[CML 027815] 特定秘密保護法案 もうひとつの視点:特定秘密保護法案はアメリカの第2次日本占領とでもいうべき「情報支配」を完成させる ――3つの地点からのそれぞれの「報告」 沖縄(メディア)、岩国(写真家)、インターネットという場(政治学者)

higashimoto takashi higashimoto.takashi at khaki.plala.or.jp
2013年 11月 22日 (金) 21:58:18 JST


もはやこれは1945年の敗戦期に続くアメリカの第2次「日本占領」というべき事態ではないか。以下の3本の記事(報告)を通じて、
特定秘密保護法案の成立の危険性をアメリカの第2次「日本占領」(すなわち、日本の真の独立)という観点から見てみたい。また、
考えてみたいと思います。

1本目。
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■復帰前の空撮、米軍基地は黒塗り 秘密法で時代逆戻り(琉球新報 2013年11月22日) 

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-215641-storytopic-1.html

 写真:
 1970年~71年にかけて撮影された那覇市の空撮地図。当時、米軍が使用していた那覇飛行場が黒く塗りつぶされている

 本文:
 特定秘密保護法案の国会審議が大詰めを迎える中、県議の渡久地修さんは米軍基地が黒く塗りつぶされた琉球政府作製の
空撮地図をインターネットなどで紹介し、同法案の危険性に警鐘を鳴らす。「この法律が成立すれば、米軍基地に関する全ての
情報は隠される。この地図のように『黒塗り』の時代に逆戻りだ」と訴えている。

 渡久地さんが紹介しているのは、復帰前の1970年から71年にかけて琉球政府が撮影した沖縄県全土の空撮地図。地図の
米軍基地に当たる部分は全て黒く塗りつぶされている。

  渡久地さんが那覇市議を務めていた97年ごろ、モノレール建設の資料地図として那覇市長室の壁に貼られていたという。「特
定秘密保護法案の審議が国会で始まったころ、この地図の存在を思い出した」と話す。 


  渡久地さんが収集した資料「広報おきなわ」(70年第4・5号)によると、日本政府が「国土資源開発」を目的に「国土基本図」と
して作製した。県外では60年代から国土地理院が航空撮影を開始し、70年の時点で国内73%の作製が完了していたという。

  復帰前の沖縄では米民政府から「軍事上の理由」で空撮の許可が下りず、県外に比べ約10年作業が遅れた。復帰直前に琉
球政府の委託を受けた「ライアン・アソシエーツ琉球社」が撮影を実施した。

  同地図は復帰まで米軍が使用していた那覇飛行場(現那覇空港)や、現在も残る普天間飛行場、嘉手納基地などが黒く塗り
つぶされている。

  インターネットで「グーグルマップ」が提供する航空写真では、県内の米軍基地を自由に見ることができる。渡久地さんは「特定
秘密保護法が成立すれば、政府は堂々と基地に関する情報を隠すだろう。インターネットでの閲覧もできなくなる恐れがある」と
懸念する。「沖縄は県民のすぐそばに米軍基地が存在している。基地の情報は県民の生活や安全に直結する。そこに目を向け
ることが『犯罪』になりかねない法案を決して許してはならない」と力を込めた。(赤嶺玲子)

2本目。
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■ますます重要になってきた日米安保の上にとつぜん植え付けられはじめたトッッピングとしての特定機密保護法案。
(Shinya talk 藤原新也 2013/11/21)
http://www.fujiwarashinya.com/talk/index.php

一党独裁、安倍はこのところTPP、消費税と、あたかも通過儀礼のように”慎重に検討してますポーズ”だけとって”やりたい放題”
である。

野党の意見を”聞いていますポース”をとっている「秘密保護法案」も同様。

その本心は弱小野党などどこ吹く風。

従軍慰安婦番組問題で怨念を残すNHK人事にも遠回しに手をつけはじめているから安倍は節目の無い竹のようなお坊ちゃんで
あるがゆえに怖い。

この夏、その安倍首相のお膝元は山口県の岩国基地に入ってまざまざと見せつけられたことがある。

岩国基地は錦帯橋下流の河口に広がる三角州に実に甲子園球場145個分のの敷地を占める広大な基地だ。

一般に岩国基地と言えば自衛隊岩国基地という風に考えがちだが、日本本土で唯一の米海兵隊の航空基地として米軍が同居
している。

ベトナム戦争時では出撃基地として利用され、湾岸戦争でも兵員が派遣されたことからもわかるように、日本における米軍最重
要基地のひとつなのである。

私がこの基地を訪れたのはこの夏のトークにも書いたように救難飛行艇US-2に乗るためだが、単なる飛行機見たさのミーハー
訪問ではなく、その機会に日米関係というものを理論ではなく”生もの”として存在する現場を見てみたいという思いもあった。

