[CML 027968] 明日は日本に訪れる運命なのか?,一足お先に!《全体主義スペイン》

Yasuaki Matsumoto y_matsu29 at ybb.ne.jp
2013年 11月 30日 (土) 19:38:41 JST


みなさまへ    (BCCにて)松元

バルセロナの童子丸開さんが、「明日は日本に訪れる運命なのか?一足お先に!
《全体主義スペイン》」と題して、秘密警察国家に向かおうとしている 日本の
「先を行く」現在のスペインを描いて警鐘を鳴らしています。紹介させていただ
きます。

******以下、全文転載********************
http://bcndoujimaru.web.fc2.com/spain-2/totalitarian_Spain.html
シリーズ:「中南米化」するスペインと欧州 (その3)
*明日は日本に訪れる運命なのか?
一足お先に!《全体主義スペイン》
*
(関連リンク先は、赤文字が私のサイ トにある日本語記事、青文字がスペイン
語新聞情報)

  ここで私が紹介するスペインの事実は、日本語はもとより英語情報でもほと
んど紹介されていない。しかしこれが紛れもないこの国の現実である。 一般的
には、 スペインを支配していた過酷な独裁体制が1970年代後半の政治改革
によって姿を消し、この国は民主化されたと言われる。しかしそれは単に、 そ
れまでの全 体主義社会に「自由と民主主義」の厚化粧を施しただけにすぎな
かった。2000年以降の「バブル経済」
<http://bcndoujimaru.web.fc2.com/spain_jouhou/Spain-3a-
newly_constructed_gohst-town_in_whole_Spain.html>とそれに続く「経済危
機」
<http://bcndoujimaru.web.fc2.com/spain_jouhou/Spain-4-
ridicule_resque_of_banks.html>という名の詐欺略奪
<http://bcndoujimaru.web.fc2.com/spain_jouhou/Spain-6-
not_crisis_but_swindles.html>の末に残されたもの
<http://bcndoujimaru.web.fc2.com/spain_jouhou
/dividing_and_collapsing_Spain.html>は、化粧のはげ落ちた
<http://bcndoujimaru.web.fc2.com/spain_jouhou
/dividing_and_collapsing_Spain-1.html>この国の伝 統的な姿、1%の上流
カースト <http://bcndoujimaru.web.fc2.com/spain-2/Spainish_caste.html>に
よる専 制支配と国家の暴力による恐怖政治である。 日本も特定秘密保護法に
よって「いつか来た道」をひたすら歩み続けているようだが、ここで、「一足お
先」に地獄の姿をさらけ出そうとしているスペインにつ いてお伝えしたいと思
う。これは「悪夢」ではなく目の前にある現実なのだ。
(以下、ユーロと円の換算は1ユーロ135円で行っている。)
*
●「警察に逆らうな!」***
 日本と同様に国民自らの手で事実上の一党独裁状態を生み出してしまったスペ
インで、次のような政府法案が発表さ れた。警察官への侮辱(「重大な違
反」)に対しては最高で*3万ユーロ(約 400万円)の罰金*を科す
<http://www.lavanguardia.com/politica/20131119/54393607198/multa-
insultar-policia-30-000-euros.html>。任務遂行中の警察官の写真やビ デオを
公開する行為(「極めて重大な違反」)に対しては最高で*60万ユーロ(約
8000万円)の罰金*を科 す。これが、11月13日(2013年)に、何一
つ予告も根回しも無く内務大臣フェルナンデス・ディアスの口から語られた“Ley
de Seguridad Ciudadana(国民保安法:仮訳)”
<http://www.20minutos.es/noticia/1980876/0/ley-seguridad-ciudadana
/escraches-insultos/multas/>である。ついで に、未成年が同等の行為によっ
て逮捕された場合、その親が罰金の全額を支払わねばならないとする補足事項ま
で発表された。2013年6月に発表された調査によると
<http://www.abc.es/economia/20130628/abci-salario-frecuente-espana-
euros-201306281240.html>、スペイン人勤労者の平均年収は約19300ユーロ
(約260万円)だが、15500ユーロ(約209万円)前後に最も多 くの
人々が固まっている。大多数の一般国民にとって「3万ユーロの罰金」が何を意
味するのか、言うまでもあるまい。

