[CML 027809] 在日に関するネトウヨのデマ検証

泥憲和 n.doro at himesou.jp
2013年 11月 22日 (金) 21:33:11 JST


 韓国が李ラインを設定して日本漁民を拿捕し、
これを人質にして在日韓国人の協定永住を認めさせたという神話がはびこっている。
 デマを信じ切っているネトウヨはなかなか真実を認めないが、
当時の国会の記録をあげて、本当のことを示しておく。

 衆議院議事録「第023回国会 法務委員会 第3号 昭和三十年十二月八日(木曜日)」
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/023/0488/02312080488003a.html

 次のツイートに三田村武夫衆議院議員の質問を掲載する。
 彼はいう。
 「韓国が日本の漁民を人質にして、大村収容所の密入国者を釈放しろと言っている。」
 これは誤解なのだが、当時はそういう風聞だったことがわかる。

 ○三田村委員
 私がこれをお尋ねするのは、さっき法務大臣の発言に非常に重要な意味を含んでいるからお尋ねするのです。
 結局、韓国側の押えておる日本の漁民は人質のような格好で押えられておる。
 日本の国内で大村収容所に押えておる者を全部釈放しろ、
そうしたらおれの方も釈放してやろう、
こういうような政治的な口実に使われておるようであります。

(どろ註)
 大村収容所にいた収容者1685人。 

 これをネトウヨは在日韓国人の協定永住全体に話をふくらませてしまうのだから、ほとほとあきれる。
 ともかく、大村収容所の収容者全部というのも誤解であると、政府委員の内田藤雄入国管理局長が答弁している。

 ○内田政府委員
 その点、私の言葉が足りなかったかと存じますが、
今、日韓間におきまして問題になっておりますのは、
この密入国者は除かれておるのであります。
 向うは、終戦後に日本に入った者は当然受け取る義務があるということを彼ら自身認めております。(発言つづく)

(つづき)ただ、韓国の場合には一般的に義務を認めてもなかなかそれを履行しないという問題がございます。
 しかし、いまだかって、戦後の密入国者を自分たちは引き取らないということは一ぺんも申しておりません。

(どろ註)
 さてそれでは韓国の要求はなんだろうか。
 それは、大村収容所にいる1685人の収容者のうち、
370人の刑法犯について、引き取れないというのだ。

(入国管理局長)
 ただいま向うが国内において釈放せよと要求しておりますのは、
まさにこの三百七十名の犯罪者だけでございます。
 従いまして、今の話がかりにでき上ると仮定いたしますならば、
密入国者の送還というものはすぐにできるし、向うが引き取ると思います(ここまで)

(どろ註)
 なぜ韓国は犯罪者を引き取れないというのだろうか。
 「彼らは戦前から日本にいるのだし、韓国に居住実態もないから、韓国籍かどうかもわからないのに、引き取れない」というのがその理由だそうだ。

○三田村委員
 国籍があれば、さっき内田局長が言われましたように、
大体送還の意思決定をすれば一カ月以内に引き取るということは、
送り先がわかっておるから引き取るのです。(発言つづく)

(三田村議員発言つづき)受け取る国も、自分の国の国民だから、国籍が自分の方だから受け取るのですが、
韓国側では、この大村収容所におる者が国籍があるかどうかわからぬ。
 おそらく日本では日本国民としての国籍もない人だと思うのでありますが・・・(ここまで)

(どろ註)
 国籍問題が根本にあるのだった。 

 韓国政府の言い分は、まあ、無茶な主張であろうと思う。
 しかし、韓国政府にも一分の理はあると政府は認めていた。

○内田政府委員
 長い間一度はその国民であるという形こおいてそこに住んでおったような人間につきまして、
どうするかという問題については・・・、私も勉強不十分でございますが・・・(発言つづく)

(内田答弁つづき)国が独立したというような場合には、一つには国籍の選択権を認める、
そして日本の国籍を選択した場合には日本にとどまる、
あるいは向うの国籍を選んだ場合には向うに帰る、こういう例もある。(答弁ここまで)

(どろ註)
 実際には、日本政府は国籍選択権を与えなかった。
 これが問題の生じた一因であることを内田局長は言外に語っている。
 他にも一連のやり取りに、興味深い事実が含まれている。
 質問者は、密入国者は密輸などの犯罪者ではないのかと問うが、政府は違うと答えている

○三田村委員
 何べんも何べんも入ってきて、密貿の商売であるとか、あるいは麻薬を持ってくる、
そういった最も悪質な者で、こんな者を国内に置いたら大へんなことになるというような、
そういった種類のものとの量的な色分けというものはできないものですか。

○内田政府委員
 密入国者の中にも、確かに、私の記憶しております限り、
密入国をして来た上に犯罪をやったというのも数件ございます。
(ここまで。以下、どろ)
 驚いたことに、密入国者のうち、犯罪で摘発されたのがたった数件であると政府が答弁しているのだ。

