[CML 026392] パレスチナから考えるシリア問題:オバマと世界的抵抗運動

Yasuaki Matsumoto y_matsu29 at ybb.ne.jp
2013年 9月 7日 (土) 20:15:00 JST


みなさまへ      (BCCにて)松元

オバマが「一線を越えた」とシリア攻撃の意思を発表したとき、私はすぐさま
2008年から09年にか けてイスラエル軍に猛爆されたガザを思い出した。犠牲者
は、子ども431人を含 む1440人で あった。白昼堂々、白燐弾が使われた。この
とき、新大統領のオバマはこの攻撃を黙認した(ゴーサインを出したのはオバマ
であったという情 報もある)。その後、この戦争犯罪にかんする国連調査団の
報告は、米国/イスラ エルの覇権によって握りつぶされた。

こ こに紹介するのは、西岸パレスチナの大学で教鞭をとるマーゼン・クムセッ
ヤ教授の「オバマとグローバル・インティファーダ」である。「パ レスチナか
ら考え るシリア問題」と名付けたのは私であるが、下段に付した著者紹介から
も、パレスチナ人の代表的な意見、願いと考えて差支えないように思 う。拙訳
ですが読ん でいただけるとありがたい。

化 学兵器使用者の特定も大事だが、いま進行している世界の構図を見抜くこと
がさらに大切のように思う。中東紛争の中心にいるマーゼン・クム セッヤ教授
はその 見取り図を与えているが、私たちもまた、日本からのシリア問題、日本
からの中東問題を考える必要に迫られていると思う。いずれにせよ、メ ディア
や各国政府 の振りまく「人道危機」や「人道支援」という甘言に足元を掬われ
ていては民衆の夜明けはこないと思う。

※注:文中カッコ内は、若干の単語挿入以外すべて原著者のものです。

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*Obama and global intifada*

*パレスチナから考えるシリア問題:オバマと世界的抵抗運動 (グローバル・イ
ンティファーダ)***

*マーゼン・クムセッヤ(**Mazin Qumsiyeh**)(松元保昭訳)***

2013年9月2日(投 稿日8月31日)

インティファーダ・パレスタインより

シリアで争われている権力争い(パワーゲー ム)を理解すること は難しくはな
い。あたりまえの人間であるなら、人間性の未来を決定づける対立において傍観
者的立場に立つべきではない。(高まる)世 界的抵抗運動が広がっ ており、戦
争と覇権(ヘゲモニー)は拒絶され、現在オバマ大統領でさえその圧力に動揺し
ている。(本当はシオニストの世紀だったの に、誤って「アメリカの 世紀」と
称されてきた)ほかならぬ第二次大戦後の世界秩序の土台がぐらついている、こ
れは地震である。長いあいだシオニストのプロパ ガンダにさらされてき たイギ
リス、フランス、およびアメリカの国民が、大変革に合流 してきた。とりわけ
イギリス議会が戦争に反対採決したあと、政治家たちがうろたえ始めた。これ
は、第二次大戦以来のイギリス政治にお ける米国/イスラエル のヘゲモニーに
とって初めての大きな衝撃的な敗北であった。

米国オバマ大統領はイギリス議会の評決のあと、レバノン、シリ ア、イラン、
ロシ ア、中国の明らかに強固な立場、そしてさらに、CNNウォルフ・ブリッ
ツァーのようなイスラエル・メディアの手先による扇動の試みにもか かわらず
米国内の 圧倒的な国民の反対に直面して、当惑させられた。とくに国連の委任
もなく米国民の支持もないシリアへの軍事攻撃の潜在的影響にかんして、 彼自
身の情報機関 が彼に伝えたことでもまた、オバマは動転してしまった。これら
の反応には、シリアの強力な防衛能力および攻撃能力という軍事的影響が含ま
れていた。下され た「実験的」侵略には機密漏洩があった。だが検討された影
響の中には、イ ランを弱体化するよりもむしろ強化する(そもそも、これはイ
ラク後に起こったことである!)ことが含まれている。オバマ大統領は、彼 の
シオニストと非シオ ニストの助言者および重要な政府高官たち(そのグループ
には反シオニストがいない)との話し合いに何時間も費やした。イスラエル/米
国ヘゲモ ニーを維持しようとするには何のオプションもないことに直面したオ
バマは、時間を稼ぐために議会に議論をなすりつけ、決定しないことを決 定し
た。シオニズムにとって良いと認めること は米国市民にとって良くないことに
なると圧倒的に立ち上がってシリアとの戦争を拒否し、イスラエルが占拠した米
国議会に圧力をかけるのは、現在、アメリカ国民次第である。

