[CML 027009] 読売新聞社説の小泉純一郎の「脱原発」発言批判について

higashimoto takashi higashimoto.takashi at khaki.plala.or.jp
2013年 10月 11日 (金) 11:52:32 JST


既報のとおり、私は、小泉純一郎の「脱原発」発言にはおおいに疑問を持っていますが(注)、それはそれとして読売新聞の小泉
元首相の「脱原発」発言を批判する10月8日付けの社説は「非科学的」で文字どおりの批判に値します。放射性廃棄物の「地層
処分」について誤まった非科学的な見解が流布しないためにも日本報道検証機構の以下の「注意報」をご紹介しておきたいと思
います。

しかし、そのことをもって小泉純一郎の「脱原発」発言を評価するということには当然なりません。私の小泉「脱原発」発言への疑
問提起と読売新聞社説批判はもちろん別様のことです。

      注:小泉純一郎の「脱原発」発言をいまの段階で検証してみる(弊ブログ 
 2013.10.09)
      http://mizukith.blog91.fc2.com/blog-entry-680.html

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■小泉氏「原発ゼロ」発言批判の社説にミスリードあり(日本報道検証機構 2013年10月11日)
http://gohoo.org/alerts/131011/

《注意報1》 2013/10/11 07:00

読売新聞は、10月8日付朝刊で、小泉元首相が1日に講演で「原発ゼロ」路線を唱えたことに対し「見識を疑う」などと批判する
社説を掲載しました。その中で、小泉氏が原発から生じる放射性廃棄物の扱い方を疑問視したことを取り上げ、「地層処分」
(*)について、技術的に決着し、専門家も「安全に処分できる」と説明していると指摘しています。しかし、日本学術会議が昨年、
科学技術的な観点から課題があるとの見解を発表していました。社説はそうした事実に触れずに断定的に表現しているため、
地層処分に関する評価が専門家の間で一致し、技術的に解決済みであるかのような誤った印象を与える可能性があります。

      (*) 「地層処分」…2000年6月制定の「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」が採用している、高レベル放射
      性廃棄物の最終処分の形態。ガラス固化体にして地下300メートル以上の深さに埋設する。

(1) 「使用済み核燃料や、それを処理した際に出る放射性廃棄物の処分法は技術的に決着している。専門家は地盤の安定し
た地層に埋めれば、安全に処分できると説明している」との記述について

この記述は、放射性廃棄物の処分法が技術的に解決しており、専門家も地層処分の安全性について見解が一致しているか
のような印象を与える可能性があります。

しかし、日本の科学者の代表機関である日本学術会議は、2012年9月、原子力委員会の依頼に応じて「高レベル放射性破棄
物の処分について」という見解を発表し、「地層処分」を中心とする従来の政策から「暫定保管」と「総量管理」を柱とする政策
への転換を提言。その中で「現時点で最終処分の形態として想定されている地層処分には、地層の変動やガラス固化体の劣
化など、千年・万年単位にわたる不確実なリスクが存在するため、踏み切るには課題が多い」と指摘しています(p.16)。今後
さらに、「容器の耐久性の向上や放射性廃棄物に含まれる長寿命核種の核反応による半減期の短縮技術(核変換技術)とい
った、放射性廃棄物処分の安全性をにおける確実性を向上させる研究開発」や「地層の安定性に関する研究」に取り組む必
要性にも言及しています(p.10-11)。こうした指摘を踏まえると、地層処分について「技術的に決着している」とは必ずしもいえ
ないと考えられます。(この項以下、略)

(2) 「放射能は、時間を経ると減り、1000年で99・95%が消滅する。有害性が消えない水銀など重金属の廃棄物とは事情が
違う」との記述について

この記述は、地層処分から1000年後には、放射性廃棄物が封印されたガラス固化体の放射能がほぼ無害化するかのような
印象を与える可能性があります。

原子力安全協会の杤山修氏が経産省内で発表した資料によると、ガラス固化体の放射能は1000年後には2000分の1になり、
99.95%がなくなるとされています。しかし、当初の放射能総量は、1本あたり「約2×10の16乗Bq」であるため、1000年後でも「10
の13乗Bq」がまだ残っている計算となります。そのため、1000年後も「環境に飛散されれば危険」なレベルに変わりはなく、「ほ
ぼ永遠の隔離・閉じ込めが必要」とされています。このことから、1000年後にガラス固化体の放射能がほぼ無害化するかのよ
うな指摘は、明らかな誤りといえます。(この項以下、略)

(3) 「『原発ゼロ』が政策になれば、福島第一原発の廃炉などに必要な技術者も確保できまい」との記述について

この記述は、仮に「原発ゼロ」の政策を採用した場合、福島第一原発の廃炉などに必要な技術者が確保できなくなることが確
実であるかのような印象を与える可能性があります。

しかし、脱原発政策による技術の衰退の確実性、必然性の根拠は明らかではありません。原発問題に詳しい田坂広志・多摩
大学大学院教授は当機構の取材に対し、「原子力環境安全産業」を育成すれば技術者は十分に確保できると指摘しており、
脱原発政策と技術の衰退との因果関係は必ずしも自明ではないと考えられます。(この項以下、略)
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東本高志@大分
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