 警察に対する侮辱? 法案の文面には、脅迫、強要、名誉棄損などが漠然と列
挙されているのだが、どのようにでも拡大解釈が可能だろうしでっ ち上げも簡
単にできる。何かの集会やデモに武装警官隊が襲いかかってこちらで紹介するよ
うな無茶苦茶な暴力
<http://bcndoujimaru.web.fc2.com/spain_jouhou/Spanish_5-15_movements-
03.html>を ふるってきた際に、その横暴さに投げかける強い抗議の言葉は、
ひょっとするとすべてそのように解釈できるのかもしれない。しかもその場面を
そ の警察官が特 定できる形でビデオに収めた場合には、ポンと8000万円を
ポケットから出すことのできる身分ででもない限りそれを公表することは事実上
不可 能である。そ の「侮辱」が実際に何であったのかの証拠が表に出されるこ
とはないのだ。

 さすがにグリーンピース
<http://www.publico.es/484420/greenpeace-desafia-la-ley-antiprotesta-
del-gobierno-colgandose-de-un-edificio-en-madrid>を含む民間の各種団体、
野党、法律家団体、マスコミと言論界などからの激しい反発を受けて「60万
ユーロ」は見直される予定だが
<http://politica.elpais.com/politica/2013/11/27/actualidad
/1385586793_664040.html>、 それも「極めて重大な違反」を「重大な違反」に
格下げするという詐欺的な手法が示されるに過ぎない。いったんこの法を制定し
てしまえば閣議決 定で再び「格 上げ」することが可能だろう。絶対多数を誇る
議会の中ですべての議決を一方的に行ってきた政府与党が、この法案の制定に躊
躇することはあるま い。約1年前 にスペイン教育相ホセ・イグナシオ・ウェル
ト
<http://bcndoujimaru.web.fc2.com/spain_jouhou/independencia_catalan-
02.html#supeinka>によって発表された、民族言語教育に対する実質的な抑圧、
教育現場の人員と経費の削減、宗教教育の部分的な復活などを軸と する教育改
革法案にしても
<http://bcndoujimaru.web.fc2.com/spain_jouhou/independencia_catalan-
03.html#irekae>、地方 政党と各民族団体、野党や学校・大学現場、学生や保護
者団体などからの猛烈な反発をほとんど無視した形で、この11月末までに成立
の運びと なった。この警察国家化に向けた法案もまた近いうちに難なく日の目
を見ることになるだろう。

  この数年間、経済不況の深刻化につれ、抗議者に対する武装警察隊の激しい
暴力が際限なく繰り返されるようになった。こんなでたらめ極まりない 法律が
決定さ れる以前の状態―罰金の額300ユーロ(約4万円)〜1500ユーロ
(約20万円)―ですら、このわずか1年間に「警察官を侮辱し公共の利益 を損
なった」 としてデモや集会での逮捕者から巻き上げた「罰金」の総額は、前年
度に比べて4倍近くにも跳ね上がっており、マドリッドだけでも32万ユーロ
(約 4300万円)にのぼっていた
<http://www.20minutos.es/noticia/1983992/0/multas/protestas-sociales
/cuadruplican/>のだ。武装警官隊が発射したゴム弾によって片目を失明した女
性 <http://ccaa.elpais.com/ccaa/2013/07/16/catalunya
/1373993621_126973.html>も いるが、そのような警察の暴力に抗議して逮捕さ
れた者は一人ずつ数百ユーロをふんだくられていたのである。そして今後はその
「罰金」が一気に 20倍に跳ね 上がることとなる。もはやとうてい誰にでも払
える金額ではない。「警察がお前らに何をしてもいっさい逆らうな!」というこ
とである。

 警察官による殺人も起こっている。政治的な意味を持つ事件ではないが、つい
先日もバルセロナの旧市街で、ゲイ関係の店の経営者が8人の警察官に集団で激
しい暴行を受けて殺された
<http://www.eldiario.es/catalunya/demuestran-Mossos-golpearon-Raval-
muriendo_0_188981149.html>。 その事件の詳細はしばらくの間は伏せられうや
むやにされかけたのだが、その警察による集団リンチの様子が事件現場の住民に
よって複数のビデオ カメラに収め られており、それが新聞やTVで公開された
(当然だがYouTubeで世界中に紹介された)ために、大きな問題になってしまっ
た。とりあえず ゲイへの差別 とは無関係で、その経営者は麻薬常用者であり激
しく暴れていたため集団で押さえ つけたのだが行 きすぎがあったのかもしれな
いと発表されたが、誰もそんな警 察発表を信じる者はいない。また昨年4月に
はバスク州で地元のサッカーチームのファンが興奮して騒いだ際に、一人の青年
が武装警官のゴム弾を頭に受けて死亡した
<http://www.eitb.com/es/noticias/sociedad/detalle/865497/autopsia-inigo-
cabacas-liceranzu--una-pelota-goma-causo-su-muerte/>。

