[CML 027616] 【京都新聞 社説】「小泉脱原発講演  首相は進言に向き合え」

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2013年 11月 13日 (水) 14:27:21 JST


【京都新聞 社説】

小泉脱原発講演  首相は進言に向き合え

 「安倍首相が決断すれば原発ゼロは実現できる。野党は賛成し、自民党も最後は従う。国民も協力する。自然エネルギーを資源にした夢のある事業にかじを切り、世界のモデルになるべきだ」

 小泉純一郎元首相がきのう、日本記者クラブで講演して訴えた。ここ2カ月ほど、各地の講演などで話していたが、メディア向けに公式に語るのは初めてである。

 原発再稼働に前のめりな安倍政権への痛烈な警告であり、核のごみ処理にめどが立たない日本の原発問題の核心を突いた。首相は、「師」でもある小泉氏の進言に正面から向き合うべきだ。

 福島原発の事故を踏まえ、小泉氏は今夏訪れたフィンランドの核廃棄物最終処分場「オンカロ」や、脱原発を宣言して自然エネルギー利用を進めるドイツを例に、原発をゼロにすべきと強調した。

 オンカロは400メートル下の地中に使用済み核燃料を10万年も保存する。日本も2002年から地中に埋める処分地を公募しているが、引き受ける自治体はない。

 小泉氏は「10年以上前から核のごみ処分地を探してできなかったのに、(福島の)事故の後に見つけ出せると言うのは楽観的で無責任だ」と主張し、「トイレのないマンション」と言われる原発の急所を指摘した。安倍首相が「今の段階でゼロを約束するのは無責任」と、小泉発言に反論しているのを意識したのだろう。

 経済界などには「自然エネルギーは費用がかかり、経済成長を阻害する」との反発もある。だが、「日本の技術力は素晴らしい。政治で一番大事なのは方針を出すこと。原発ゼロを打ち出せば知恵が集まる。原発建設の費用を再生エネルギーに向ければ、進んでいく」と小泉氏は語った。

 原発関連の審議会委員を推進派に差し替えるなど「原発回帰」に流れる安倍政権に、野党は弱く、自民内も押し黙る。こうした中、小泉氏の発言は目新しくはないが、国民に分かりやすい言葉で一点突破を目指した首相時代をほうふつとさせ、影響は小さくない。

 小泉政権は、行きすぎた社会保障費の削減などで格差を広げてしまった。原発を進めてきた責任も当然ある。一方で、推進者としての反省を踏まえた問題提起は説得力があり、国民も共感し得る。

 福島の事故以来、原発依存社会からの決別は国民の総意といえる。省エネ生活も定着してきた。小泉氏の言う通り、「ピンチはチャンス。大きな権力を、国民が協力できる方へ使える環境にある」。原発ゼロへ、安倍首相は揺るぎない方針を打ち出してほしい。

[京都新聞 2013年11月13日掲載]

http://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/20131113_3.html 		 	   		  


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