[CML 027568] ブラック企業という言葉

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2013年 11月 11日 (月) 01:42:51 JST


 坂井貴司です。
 
 私が送りました「ブラック企業の世界戦略」[cml:027544]に対して
 hinokiharaさん[cml:027551]は
 
 「トンデモ和製英語「ブラック」を使って、「ミルトン・フリードマンの親父
の工場は「ブラック企業」」、と書いたら、馬鹿丸出しだが、さて米国のビジネ
ス誌「ブラック・エンタープライズ」が搾取企業の時はあなたは
どう表現しますか?」

と書きました。

 私は以前から「ブラック企業」という言葉に違和感を感じていました。
 
 1960年代後半まで、アメリカの黒人(アフリカ系アメリカ人)は、公的に
は「ニグロ」、蔑称として「ニガー」あるいは「ダーキー」と白人(ヨーロッパ
系アメリカ人)から呼ばれていました。
 
 それに対して黒人たちは
 
 「我々はニグロでもニガーでもましてやダーキーでもない。ブラックだ!」
 
と立ち上がって叫びました。白人に対して「我々をブラックと呼べ!」と黒人た
ちは要求し戦いました。それは制度上の差別だけでなく、内面の革命を伴う激烈
な変革でした。

 現在はアフリカ系アメリカ人と呼ばれる黒人が、「ブラック」と言う言葉に、
人間としての尊厳を込めて使ったことは多少は知っています。
 
 ですから、労働者を奴隷のように酷使して使い捨てにするという意味で使う
「ブラック企業」という言葉に私は抵抗を感じていました。
 
 ただ、この言葉が定着「しているかのように」見えましたので使いました。
 
 しかし、hinokiharaさんの指摘を受けて、やはり使うべきではないという結論
に達しました。
 
 もう一つは、やたらと英語を使う日本の風潮に疑問を抱いていたことです。
 
 スキル、エクイティ、タイムライン、スポット、ライフイベント・・・。役所
も民間企業もマスコミ(ああ、これも和製英語!)もやたらと英語の単語を混ぜ
て使います。本多勝一も指摘していたことですけれど、日本人は英語(本当はイ
ギリス語と言うべき)を「高級な言語」として異常にありがたがります。「英語
ができます」というと、「おお!すごい!」と無条件に尊敬のまなざしで見られ
ます。英語が出来ることは、エリートへの切符を手にしていることを意味します。

 だから大金と時間をかけて日本人は英語を勉強します。

 もちろん、英語の読み書きと会話ができること自体は良いことです。世界が広
がります。

 しかし、日本語を話し、読み書きをするならば、日本語を使うべきです。英語
が判らない日本人の数が多いからです。
 
 「ブラック企業」と言っても、意味が分からない日本人はたくさんいます。そ
の人たちに判るような言葉を使うべきです。
 
 だから、私はこれから「ブラック企業」という言葉は使わないことにします。
人種差別的な意味だけでなく、言葉の意味が伝わらないからです。
 
 ではどのような言葉を使えば良いのか。
 以前から考えてきました。
 
 まずは「搾取企業」です。ぴったりだと私は思います。
 
 しかし、「搾取」はマルクスやレーニンの著作ではおなじみですけれど、少し
難しい言葉です。
 
  「あなたは搾取されている」と私が労働相談で若い人に言った時、「サクシ
ュってなんですか?」と聞き返された経験があります。
 
 「ボッタクリ企業」は?
 
 労働力をボッタクリにしている現実を表していますけれど、すこし違う気がし
ます。
 
 「ヤバい企業」は?
 
 これは「業績が悪化して倒産寸前の企業」という意味もあります。
 
 私は、「ドレイ企業」が良いのではないかと思います。漢字では「奴隷」と難
しく書きますけれど、カタカナで書いても良いですし、言葉の響きが現実を表し
ています。
 
 あるいは「収容所企業」もどうかと思います。人間としての自由がない状況を
言い表していると思います。
 
 なお、

 「ブラック・エンタープライズ」が搾取企業の時はあなたは
どう表現しますか?」

の問いには、私は「ドレイ企業」と表現します。

坂井貴司
福岡県
E-Mail:donko at ac.csf.ne.jp


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