オバマがちょうど嘘をついたとき、ロシア大統領は、彼が「常 識」と呼んだ幾
つか のキーポイントを発表した。ロシアと米国は、敵・味方のすべてのグルー
プが招請されていた政治的解決のための会議にかんする基本事項には 合意して
いた。ロ シアは、(大部分のシリア人が、西側が支援した悪党グループと西側
が支援した傭兵たちとの対話に反対したにもかかわらず)このジュネーブ 会議
に参加するよ うシリア政府を説得していた。イスラエルの圧力のもとで、米政
権はそれらの合意を再検討し始めた。そして彼らの敵が打ち負かされ降伏しな
い限り、敵との議 論に参加することは出来ないと彼らの手先たちが公表した!
次に、西側とイスラエルが支援した原理主義者の反乱軍に対して勢いを得たシリ
ア 政府軍は、ほんの わずかな囲いにまで彼らを追い詰めていた。シリアは、ド
アを開いていたし国際的な査察団も来ていた。こうした条件の下で、プーチンは
正し くも指摘してい る:誰が化学兵器を使用する利益があるのか:シリア政府
か、あるいは彼ら自身打ち負かすことのできなかった西側政府の敗北の弁解を提
供し ようとする反乱軍 か?それは常識である。シリア、ロシア、および中国、
そして全人類は、論理的に問う:もし米国が、シリア政府が自国民(自国の兵士
も含 む)を攻撃するため に化学兵器を使用したという証拠をもっているなら、
そのときはわれわれに証明してみせよ。なぜ国連調査団の権限がそれらを誰が使
用したか を調査することで はなく、使用されたかどうか見つけ出すためにのみ
制限されていたのかと、彼らは正しくも問うている。イスラエルと米国の情報機
関がイラク 戦争をでっちあげ た嘘の後で、現在、彼らは再び証拠を捏造するこ
とにむしろ消極的のようだ。

オバマは多くの別のことにも嘘をついたが、おそらく真実に近づ いた彼のス
ピーチ の唯一の部分は、自分はシステムの一部であり自ら決定することが出来
ないと認めたときである。現在、軍産複合体は、米国国家政策において どんな
大統領でも それに異議申し立てするにはあまりに堅固に確立されている。実
際、異議申し立てする可能性のわずかなチャンスさえあるなら、誰も大統領に
なることは許され なかっただろう。だからオバマは言う:私はいつも機械とと
もにいます。権力を握った以前から機能していた機械とともに私はいます。これ
に よって、彼の 「チェンジ(変化)」というキャンペーンのレトリック(修
辞)は、まさにアメリカ人の言う「まったくのはったり(ナンセンス)」であっ
た ということを彼は 示していたわけだ。これが、オバマが行き詰まる理由だ。

そういうわけで、オバマは立ち往生している。オバマ大統領が、 わずか一週間
前 に、マーティン・ルーサー・キング・ジュニアに賛辞を呈したとき、彼は偽
善者であった。有名な話であるが、米国は地球上でもっとも偉大な 暴力の提供
者であ ると、キングは語っていた。米国国民は、彼らが市民権を、女性の選挙
権を、ベトナム戦争の終結を、南アのアパルトヘイトにたいする米国援 助の終
結を、もっ と多くのことを獲得するために以前の政治家どもを強いたように、
まさにチェンジをオバマと議会に強いることが出来るし、またしなければならない。

中東でもっとも不安定化している国が、米 国の何十億ドルもの血税を無条件に
受け取っているという事実は依然残されたままである。核兵器を含む大量破壊兵
器を中東に持ち込み、何百万人も の難民をもたらしたそ の国。一般市民に劣化
ウランや白燐弾を使ったその国。米国の何兆ドルもの血税を使い何百万人もの命
を奪ったアフガニスタンやイラクが 果たしたように、米国 を戦争に突き進ませ
るためロビー活動で働きかけ5回の戦争を 開始したその国。人種差別やアパルト
ヘイトの犯罪に対して国際協定で議論された基準のすべてに当てはまるその国。

