[CML 026898] Fwd: 『いちえふ』放射脳カルトとブラック企業

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2013年 10月 4日 (金) 22:23:41 JST


竜田一人『いちえふ 福島第一原子力発電所案内記』は事故後の福島第一原発で作業員として働いた経験をつづったルポマンガである。漫画新人賞「第34回MANGA OPEN」大賞を受賞し、2013年10月3日発売の『週刊モーニング第44号』に掲載された。「由らしむべし、知らしむべからず」は日本の組織の悪弊であるが、特に原発では顕著である。その中で福島第一原発事故収束作業の実態を明らかにすることは意義深い。『いちえふ』には作業員である作者の思いも描かれており、考えさせるものであった。 

作者は脱原発の市民運動にネガティブな評価を下している。しかし、その内容を吟味すると、危険デマを撒き散らす放射脳カルトに対する否定的評価である。脱原発運動の問題ではない。問題は脱原発運動と放射脳カルトが同一視されていることである。脱原発運動と放射脳カルトの同一視は誤りであるが、そのようなイメージを持つ人も少なくない。それは脱原発運動側にも責任がある。脱原発運動が放射脳カルトを毅然として否定していないためである。放射脳カルトを否定しなければ、脱原発運動は市民的支持を失う(林田力『二子玉川ライズ反対運動11外環道』「放射脳カルトと一線を画す保坂区政の脱原発」)。 

『いちえふ』には多層下請け構造によるピンハネなど現在の事故収束体制の暗部も描かれている。それでも全体的には現在の事故収束体制を擁護するトーンで描かれている。作者が現在の事故収束体制を擁護する側に回る理由は原発を批判する側への嫌悪感である。その内実は放射脳カルトへの嫌悪感であり、それは放射脳カルトに向けられたものとしては正当である。 

しかし、それが脱原発運動に向けられることは不幸である。脱原発運動の側にも放射脳カルトを切り捨てられない問題点がある。そのために百歩譲って脱原発運動に嫌悪感を抱くことは仕方がないとしても、現在の事故収束体制を擁護する側に回ってしまうことは喜劇的な悲劇である。 

多重下請構造で搾取される被害者である作業員が事故収束体制を擁護する側に回ってしまう。この喜劇的な悲劇に対抗する論理は、ブラック企業批判の論理である。実際、『いちえふ』には「福島第一原発の実態を教えてやる」というスタンスが目につく。これはブラック企業を擁護する社畜(ブラック社員)の奴隷自慢に近似する。 

『いちえふ』は放射脳カルトに毒された報道の嘘を指摘する。しかし、放射脳カルトの嘘がなくても、『いちえふ』に描かれた作業は十分に非人間的なものである。たとえば『いちえふ』では作業員が休憩時間に寝転がることができる余裕があると説明するが、正直なところ、漫画の描写を見る限り、寝転がりたいとは思えない環境である。ブラック企業や貧困ビジネスの劣悪な環境に比べると、福島第一原発の職場にましな面もあるだろう。しかし、そのレベルで喜ぶことは惨めである。ブラック企業批判や反貧困の思想が重要である。 

作者が原発事故収束作業員を志願した理由には被災地の復興に貢献したいという義侠心があったと説明する。その気持ちは貴い。差別的なデマを流して被災者感情を傷つけ、復興の足を引っ張る放射脳カルトを憎む気持ちも理解できる。一方で作者は職がなかったとも述べている。貧困が原発事故収束作業員を生み出していることも事実である。 

また、『いちえふ』は作業員の活動がリアルに描かれているが、その活動が原発事故収束という大目的にどの様に役立っているのか見えてこない。それは一作業員の関知するところではないとの反論が考えられるが、それが見えない中での作業は非人間的である。事故収束の道筋がない中で被曝労働を続けることは、作業員を使い捨てにしているだけとも批判できる。 

現行の事故対応に対しては汚染水問題を出すまでもなく、正しいことをしているのか、他の方法があるのではないか、放射能汚染を拡散しているだけではないのかとの批判や疑問が噴出している。それには答えずに大変な状況の中で一生懸命頑張っていることをもって肯定するならばブラック企業的である。
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