  しかし今後は、こういった過剰で疑惑の多い警察の対応に、たとえば「この
やろう、覚えてやがれ!」などと言おうものなら、逮捕されたうえに1 万ユー
ロか2 万ユーロをふんだくられることを覚悟しなければならない。また今まで
のこういった警察の過剰な暴力行為は多くの場合その場面を収めたビデオに
よって明らか にされたのだが、今後は、警官の暴行シーンにカメラを向けた途
端にそばにいた私服警官にカメラをはたき落されて逮捕されることも起こりうる
だ ろう。暴行を ふるう警察官の姿を撮影することは重大な犯罪であり、自分の
生活の破滅を意味する。見ざる言わざる聞かざる…これが大多数の国民にとって
唯一 の選択肢と なってしまった。*目隠しと耳栓とさるぐつわ…これがこの国の
現実となってしまうのである* 。

*●転倒する「全体主義」と「民主主義」*
 この「国民保安法」によれば、抗議の為に特定の建物や施設に集団で押し掛け
る行為にも3万ユーロまでの罰金が科 せられるのだが、これは明らかに、今年
(2013年)4月に起こったある出来事がイメージされている。

 今年の4月5日、数百人の人々がスペイン副首相ソラヤ・サエンス・デ・サン
タマリアの自宅前の道路に 集まった
<http://www.publico.es/453213/la-pah-se-presenta-en-la-puerta-de-soraya-
saenz-de-santamaria>。それは住居の強制的な追い出し
<http://bcndoujimaru.web.fc2.com/spain_jouhou/Spain-3b-
the_end_of_the_bubble.html#ie>に反 対するPAH( la Plataforma de
Afectados por la Hipoteca:反強制執行委員会)のメンバーを中心にした集ま
りであり、当時国会で政府が成立させようとしていた立ち退き強制執行に関する
法案に反対 の圧力をかけようとしたのである。その人々は結局は武装警官隊に
よって排除されたのだが、その日中に与党国民党の議員の一人がPAHに対して
「ナチス」とののしった
<http://ccaa.elpais.com/ccaa/2013/04/05/madrid/1365164740_566932.html>。
「この強訴は(ユダヤ人の)家に印をつけたナチスを思い起こさせるものであ
る」というのが正確な発言なのだが、まるで逆 なのではないか? それは、バ
ブル政策とその崩壊で失業に追いやられ家賃支払いやローン返済の手段を失った
よう な者を路上に放り出し生活のすべてを奪い取る暴政
<http://bcndoujimaru.web.fc2.com/spain-2/Spainish_caste.html#shitsugyou>
に対する抗議の訴えなのだ。スペ イン国会で絶対多数を握ったとたんに横暴の
限りを尽くす国民党こそナチスではないか。

 しかし国民党幹部のPAHに対する暴言と攻撃がこれで収まることはなかっ
た。4月11日に国民党政府はこの強訴に加わった人々に最高で1500ユーロ
(約20万円:当時の最高科金額)の罰金
<http://www.elmundo.es/elmundo/2013/04/11/espana/1365709581.html>を科す
ることを決定した。13日に国民党副総裁マリア・ドローレス・コスペダルは
<http://politica.elpais.com/politica/2013/04/13/actualidad
/1365848717_144600.html>それを『全体主義、セクト主義、そして純粋のファシ
ズム』と形容した。この国民党こそ、かつてフランコ独裁体制を支えた唯 一の
合法政党ファランヘ党の後身にすぎないのだが、厚かましくも「民主主義者」を
標榜し続けている。そのコスペダルは後日、「国民党に投票した者は食事をとら
なくても家賃を払っている」などというトンデモ暴 言
<http://www.publico.es/453835/cospedal-los-votantes-del-pp-se-ajustan-
el-cinturon-pero-si-pagan-la-hipoteca>を吐いた。15日になると極右派の法
曹集団マノス・リンピアスは
<http://www.elperiodico.com/es/noticias/sociedad/manos-limpias-denuncia-
ada-colau-por-amenazas-coacciones-los-escraches-2363930>PAHの指導者ア
ダ・コラウを脅迫容疑で告訴することを決めた。同じ日に国民党の重要幹部で元
マドリッド州知事エスペランサ・アギレは
<http://www.publico.es/453693/aguirre-compara-los-escraches-con-el-
matonismo-de-eta-y-con-los-peores-totalitarismos>、このPAHによる集団
強訴を『最悪の全体主義』、ETA(バスク民族主義テロリスト)と同様の『殺
人狂』であるとみなし た。22日になると欧州議会で国民党所属の議員が
<http://politica.elpais.com/politica/2013/04/24/actualidad
/1366828985_614161.html>PAH の指導者コラウを「独裁者」と呼び顰蹙を
買った。同じ日に国民党が支配権を握る国営放送TVが
<http://www.publico.es/espana/454280/tve-censura-a-ada-colau>アダ・コラ
ウの出演を取り下げた。