最近イスラエルが引き起こした紛争は、シリアにおける政府の形 態にかんする
ものではないというのが事実である。米国/イスラエルが支援した1ダースもの
アラブ諸国の独裁者たちは、シリアのバッシャール・アサドよりもはるかに、は
るかに悪い。パレスチナ人の大義を破壊するためにアラブ 世界の傀儡独裁者た
ち に援助し、シオニスト・ロビーの影響下で国務長官を通じた米国による明ら
かな策謀であるという事実が依然として残っている。この範域 (パラメー
ター)は明 白である:占領された西岸の一部をパレスチナ人の傀儡連中がヨ ル
ダンとの連邦で国家 と呼べるようなパレスチナ人の自治の制限、彼らの家や土
地に帰還する難民の権利などパレスチナ人の諸権利の粛清。これらは、イスラエ
ルというアパルトヘイ ト国家の「ユダヤ人」を確実なものにするだろう。ガザ
は、エジプト政権に帰属させられるか、あるいはイスラエル高官の一人が語った
よ うに「ガザの(あらゆ る部門を)ダイエットさせることによって」その管理
を継続するだろう。この計画に貫かれていることは、抵抗運動を無益に思わせる
こと である。イスラエル は、ボイコット、資本引き上げ、および制裁措置と闘
うためにハイレベルの行政委員会を配置した。ヒズボラ―シリア―イラン枢軸を破
壊 しなければならない と、イスラエルは米国に伝えた。発展途上のアラブ諸国
は、潜在 的には、イラクで始 まっている宗派主義および別の闘争(分断統治)
の渦中にあってばらばらにされるだろう。彼らは、シリアが、処分されたリビア
と同じや り方で取り除くことの できる次の弱い環であると考えたのだが、その
悪魔のような分断統治の陰謀に対する拒絶の程度を、彼らはみくびったのだ。

実際に起ったことは、正反対である。むしろ強固になった障害 は、イランで始
ま り、イラクおよびパレスチナ、そして全世界に広がって発展した。反革命的
な努力は失敗しており、幾つかの場面では、抵抗運動を一体化し強 化して逆の
効果を 生み出している。レバノンにおいては、宗派間の争いを燃え上がらせる
幾つかの試みが、惨めな失敗に終わった。中国、ロシア、ヴェネズエ ラ、およ
び他の政府 の立場は、米国/イ スラエルの覇権に抵抗する国際的な合意を反映
するようになってきた。中立の立場を主張できる政府はないし、そんな人間はど
こにもいない。 何百万ドルという 代価を払って、まさにわずかの人々の利益の
ために世界を支配しようとするこうした悪魔の試みがあるとき、中立はむしろ無
意味である。すべ ての国々(パレス チナ、アメリカ、イギリス、フランス、ロ
シア、中国など)の圧倒的多数の人々は、さらに破壊的な対立の中に世界を引き
ずり込もうというシ オニストの策謀に 反対してもう一方の側に立っている。明
白なことは、ここでの勝利がパレスチナの勝利であり世界の全民衆の勝利である
ということだ。

シリアの民主主義を話題にする前に、地球上の圧倒的多数の人々 が要求してい
る事 実を私たちは尊重しなければならない。イスラエル・ロビーに仕えるため
に市民を無視しあるいはプロパガンダで市民を方向付けあるいは市民 を窒息さ
せようと する代わりに、西側の諸政府が自分たちの市民の意思を尊重すること
を地球上の人々は要求しているのだ。シリアの民主主義を話題にする前 に、私
たちはイスラ エルのアパルトヘイトを終わらせなければならない。とりわけ、
米国によって支援されるそれらアラブ産油諸国の抑圧的な体制を終わらせなけ
ればならない。お そらく、いわゆる「シリア反政府軍」(彼らの大部分が傭兵
であることが判明している)と呼ばれる殺人者たちへ資金援助のために湾岸諸国
が 数十億ドルも注ぎ 込んでいる、これが理由である。ネタニヤフとオバマが共
に神経質になっている理由も同じである。シリアを破壊しパレスチナ人の大義を
破壊 する米国/イ スラエルの計画が失敗するとき(そうなるだろうが)、すべ
ては御破算になる。人々は暴政に向かって立ち上がっている。人権のために立ち
上 がっている。それ が、いくつもの政府(米国、イスラエル、サウジアラビ
ア、トルコなど)が狼狽し始めている理由である。ピープルズ・パワーが到来し
てい る、私たち一人一人 はその一部にちがいない。だから、彼らが心配する
もっともな理由もそこにある。みんなのためにより良い世界を構築して抑圧者と
被抑圧者を 共に解放するこの世界的な抵抗運動(グ ローバル・インティファー
ダ)に参加するよう、私たちはあなたがたにお願いする。

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■Mazin Qumsiyeh教 授は、占領下パレスチナのベツレヘム大学およびビルゼイト
大学で研究と教育に勤める。彼はまた、人民間和解のためのパレスチナ・セン
ター の会議議長、およ びベイト・サフール入植地と分離壁に反対する民衆委員
会のコーディネーター(責任者)を務めている。著書に『カナーンの地の分かち
合い: 人権とイスラエル 人/パレスチナ 人の苦闘』および『パレスチナにおけ
る民衆の抵抗運動:希望と権利拡大の歴史』。

(以上、翻訳終り)



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