[CML 027338] 『美味しんぼ 110』風評も批判

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2013年 10月 30日 (水) 22:50:06 JST


雁屋哲原作、花咲アキラ画『美味しんぼ 110』は「福島の真実」編に突入する。福島第一原発事故後の福島の現状を紹介する。『美味しんぼ 110』では原発事故が福島の農業に与えた打撃の大きさを描く一方で、福島の農業の復興に期待が持てる内容もある。主人公一行は行く先々で福島の料理を味わっている。私も福島米を購入し、食べて復興を応援する立場である。 

雁屋氏は福島第一原発事故直後に原発を推進してきた政治を批判する一方で、会津米の安全性を主張して風評を戒めた。福島を差別し、傷つける放射脳カルトが横行する中で、雁屋氏のバランス感覚は健全であり、支持できる。『美味しんぼ 110』でも原発に加えて風評も批判している。 

当初の『美味しんぼ』は不良社員・山岡士郎と食の権威・海原雄山の対決というフィクションのストーリーに魅力があった。しかし、海原雄山が単なるヒールではなく、尊敬に値する人物と分かり、両者の対立も「お約束」のツンデレ的なものになってしまった。フィクションのストーリーの魅力減少に代わって、全国各地で安全で美味しい食の提供に取り組む人々を紹介したルポルタージュの要素が強まった。これは漫画作品として評価する上では賛否が分かれる。 

「福島の真実」編は実際の取材を元にしたと銘打っており、ルポルタージュの要素が濃厚である。一方で主要登場人物のルーツ(自分の生えてきた根)が福島にあるという謎を提示する。福島を差別することで自己の優位性を確認する惨めな放射脳カルトではなく、福島に思い入れがあるからこそ、脱原発の思いに説得力がある。そしてルーツが福島にあるという謎によってフィクション作品としての魅力も増した。
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