[CML 027917] 転載:池田香代子さんの特定秘密保護法案批判「憲法骨抜きの手口」(信濃毎日新聞 2013年11月27日掲載)

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2013年 11月 28日 (木) 01:05:56 JST


■【転載】憲法骨抜きの手口(池田香代子ブログ 2013年11月27日)
http://blog.livedoor.jp/ikedakayoko/

特定秘密保護法は、きのう衆議院を通過しました。異例で強引な議事運営だったこと、ネットユーザーはSNSや国会中継をつうじて、
リアルタイムで追っていました。いてもたってもいられずに、誰が呼びかけたでもなく、国会正門前に集まってアピールした人びとも
いました。この動画には、スーツ姿の、お勤め帰りが一目瞭然の方も写っています。
http://www.youtube.com/watch?v=ed7SgPMtZ1M

人びとの大多数が反対や懸念を表明している法案なら、国会はルールに沿ってじっくりと議論すべきです。このような、なにごとも
数の力を前面に押し出して国会運営をする政府与党に、これから先も国政を託すことが、ほんとうに心配になってきました。

衆議院でこれだけ揉めると、参議院の審議にはより多くの監視の目が注がれるでしょう。同じような乱暴なやり方は許されないで
しょう。反対の声はますます勢いを増しています。

おととい深夜に依頼があって、きょうの朝刊に載った信濃毎日新聞への寄稿を、新聞社のご好意で転載します。

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特定秘密保護法案が強行採決された衆議院特別委員会をインターネット中継で見ながら、これを書いている。そして、7月に麻
生副総理が口にした「ナチスの手口」とはこれだったのだ、との思いを強くした。

 「(ドイツの)ワイマール憲法がいつの間にかナチス憲法に変わった」というのは、麻生副総理の世迷い言だ。当時もっとも民主
主義的だったこの憲法は、全権委任法の強引な成立で空文化されたのだ。改憲を回避し、からめ手から憲法を骨抜きにする。
これが、「ナチスの手口」であり、安倍政権はここから「学んだ」と思えてならない。 


 国家安全保障会議に権力を集中させ、解釈改憲で集団的自衛権行使を容認し、歴史教科書は政府見解に沿うものにする。
テレビメディアは、例えばNHK経営委員会の人事権行使、あるいは首相出演の許諾といった飴と鞭で手なずける。

 そして特定秘密保護法で、情報をこれまで以上に非開示にして私たちの判断を不可能にする。公文書は実質、今まで通り好き
なだけ廃棄できる可能性を残しつつ、「特定秘密」に手を伸ばす市民を取り締まり、同時に市民の個人情報を膨大に収集する。
共謀罪を導入し、自首して自分以外の者の情報を提供すれば免罪とする。私たち市民に、相互監視の網をかけるのだ。これを
実際に差配するのは官僚機構であり、同法は政低官高をますます堅固にするだろう。

 国会の審議も裁判も、「特定秘密」の壁にぶち当たれば、そこで頓挫する。「特定秘密」が開示されるとしても、それは密室であ
り、私たちは決定事項を伝えられるに過ぎない。

 あとは、国家安全保障基本法などの「戦争手続き法」を成立させさえすれば、国民に異論を許さない好戦的な国家はできあが
る。国民主権と人権と平和主義を3本柱とする日本国憲法には、指一本触れずに。改憲はその後、おもむろにやる。

 同法案は、他国への特定秘密の提供を可能にしている。たとえば、公安警察がイスラム教徒の個人情報をアメリカのFBIの依
頼で収集したといわれる違法性の高い行為は、2010年に情報流出で発覚した。それを今後は合法とするのだ。戦前の治安維持
法と比較される同法案だが、治安維持法にすらこのような規定はなかった。

 この法案が、夏の参議院選挙で衆参の「ねじれ」を解消し、昨年末の衆議院選挙で与党が圧倒的多数を得た国会で審議され
ていることを、私たちは覚えておく。1票の格差裁判で最高裁が「違憲状態」、つまり、歯がゆい言い方ながらその身分を「違憲」
とした衆議院議員たちが審議しているのだ。

 正統性に疑義をつきつけられた国会であればなおのこと、政府与党は少数意見を汲むという民主主義の本義に立ち返り、慎
重な審議を心がけるべきだが、現実はそうではない。民主主義はギリシャの古代から多数派の専横を否定しているのに、国会
運営は横暴の一言に尽きる。審議過程の形骸化、低調な議論、内閣や議員の不勉強も目に余る。たとえば、安全保障と知る
権利の国際基準である「ツワネ原則」を、安倍首相は私的なものと一蹴したが、政府が放射線防護にその提言を採用している
ICRP(国際放射線防護委員会)も私的な民間団体だ。

 私たちは、政府与党の人びとの発言を覚えておく。万一このまま法案が成立し、その後で彼らの真意が判明したり、空約束だ
ったことが明らかになった時、私たちはどんなに悲惨な状況に立ち至っているかを思うと、暗澹としてくるのだが。

 国連人権理事会は、同法案への懸念を表明した。ほかにも内外から批判が寄せられている。こんな恥ずかしいことが、過去
あったろうか。私も参加している世界平和アピール七人委員会も、同法案の廃案を求めた。問題点は網羅したと自負している。
ぜひサイトを訪れ、アピールを読んでほしい。



東本高志@大分
higashimoto.takashi at khaki.plala.or.jp
http://mizukith.blog91.fc2.com/ 



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