そこで見せつけられたのは日米地位協定というものが米軍と日本国民の間のみならず、自衛隊と米軍の関係の中においても存
在しているという厳然とした事実である。

基地に入るには当然ゲートをくぐらなければならない。

いわゆる”玄関”である。

”何!”と思ったのはいきなりその玄関口からであった。

実はその玄関は事実上米軍が管理している。

そのゲートを潜るとそこは米海兵隊の広大な駐屯地となっており、巨大なハムみたいな兵隊や巨女が私服でユタユタとジョギン
グしていたりするのである。

そこはいきなりアメリカだったのだ。

ファストフードショップもあればアメリカンスーパーもある。

当然撮影禁止。

それではめざす自衛隊クンは一体どこにいるのか。

手をこまねくがどこにもそれらしいものは見えない。

その米海兵隊街の中を通る道路をくねくねと通って、しばらくしてやっと海上自衛隊の航空基地(海兵隊基地に比べるとちょっ
とみすぼらしい)に至るという寸法。

つまりゲートから自衛隊駐屯地に至るその過程で日米軍の力関係があからさまみ見えてしまった。

自衛隊とはアメリカ軍の腹にくっついているコバンザメなのである。

これが日米安保の偽らざる正しい姿。

来週にでも衆議院を通過しそうな雲行きの「特定秘密保護法」もこの従属的日米関係に端を発すると私は考える。

ご承知のように、アメリカは長年アフガニスタン以西から中東に至る地域を世界戦略の重要な位置づけとしていた。

それはイスラエル問題以上にエネルギー政策上の石油戦略でもあり、そのことはウソの口実とともにイラクの石油欲しさに無謀
な侵攻を果たしたことがよくそれを表しているのだが、最近アメリカはイスラエル問題を省いては中東に対するかつてのような情
熱を失っている。

それはアメリカのアフガニスタンやイラクの駐留が意味をなさなくなった以上に、単純にシェールガス革命によって今後10年の
間にアメリカが逆に石油資源の輸出国になるという見通しから、中東の石油を必要としなくなったからである。

それと相対するように、インドから日本に至る東アジアが世界経済圏の主軸となりつつあり、アメリカ経済(軍事を含む)の世界
戦略が中東からアジアにシフトされつつあると見るべきだろう。主に東アジアを巻き込んでのいきなりのTPPの押しつけもその戦
略の一環だと考える。

加えてその新たな世界戦略の対岸にアメリカが建国以来、多国籍国家としてその結束とアイデンティティを保持するために常に
仮想しなければならなかった敵国、ドイツ、日本、ソ連、特定地域の中東に続く巨大敵国である中国が獅子の口を大きく空けて
いる。

今日東アジアはその二重の意味でアメリカにとって最重要地区となったわけだ。

世界政治というものは猫の眼のように変わりやすいと言われるが、アメリカがその軸足を東アジアに移すとともに東アジアの盟
主、日本はその拠点として、もっとも重要な国となりはじめたということだろう。

オバマがアメリカにおいて絶大な人気のあるケネディ元大統領のキャロライン・ケネディさんを在日大使に特命したのもこの流れ
の中にあると見なすべきだ。

そんな中、これからあの岩国基地のように一心同体というより、子飼いとしての自衛隊とアジア戦略に打ってでなければならない
アメリカとしてはこの自衛隊のなまぬるさにガツンと釘を刺しておく必要がある。

アメリカとしてはあの尖閣ビデオのように簡単に軍の機密が漏れるような今のぬるい自衛隊では困るのだ。

岩国アメリカ基地の奥座敷に居候する自衛隊の兄ちゃんが休暇でゲートの外に出たあとに、米海兵隊が使いものにならないくら
いデブデブに太っているというような”機密”を外部に漏洩しては困るのである。

まあこれは冗談だが、岩国を見る限りにおいて、あの元CIA職員スノーデン氏のごとく自衛隊員は漏洩するに足るだけのアメリカ
軍の機密を掠め取ることのできる位置にあるわけだ。

畢竟、たとえば尖閣を想定した日米合同軍事訓練で共有した秘密作戦を漏洩する自衛隊のあんちゃんが輩出することは国家
の生命線にかかわることだ。

「特定秘密保護法案」に関しては市井における戦前国家のような人身管理が施行されることのみがクローズアップされているが、
(当然そのことも重要だが)私たちはその法案がなぜ今どこからやって来たかという大前提を知っておく必要がある。

その大法規にかこつけて、姑息な現政権と官僚が機密保護の投網をまさに虎の威を借る狐のごとく”その他”の名目でトッピング
のようにぐちゃぐちゃとつけているというのが正しい理解の仕方である。

要するにどさくさにまぎれてというヤツだが、おそらくターゲットとしては今”危機感を抱いている”という大メディア(それは彼らの自
分に対する過大評価だろう)というより、おそらくネットという匿名のアンダーグラウンドメディアということになる。