  それにしても、この「民主主義」と「ファシズム」の目もくらむような倒錯
ぶりは、いったい何なのだろうか。PAHは組織的な活動をする者が全 国でせ
いぜい 数百名程度の小規模団体である。そのバックに何か有力な資金源や政治
団体がついているわけでもない。そんなとるに足らない集団に対して、政府 与
党が行っ た、まるで荒れ狂ったライオンが本気で死に物狂いでネズミに襲いか
かるようなヒステリックな攻撃の仕方は、逆に我々の心にある種の冷静さを呼
び起こすのか もしれない。*彼らは何かを本気で恐れているのではないか* 。

 いや、この些細な団体の行動を、ではない。彼らの行動がきっかけとなって
ひょっとすると燎原の火のようにスペイン中に広がるかもしれない反 乱、手の
つけようもないほどに盛り上がる民衆暴動を、である。労働組合によるデモなど
は利害関係の範囲内で行動するためにコントロールしやす い。また2年前の
15M運動
<http://bcndoujimaru.web.fc2.com/spain_jouhou/menuspainhtml.html#515>は
確かに手に負えない要素を含んでいた。しかしその中心になったのは学生やイン
テリ層であり、しょせんは初めから限界を持っていたものだった。 しかし今後
起 こると予想されるものは、将来どころか目の前の生活すら失いもはや守るべ
きものを持たない死に物狂いの下層民による大規模な大衆反乱である。 本気で
抑えよ うとすれば膨大な数の死者と重傷者を生み出し、国家と社会の機能をス
トップさせるだろうし、それは必ず激しい国際的な非難を呼び起こし、ただ で
さえ消えか けている国の信用を一気に失墜させ、このゾンビ状態の国家
<http://bcndoujimaru.web.fc2.com/spain_jouhou/Spain-7-
a_nation_being_zombified.html>を完全な崩 壊に追いやるものになるだろう。

 首相のマリアノ・ラホイはこの紛れもない「さるぐつわ法」をたたえて「スペ
イン政府は国民に安全と自由を保障するだろう」と語った
<http://www.publico.es/483544/rajoy-niega-que-la-ley-de-seguridad-
ciudadana-sea-una-mordaza>。どうやらこの国の指導者にとって、あのバブル経
済で国土を破壊した
<http://bcndoujimaru.web.fc2.com/spain_jouhou
/Spanish_economic_crisis_on_comics-1.html>土 建業者や開発業者、それをそ
そのかし利権をほしいままにした
<http://bcndoujimaru.web.fc2.com/spain_jouhou
/Spanish_economic_crisis_on_comics-2.html>中央と地方の政治家、国民経済を
崩壊に追いやった
<http://bcndoujimaru.web.fc2.com/spain_jouhou/Spain-4-
ridicule_resque_of_banks.html#bankia>銀 行家だけが「国民」であるらしい。
それらに対するいかなる抗議も抵抗もすべて犯罪であり弾圧と抹殺の対象であ
る。カラカラ状態の燎原に、火種 となりそうなものがあれば何としてでも燃え
移る前に消し去ってしまわなければならないのだ。当然だが、アダ・コラウは国
民各層に「国民保安法」への不服従を
<http://www.publico.es/483534/ada-colau-llama-a-la-desobediencia-frente-
a-la-ley-de-seguridad>訴えており欧州人権裁判所への提訴もあるだろう。しか
しこの罰金の金額は、やっとのことでぎりぎりの生活を維持している多 くのス
ペイン人にとって、何もかも失う恐怖を何よりもかきたてるものだろう。これこ
そが本来の意味のテロリズムなのだ。

