[CML 026955] ダンダリン 労働基準監督官

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2013年 10月 7日 (月) 23:08:03 JST


ドラマ『ダンダリン 労働基準監督官』は労働者の人権を守る労働基準監督官を主人公とした作品である。労働基準監督官の段田凛(竹内結子)がサービス残業強要やパワハラなどのブラック企業に立ち向かう。ブラック企業やブラック士業が社会問題になっている中でタイムリーな作品である。 

キャッチコピーは「働くひとを守るために、働くひとがいる。」である。原作は田島隆の漫画『ダンダリン一〇一』である。「一〇一」は労働基準監督官の権限を定めた労働基準法第101条に由来する。原作者の田島隆氏は『カバチタレ!』で社会問題のゼロゼロ物件も描いた。 

第1話「働く人を守りたい…ブラック企業に制裁を」は2013年10月2日に放送した。ノルマや長時間労働が過酷なリフォーム会社を対象とする。このリフォーム会社は従業員を搾取するブラック企業であるが、高齢者を欺いて不要なリフォーム契約を締結し、高額な違約金を請求する悪徳リフォーム会社でもある。 

労働者に対するブラック企業は消費者にもブラックである。ブラック企業の労働者はブラック企業の被害者であるが、消費者には加害者である。この現実をドラマは直視している。実際、不利益事実を隠してマンションをだまし売りした東急不動産は子会社の東急ハンズで過労死が起きている(林田力『東急不動産係長脅迫電話逮捕事件』「東急ハンズ過労死と東急不動産だまし売り裁判」)。 

ブラック企業の問題はブラック企業労働者が全面的な被害者で、労働基準監督署が完全無欠な正義の見方というほど単純な問題ではない。ドラマではブラック企業にしがみつく社蓄の弱さも直視する。段田凛は「馬鹿ですね。会社にしがみつくより、命に しがみついた方が良いのに」と指摘する。 

また、ドラマでは労働基準監督の公務員体質、お役所体質も直視する。段田凛は「前例の無いことはやらない、定時に帰る事しか目標の無いような、そのような退屈な仕事のやり方で定年まで働くのですか」と指摘する。 

意識の高い個人の張り切りが問題を解決することは労働基準監督行政の本来のあり方として望ましいものではないが、物語は個人をフィーチャーするものである。むしろ主人公を問題児・変人としなければ成り立たないところに、現実の労働基準監督行政の貧困がある。他の労働基準監督官の右往左往振りを見ていると、逆に変人・段田凛が唯一まともな人間として浮かび上がる。 

『ダンダリン』はブラック企業という社会問題になっている深刻なテーマであるにも関わらず、コミカルな描かれ方をしていることに批判がある。しかし、本当に深刻なテーマであるからこそ、コミカルに描くことで物語が成り立つ。ブラック企業経営者を悪いだけの人間に描く点もステレオタイプであるが、同情を寄せる必要のない人物とすることで話が明快になる。
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林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』
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