[CML 027198] 2020年東京オリンピック「成功決議」について再度論じる ――共産党の弁明は「大政翼賛」への自党の加担を糊塗しようとする牽強付会の説にすぎない

higashimoto takashi higashimoto.takashi at khaki.plala.or.jp
2013年 10月 22日 (火) 19:30:54 JST


私は先の記事(2013年10月18日付)で安倍首相が「嘘に嘘の上塗りを重ね」た上で掠めとった招致決定でしかない東京オリンピック
を成功させるための国会の「成功決議」なるものに無所属議員ひとり(山本太郎参院議員)を除いて衆・参全議員が賛成したオール
与野党(下村博文文科相のいう「オールジャパン」)、その中でもとりわけ野党の最左翼としての共産党を「『大政翼賛』とはまさしくこ
ういう風景ではなかったか?」、とその現代版「大政翼賛」体制への加担を厳しく批判しておきました。
http://mizukith.blog91.fc2.com/blog-entry-688.html

そうした私と同様の共産党批判は少なくない同党フォロワー(同党支持者とは限らない)からも提起されていたようで(村野瀬玲奈の
秘書課広報室 2013年10月18日 http://bit.ly/1b96LmP )、そうした少なくないフォロワーの共産党批判も念頭において、ということも
あるのでしょう。この問題について、同党副委員長の小池晃参院議員がIWJの岩上安身氏のインタビュー(2013年10月16日)に答
えて次のような発言(要約。19:14頃~)をしています。

      「決議案の文章に復興は成し遂げられたというような内容があったのでその文言の削除を求め、環境に配慮するなどの
      文言も入ったので賛成した。オリンピック招致決定までは予算の優先順位として(東京都ではたとえば)特別養護老人ホ
      ームに4万3000人が入れないという問題を解決するのが先ではないか(猪瀬都知事は東京都には4000億円のキャッ
      シュがあると自慢していたがそれだけのキャッシュがあるなら特養を作れよ)という主張をしていた。ただ、IOC総会で決
      定した以上は国際社会の決定なので、その決定は尊重する必要がある。安倍首相はIOC総会で「汚染水はブロックされ
      ている」「コントロールされている」というとんでもないことを言ったがあの発言は許せない。が、同時にそのことを国際公約
      した以上総力を挙げて必ず責任を取ってもらう、ということが必要になってくると思う。」
      http://iwj.co.jp/wj/open/archives/106935

しかし、上記の共産党副委員長の小池晃参院議員の発言には意図的で恣意的な論点操作があるように私は思います。それは「国
際社会の決定」というある種権威づけのコンセプトを導入することによって、あたかも今回の同党の国会での東京オリンピック「成功
決議」採択への賛成が国際的に見ていかに条理、道理のあるものであるかということを国民に印象づけようとする論点操作をして
いるということです。

しかし、小池副委員長は「国際社会の決定」とその「決定」の正統性のゆえんと国際的な権威を主張しますが、「国際社会の決定」
がすなわち「正義」という保証はなんらありません。たとえば、1980年のモスクワオリンピックの開催もIOC総会、すなわち国際社
会の決定でしたが、前年(1979年)のソ連のアフガニスタン侵攻に抗議する意をこめて日本を含む多くの国々がこのモスクワオリン
ピックへの参加を集団ボイコットしました。まだ記憶に新しいところです。これまでの国際社会の事例から見ても「国際社会の決定」
だからその決定を「尊重する必要がある」ということには即ならないのです。したがって、「国際社会の決定で、その決定は尊重する
必要があるので、東京オリンピック『成功決議』に賛成した」という共産党の理屈は、同決議賛成の正当な理由にはなりえません。
上記の共産党の理屈は自党の国会での「成功決議」賛成という愚行を正当化しようとする我田引水の論を超えない、ということです。

先の参院選で当選したばかりの共産党の吉良よし子参院議員も上記の小池副委員長の発言と同様の愚行の論理を述べています
(当然といえば当然ですが)。

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      吉良よし子@kirayoshiko 2013年10月17日 - 5:01
      https://twitter.com/kirayoshiko/statuses/390809744950063104

      五輪決議について。

      無条件に信任しない立場から共同提案には加わらず、決議文を、国民一体という文言を削除し環境や平和を盛り込む
      など、五輪精神に基づく内容に修正した上で賛成し、国際社会の決定を尊重しました。

      なお五輪を口実に国民生活や汚染水対策をないがしろにするのは絶対に反対です!
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下記は先日弊ブログにおいて吉良よし子参院議員のツイッター発言を批判した私の論です。
http://mizukith.blog91.fc2.com/blog-entry-688.html