(局長発言つづき)そういう者もあるかもしれないと思いますが、現在まで私どもが扱いました数回密入国をしておるという例を見ますと・・・
こちらの家族を頼ってやってくることが、われわれの方に密入国の現行犯ということでつかまってしまったために帰された(つづく)

(つづき)やはりどうしても日本に来たいというのでまた来る、こういうようなことで二度三度になっておる実例がございますが、
特にそれがゆえに悪質である、あるいは特に麻薬などの密輸入を目的にやっておるというような事例はまだ見つかっておりません。

(どろ註)
 当時の日本政府の認識としては、 

戦後になって密入国してきた者はいる、
しかしそれらの者の内、犯罪者は極めて少ない、
凶悪犯は戦前から日本にいた者で、 

いまさら韓国に帰っても居住地すらないような者である、
というものだったことがわかる。
(用事で一旦終わる。まだ続く予定) 


 「在日は李ラインで韓国に拿捕され人質にされた日本漁民の釈放とひきかえに協定永住を認められた」というデマをくつがえす連続ツイートのつづきをはじめる。
 ここまでは1955(昭和30)年の国会の議事録だった。

 時代は10年後の1965(昭和40)年にとぶ。
 日韓条約が調印された年だ。
 国会議事録を読んでみよう。
 「第050回国会 日本国と大韓民国との間の条約及び協定等に関する特別委員会 第7号 昭和四十年十月三十日(土曜日)」
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/050/0401/main.html

 八木正男入国管理局長が、戦後に日本に入ってきた不法入国者の処置について説明している。
 結論を言えば、全員が韓国に送還された。
 「韓国に囚われていた日本人漁民の釈放と引き換えに、大村収容所にいた密入国者を釈放した」というのはネトウヨのデマである。
 
 ○八木政府委員
 昭和三十二年の大みそかの日に調印されました覚え書きによりまして、
今後日本では、終戦当時から引き続いている韓国人、この場合は朝鮮人ですが、
これに対して大村収容所への収容を行なわないということを条件にしまして(つづく) 

 (承前)韓国に抑留されておった漁師を引き取り、釈放させ、
同時に、それまでに戦後日本へ入ってきた不法入国者を引き取らせたという経緯がございます。(ここまで)
(どろ註)
 このように、入管局長が「戦後日本へ入ってきた不法入国者を引き取らせた」と述べている。

 密入国者を引き取らせているではないか。
 その見返り条件は
 「当時すでに合法的に居住していた在日コリアンを、今後は大村収容所に入れない」
だけ。
 「人質と引き換えに協定永住を認めさせた」どころか
「密入国者を釈放させた」も、根も葉もないデマだった!

 日韓条約が締結されたことで、捕らわれていた密入国者は韓国に送還ずみである。
 よって「在日は密入国者の子孫」という悪罵は成立しない。

 ネトウヨというのはまったく息をするように嘘をつく奴らだということがよくわかる。
 こんなデマを拡散して、在日コリアンに対する差別を扇動する行為は、もう犯罪扱いにしてはどうか。

 さて、 @ktcathouseさんがまとめてくれた、
「在日一世は全員(もしくはほとんど)密入国者だ」というデマの検証
http://togetter.com/li/592175 
のつづきがある。
 ネトウヨ佯狂者くん@yurodivy1が、私の説が間違いだという資料を出してきたのだ。

 朝鮮奨学会の懸賞論文「釈放と強制送還の間」
http://www.korean-s-f.or.jp/doc/kensyo200904.pdf … 
がその資料だ。
 資料によれば、捕らえられた密入国者の家族などから嘆願を受けて、
GHQが日本在留を許可することがあったという。

GHQの覚書SCAPIN 852のいう
「時々日本入国の許可を与えられることがあるであろう。これらの者は、半永久的に日本に居住するであろう。」
という外国人は、この人たちを含むに違いない。
 この人たちの軌跡は、
「密航→GHQの事後承認→日本政府の在留許可」という順序だ

 「入国前にGHQが許可しなければ入国が認められる筈がない!」という佯狂者くん@yurodivy1たちは、間違っていた。
 私は事後承認があると言い続けた。 

 SCAPIN 852と入国管理令にもとづけばその結論しかないからだ。
 ここに資料によって事後承認があると証明された。

 ただし、論文のいうのは「密航→摘発→GHQの入国承認→日本政府の在留許可」だから、その点は私の想定外だった。
 では摘発なしの事後承認はなかったのか。
 やはりあったと思う。
 そうやって入国したというマルハン会長の証言を否定する材料がない限り、私は自説を改めなくてもよいだろう 

とりあえず、この件についてはここで一応のしめくくりとしたい。
 佯狂者くんには、資料を見つけてくれたことを感謝したい。(自爆乙とは言わない) 



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