*●「ゼネスト禁止法」*
 いまの「国民保安法」に加え、11月21日に首相のマリアノ・ラホイは、労
働者のストライキの際の「最小業務(servicios minimos)」を規定する法律を
準備中
<http://politica.elpais.com/politica/2013/11/21/actualidad
/1385022031_088082.html>であると発表した。スペインの事情を知 らない人に
は分か りにくいだろうが、たとえばバス会社の労働者がストライキを行う場
合、バスの100%を止めるのではなく、雇用者側との協議で「最小業務」を
取り決めるこ とが多い。ストライキは行うが、午前6時〜9時と夕方5時〜8
時には50%が動き、その他の時間には20%が動く、というようにである。こ
の ようにして、 労働組合も一般市民や他の労働者の仕事を妨害することをでき
る限り避ける習慣ができている。ただこれはあくまでも組合と雇用者との話し合
いで 決めることで あり、交渉が決裂した場合には100%ストップもありう
る。国民党政府はそれを、国家権力によって「何%」と決めてしまおうというの
である。

 こ れは事実上の「ゼネスト禁止法」と言ってよい。大手労働組合がゼネスト
を呼びかけた場合、ほとんどで100%の参加が決定されていたのだ。も し
「スト権は 保障するが50%以上の参加は認めない」というのなら、雇用者側
の方に不当な行為があったとしても大した圧力にはならず、実質上スト権は無き
に等しいもの になる。これはまさに詐欺に等しいやり口だ。これがこのファシ
スト政党末裔の言う「民主主義」なのだ。

 この「最小業務法(仮称)」計画は、マドリッド市の清掃に携わる労働者のス
トライキ
<http://www.elmundo.es/madrid/2013/11/17/5288f2bb0ab74027268b4575.html>
が解決した直後に発表されたものだ。さらにその前の11月15日にブリュッセ
ルの欧州委員会がスペイン政府に2014年のさらなる緊縮政策(つまり人 員
整理)を要求
<http://www.lavanguardia.com/economia/20131115/54394134647/bruselas-
espana-ajustes-presupuesto-2014-deficit.html>して、ラホイ政権が一も二も
なく承諾したばかりなのである。かつて あのリーマンブラザーズに努めた財務
相ルイス・デ・ギンドスはユーログループに対してスペインでの「緊縮の第2
段」を確約した
<http://www.publico.es/dinero/484342/guindos-anuncia-en-el-eurogrupo-
una-segunda-ronda-de-la-reforma-laboral>。もちろん大手労組と左翼政党はこ
のラホイ政府の計画に猛反発している
<http://www.publico.es/483894/izquierda-y-sindicatos-cargan-contra-el-
intento-de-rajoy-de-recortar-el-derecho-a-la-huelga>が、 議会で絶対多数
を確保する国民党はこの法案を確定して実施することに戸惑いを感じることはな
かろう。労働組合から有効な対抗手段を取り上げて しまえば、大 量解雇も労働
条件の引き下げも思うがままにできるからである。支配階級にいる者たちにとっ
てこれほどに都合のよい法律は無い。

*●幻影に過ぎない民主主義***
 以上の事実は、スペイン社会カースト化
<http://bcndoujimaru.web.fc2.com/spain_jouhou
/menuspainhtml.html#chuunanbei>の 第2段が本格的に開始されたことを告げる
ものである。それは必然的にあらゆる民衆の反抗を国家権力の暴力で押さえつ
け、「目隠しと耳栓とさる ぐつわ」に よって情報を統制し、「ビッグブラ
ザー」の監視体制を恒久化するファシズム社会・全体主義を形作らざるを得な
い。それが、この、私が住み私が 愛するスペイ ンという国で現実化しようとし
ている。(なお、スペインはバスク民族主義テロリストのETAに苦しめられて
きたため、「テロ対策」の名目さえ あれば、逮捕 者が弁護士を呼ぶ権利すら剥
奪して長期間拘留したり容疑者を監視したりできる制 度は最初から 整っている。)
 大多数の一般スペイン人たちは、この 国の実際の支配者が現在もなおオプ
ス・デイ(フランコ独裁体制を形作った宗教・経済・政治複合体であり映画『ダ
ビンチコード』に登場する同名 の架空集団と は無関係)であることを知ってい
る。私もそう思っている。実際に、あの「国民保安法」制定を発表した内務大臣
フェルナンデス・ディアス、現首 相マリアノ・ ラホイ、元首相ホセ・マリア・
アスナールとその妻アナ・ボテジャ現マドリッド市長
<http://bcndoujimaru.web.fc2.com/spain-2
/Madrid_Olympic_fantasy.html#kouka>、等々、現政府与党の重要人物の中でこ
のカトリック・セクト集団と無関係の人間はいない。この国の基本的な権力構造
は40 年前と全く変わっていないのだ。

