[CML 027055] 「WHOはイラクの放射能汚染悪夢を、いかに隠蔽しているか―『ガーディアン』10月12日

Kazashi nkazashi at gmail.com
2013年 10月 14日 (月) 16:09:15 JST


[転送・転載歓迎。重複受信される方、ご容赦ください]
皆様
昨日、『ガーディアン』オンライン版に掲載になった記事の抄訳です。ご参考までに。 嘉指信雄、ICBUW運営委員

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「WHOはイラクの放射能汚染悪夢を、いかに隠蔽しているか――
戦後の環境汚染・健康被害の惨状に関する科学的証拠をもみ消すためになされた政治的介入を、元国連職員たちが明かす」

Dr. Nafeez Ahmed,
Executive director, the Institute for Policy Research & Development

[以下、抄訳]
先月、WHOは、イラクにおける先天性障害(CBD)発症率に関する調査結果の概要——その発表が長らく待たれていたものだが——を公表した。多くの専門家は、イラクにおける先天性障害の増加は[米・英]連合軍による劣化ウラン弾の使用と関係があると考えている。
今回発表された「概要報告」によると、「自然流産、死産、先天性障害の率は、国際的な推定値に一致するか、あるいはそれよりも低いものである。調査結果は、イラクにおける先天性障害発症率が異常に高いと示唆する明確な証拠を提供するものではない」。WHOイラク・ミッションのヘッドであるジャファール・フセインは、今回の報告は、「世界的に認知された」調査方法に基づくものであり、国際的な専門家たちによって「広く」査読されたものだと述べた。

前言撤回
しかし、今回の報告の結論は、調査に関わったイラク保健省(MOH)係官たちが調査結果について述べていたことと大きく異なる。
今年初め、BBCニュースは、イラク保健省の調査官たちと話をしたが、その際、彼らは、イラク保健省とWHOによる共同報告書は、2003年の戦争で激しい戦闘を経験した地域における出生異常の増加を示す「のっぴきならない証拠」を提示するものとなるだろうと認めていた。
WHOも同様に、初期のプレス・リリースにおいては、調査のために選ばれた「ハイリスク」地域における「先天性障害が多いことをイラク保健省の統計は示していること」を認めていた。
WHOのホームページで公表された「概要報告」に対しては、独立した専門家たちや、国連やWHOの元係官たちから、調査結果の妥当性や、報告書執筆者が匿名にされていることに関して疑問が出されている。[中略]
何年にもわたりイラクの医師たちは、「高レベルの出生異常」を報告してきているし、いくつかの査読付き研究は、米国の爆撃を受けた地域における、幼児死亡率、がんや白血病の劇的な増加を立証している。
ファルージャの医師たちは、「前例のない数多くの」心臓病や神経系障害の増加に直面している。2003年以前と現在のデータを比較分析すると、先天性心臓障害の発症率は、1000の出生あたり95ケースであり、ヨーロッパにおける率の13倍となっている。
WHO調査の目的は、こうしたデータをさらに徹底的に調べることにあったのだが、このプロジェクトには大きな欠陥があると指摘されている。

政治化した科学
東フィンランド大学の環境科学部のキース・ベイヴァーストック博士は、WHOの放射線健康部門に13年務めた経験をもつ。博士によれば、「この報告書は科学的なものとは言えず、最もレベルの低いジャーナルでも査読に通らないだろう。方法的問題が沢山あるが、その一つは、イラクの病院が持っている医学的記録を見ようとさえしていないことだ。(中略)その代わり、報告書は、診断の基礎として、母親たちへのインタビューに焦点を絞っているが、母親たちの多くは、トラウマを経験しており、その記憶は不確かで、診断の基礎とするには相応しくない」。(中略)「この報告書が作成された仕方はきわめて疑わしい。米国と英国の役割に関して疑問符がつけられる。出生異常の増加と劣化ウランの関連を確証づける事実が見つかれば、補償問題になるだろうから、こうした調査は両国の利害と衝突するものだ。両国は、劣化ウランが使用された地点に関する情報公開に関しては、異常の増加との相関関係をさらに明確にすることになるかもしれないので、とても消極的なのです」。(以下略)
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さらに、『ガーディアン』の今回の記事は、イギリスの医学専門誌『ランセット』に最近掲載された同様の批判記事や、東京に拠点をおく「ヒューマン・ライツ・ナウ」がまとめたファルージャにおける先天性障害の増加に関するリポート、さらには、国連で事務総長補佐及びイラクへの人道支援コーディネーターを務めたことのあるハンス・フォン・スポネッック氏の批判的コメントなどを取り上げている。特にスポネック氏は、イラクにおける劣化ウランの影響を調査しようとするWHOの試みが米国によって押し潰されてきていると明言している。(以上)

ICBUWヒロシマ・オフィス
http://icbuw-hiroshima.org/
      岩波ブックレット『劣化ウラン弾 軍事利用される放射性廃棄物』
(嘉指信雄、振津かつみ、佐藤真紀、
小出裕章、豊田直巳/2013年8月)


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