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      しかし、「共同提案には加わら」なかったから「無条件に信任し」ていることはならない、ということには当然なりません。吉
      良よし子さん(参院議員)は、「(「五輪決議」案にあった)国民一体という文言を削除し環境や平和を盛り込」んだから「無
      条件に信任し」ていることはならない、とも弁明していますが、共産党がこれまで東京オリンピック招致に反対してきた理由
      は、「被災地の窮状の救済こそが(いまの)最大最優先課題」であり、「莫大な財政負担をともなう今回のオリンピック招致
      は行うべきでは」ない(日本共産党豊島区議団)、というものでした。
      http://www.jcp-toshima.jp/kugihoukoku/honkaigi_toron/120322mori_opc.html

      「国民一体という文言を削除し環境や平和を盛り込」んだからといって、これまでオリンピック招致に反対してきた理由が
      解消されるというわけでもないでしょう。「被災地の窮状の救済こそが(いまの)最大最優先課題」と同党がこれまで主張し
      てきた言葉を内省的に反省してみるならば、上記のような弁明はまるで答えになっていないことはすぐにでも気づくことが
      できるはずです。「誤り」は「誤り」として率直に認めることこそがいま共産党には求められているというべきでしょう。〈信〉
      は、「正しい」ことを言うことではなく、「過ち」を認めようとする姿勢から生まれてくる、というべきなのです。

      さらに私がもっとも重要なことだと思うのは、たとえ条件つきということであったとしても、この東京五輪「成功決議」なるも
      のに賛成してしまっては、安倍首相がIOC総会で行った演説(プレゼンテーション)で「嘘に嘘の上塗りを重ね」た上で掠め
      とった東京五輪招致決定を結果として認めてしまうことになってしまうということです。嘘は断じて認められるものではあり
      ません。しかし、今回の「成功決議」はその嘘を国会総員(1人を除く)で容認したことになるのです。そういうことが許され
      ることでしょうか。私は断じて許されることではない、と思います。
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上記の吉良よし子さんへの反論はそのまま共産党副委員長の小池晃参院議員の発言の反論にもなりえるでしょう。小池さんには
吉良さんへの反論で私が述べている「この東京五輪『成功決議』なるものに賛成してしまっては、安倍首相がIOC総会で行った演説
(プレゼンテーション)で「嘘に嘘の上塗りを重ね」た上で掠めとった東京五輪招致決定を結果として認めてしまうことになってしまうと
いうことです。嘘は断じて認められるものではありません。しかし、今回の「成功決議」はその嘘を国会総員(1人を除く)で容認した
ことになるのです」という反論部分を特に熟慮していただきたいものです。

なお、小池氏は、「IOC総会で決定した以上は国際社会の決定なので、その決定は尊重する必要がある」と述べるだけで、その発
言にはほんとうに2020年の東京オリンピックは開催することができるのかどうかその放射線被害のリスクについて真剣に検討した
節は見当たりませんが、共産党支持者としても著名な澤藤統一郎弁護士は2020年東京オリンピック開催に当たっての放射線被
害リスクについて警句とともに次のような懸念を述べています。

      「フクシマでは、昨日も震度4の地震がありました。再度の大地震がいつ来るか予測はできません。今後7年の間には相
      当に高い確率で大地震がフクシマや東京を襲うものと考えざるをえません。そのとき何が起こるのか。とりわけ、メルトダ
      ウンした核燃料の残骸や、崩壊した建屋の中に放置されている核燃料がどうなってしまうのか。予断を許さないところな
      のです。/また、政府の原子力規制委員会は、福島第1原子力発電所の汚染水は放射能濃度を薄めて海に放出する以
      外にないと言い出しています。おそらくは、そうして廃棄物を呑み込んだフクシマの海の放射線量は、しばらくのあいだは
      十分に低いものと考えられます。しかし、7年後はどうなっているか、これも分かりません。フクシマの海と繋がっている東
      京湾の放射線量がどうなるか。誰にも予測がつかないことなのです。そこがトライアスロンの舞台になります。」(「東京が
      語る苦い真実」 2013年9月5日)
      http://article9.jp/wordpress/?p=1123

日本の野党に求められていることは、東京オリンピック「成功決議」なるものに安易に賛成することではなく、このような放射線被害
リスクもありえるということを海外に正確に発信することではないでしょうか。その放射線被害リスクを検討した上で「安全」と言いう
るレベルに日本の現状は達していますか。東京オリンピックはこの7年のうちに世界中からボイコットされる可能性もけっして少なく
はない確率で秘めてもいるのです。多くの専門家がそれらの点について危惧を表明しています。そういう状況なのに「成功決議」な
るものに「挙国一致」で賛成する。そのことを正当化しようとする。無責任の極みというべきではありませんか。

なおまた、「街の弁護士日記」の主宰者の岩月浩二弁護士も「賛成していいんですか? 東京オリンピックを『元気な日本へ変革す
る大きなチャンス』とする決議 冷静なウォールストリートジャーナル 取り込まれる共産・社民」(2013年10月22日)という記事で、
東京オリンピック「成功決議」なるものに「大政翼賛」状況で賛成した野党(とりわけ「共産・社民」)を批判しています。
http://moriyama-law.cocolog-nifty.com/machiben/2013/10/post-a1b6.html


東本高志@大分
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