  1975年に独裁者フランシスコ・フランコが没した後、フランコの後継者
として国家指導者になった国王フアン・カルロス1世とその腹心アドル フォ・
スアレ スを中心として、スペインを他の西欧諸国と同等の民主国家に変身させ
る、「法から法へ」と呼ばれる国家改造の作業が始まった。1978年の新 憲
法制定がそ の最重要な一歩だったことに間違いはない。しかしそれは、過去の
独裁体制とそれによる弾圧や殺人に対して一切の責任を求めなかった。独裁時代
の法律に沿っ て行われたことを、新しい法律で裁くことを禁止したのである。
もちろん、そうすることによって、一滴の血も流さず1発の銃声を聞くこともな
く、大日本帝国 憲法が日本国憲法に変わったのと同等の巨大な変化を成し遂げ
たのだ。

 しかしその、一見「革命」とも思える「民主化」の実態は単なる表層を覆う飾
り付けに過ぎなかった。昨日まで警察国家を形作り国民に対するスパイと弾圧を
繰り返してきた国家警察が、一晩明けた途端に、人物も場所も何も 変化するこ
と なく、従うべき法律が改まっただけで、「民主警察」に変身したのである。
新憲法制定以前に独裁政権によって拷問され殺された人々に対する名誉 回復は
いまだ に誰一人行われていない。

 とりあえずは以前よりも生きやすくなったので、人々はこの誤魔化しに気付い
てもそれを胸に畳んでいるだけなのだ。さら に、フランコ時代にその経済・社
会・政治体制の中心を形作ったのがオプス・デイだが、実を言えばフアン・カル
ロス1世国王もアドルフォ・スア レスもまたこ のカトリック教団のメンバーま
たはきわめて近い位置にいるとみなされているのだ。実に上手に化けたものだ
が、現在、80歳近くになるフアン・カルロスには恐ろしい天罰が下りつつある
<http://bcndoujimaru.web.fc2.com/spain_jouhou/Spain-2-
ruling_class.html>。国民の大多数が冷ややかにのたうちまわる王室を見つめて
いる。

 決して「消えて無くなったはずの全体主義が復活する」のではない。全体主義
は常に社会の基本構造として存在し続けていた。それはいざとなったときに突然
顔を出す情報統制と超法規的措置
<http://bcndoujimaru.web.fc2.com/spain_jouhou/menuspainhtml.html#tero>に
よって明らかに認められるものだったのだ。スペインの(イタリアも同様だが)
経済と政治は、「聖なるマフィア」と呼ばれたオプス・デイの力で 支えられて
き た。司法や国防などの官僚機構も同様である。そして21世紀の「経済危
機」の中でそのにわか作りの「民主的」な表層が崩れ去り、本来のスペイ ン社
会の姿が だれの目にも明らかに再登場してきたわけである。

 しかし同様のことは、日本を含む他の「西側諸国」でも多かれ少なかれ当ては
まるのではないか。 日本ではいま「特定秘密保護法」が制定されようとしてい
るが、それは「戦前への逆戻り」とはちょっと違うもののように、私には思え
る。日本と いう国家と社 会の根本的なあり方は明治時代以来(「神」が天皇か
らアメリカに変わった以外は)ほとんど手つかずのままであり、80年代後半の
バブル経済と その崩壊、 2000年以後のいわゆる小泉改革、そして2011
年の311フクシマと、およそ10年の周期で表層を飾っていた「自由と民主主
義」がボロボ ロとはがれ て、その素顔が現われてきただけではあるまいか。真
摯な研究者の人々にはそのへんをぜひ調査してもらいたいように思う。

2013年11月28日 バルセロナにて 童子丸開

(転載、終り)



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