

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林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』
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