ネットとは尖閣ビデオに限らず件の近々ではSの映像が世間に流布したように機密漏洩の海なのである。

逆に言えばTwitter黎明期に私が朝日新聞で書いたように、そこに展開される個人の機密が漏洩し、監視されるということでもあ
る。

いよいよその傾向が強まって来たなというのが私の偽らざる感想であり、実を言うと10年続けていた公開サイトをクローズドにし
たのも、公開サイトを運営している間にその危機感(あるいは実害)をひしひしと感じていたからだ。

この件のトークはCat Walkにもかかわることであり、他日に譲りたいと思う。

3本目。
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■(藤原帰一・時事小言)特定秘密保護法案(朝日新聞 2013.11.20)
http://www.asahi.com/articles/TKY201311190326.html

 知られない権利も危機

 特定秘密保護法案について行われる議論のほとんどは、政府が秘密を隠すことによって国民の知る権利が奪われるのではな
いかという論点に集中しているようだ。だが、別の問題もある。それは世界各国の政府によって電子メールや電話の内容が監視
され、国民の個人情報が政府に筒抜けとなってしまう危険である。知る権利ではなく、国家に知られない権利の問題だ。

 2013年5月、アメリカ国家安全保障局(NSA)の元外部契約職員エドワード・スノーデンが、大量の政府文書とともに香港に逃
亡した。各国の報道は逃走するスノーデンをロシア政府が受け入れるのかどうかという点に焦点を置いていたが、事件の本質は
政府による情報収集の実態が内部告発された点にあると見るべきだろう。スノーデンが手にした情報の報道を抑えるべくイギリス
政府は強い圧力を加えたが、その干渉をはねのけるように英ガーディアン紙は報道を続け、世界の政治指導者35人の電話をN
SAが盗聴していたことも暴露された。

 情報収集の対象は政府だけではない。ガーディアン紙によれば、NSAは携帯電話の事業者に対して数百万人に上る通話履歴
の提出を求めていた。誰に誰が電話したのかという、まさにプライバシーそのものの情報が、国民の知らないところで政府に伝え
られようとしていたのである。

 NSAの活動を可能としたのはデータ通信の拡大だった。かつての情報収集には盗聴器の設置やスパイの養成が必要であった
が、現在は大量の電子データにアクセスするだけで膨大な情報を手に入れることができる。人手によってそれらを解明することは
不可能だが、キーワードを設定しその結びつきを検証することで、「怪しい通信」を機械的に抽出することはできる。ビッグデータの
時代が訪れることでかつてない規模の諜報活動、いわばビッグインテリジェンスが実現するのである。

 ここで気になる報道が一つある。共同通信によれば、NSAは光ファイバーケーブルを経由する電子メールや電話の傍受に協力
するよう、日本政府に打診を行っていたという( 
http://www.47news.jp/CN/201310/CN2013102601002217.html )。当時の民主党
政権は法制度の不備などを理由としてこれを断ったというのだが、打診が行われた2011年の後にどんな展開が続いたのか、私
の見る限り報道はない。

 そして、特定秘密保護法案の第9条には、一定の要件の下で外国の政府または国際機関に特定秘密を提供できるという定め
がある。日本政府が以前には断ったメールや電話の傍受を受け入れる方針に変わる可能性は否定できない。

 こういえば、侵略やテロの脅威に関連する情報を各国が共有するのはあたりまえではないかという反論があるだろう。私も、国
防をはじめとする特定の領域について政府が情報を秘匿することは、許されるばかりか必要な行動であると考える。さらに、個人
のプライバシーを踏みにじるようなマスメディアによる報道は弁護の余地がない、いま必要なのは知る権利よりもマスメディアに知
られない権利ではないかとさえ考える。

 だが、侵略やテロの防止が必要であるとしても、その目的を達成するためにどのような情報の獲得が許されるのか、個人情報
の保護と安全保障の要請との間のバランスをどのように取ればよいのかという問題は残る。国家による情報収集と機密保護は、
常に国民の私的自由、国家の干渉から私生活を守る権利との緊張関係に立つからだ。

 誰の情報をどこまで獲得してよいのか、その判断が国民の手を離れて政府に委ねられるのなら、国防の必要という名の下で国
民のプライバシーが奪われ、警察国家のような状況が生まれてしまう。さらにいえば、大統領さえ解任できないまま米連邦捜査
局(FBI)に居座り続けたフーバー長官を見ればわかるように、情報機関が政府のなかにもう一つの政府をつくってしまい、当の
政府さえコントロールのできないモンスターとなってしまう危険もある。

 すでに指摘されているように、現在の日本政府は情報収集と機密保護の両面においてまだまだ不十分であり、制度づくりが
必要なのは事実である。だからといってグローバルスタンダードに従えばいいわけでもない。スノーデンは、アメリカやイギリスを
中心として、政府によるビッグデータの収集と捕捉が進められていることを暴露した。特定秘密保護法がそのようなデータ収集
の一環となり、国家に知られない自由が侵されるのではないか。それが、特定秘密保護法案のはらむもう一つの問題である。
                                                                  (国際政治学者)
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東本高志@大分
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