[CML 027382] 原子力損害補償条約加盟へ 再稼動や原発輸出後押し(11/1付『朝日新聞』朝刊記事)

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2013年 11月 2日 (土) 03:14:54 JST


紅林進です。 

昨日11月1日(金)付けの各紙は、政府が31日、原子力事故の損害補償 
について定めた国際条約「原子力損害補完的補償条約(CSC)」に加盟する 
考えを表明したことを報じていますが、これも再稼動や原発輸出を後押し 
するためのようです。日本の原子力損害賠償法(原子力損害の賠償に関す 
る法律)は、「責任集中の原則」なるものを採っていて、賠償責任を原子力 
事業者(電力会社)のみに集中して、それ以外の者、つまり原子力メーカー 
などは、一切の責任を負わないというものである。この法律があるために、 
福島原発事故においても東電の責任は問われても、日立や東芝、GEなど 
の原子力メーカーの責任は一切不問にされてきた。そもそもこの原子力 
メーカー免責の原賠法は、米国などが日本に原発を売り込むに当たって、 
その原発メーカーの責任を問われないように作らせたものであり、米国や 
英国などは、日本だけでなく、世界の多くの国々に、このような法律を押し 
付けていった。今日では、インドなどを例外として、原賠法を持っている 
ほとんどの国において、事業者(電力会社)への責任集中の原則を採って、 
原子力メーカーなどを免責している。 

こういう原子力メーカーなどを免責する原賠法は、国策として原発を海外に 
輸出しようとしている安倍政権にとっても、米国が日本に原発を売り込むに 
当たって作らせたように、輸出先の相手国にもこのような法律を押し付け 
たいのであろう。しかしこれまで原発を導入してこなかったベトナムやトルコ 
などには、そもそも原賠法自体がないのであり、それを自分の都合のよい 
ように作らせるに当たっても、このような国際的枠組みを必要としているの 
であろう。 

もっとも「加盟すれば、事故が発生した国でしか訴訟できなくなり、他国の 
算定基準で巨額の賠償金を請求されるのを防ぐことができる。今後見込 
まれる原発再稼働に向けて、事故に備えた環境を整える狙いもある。」 
(『読売新聞』記事)とあるように、輸出した原発が事故を起こした場合も 
事故が発生した国でしか訴訟できなくなるのであり(それは今でも同じだ 
とも思うが・・・)、そこら辺の意図をどう見るかは、もう少し検討する必要 
があるとは思います。 

「原子力損害補完的補償条約(CSC)」については、私も詳細はまだ知らない 
ので、確認し、精査する必要があるが、上記のような大きな流れの中で出て 
きたものであろう。 

下記は11月1日(金)付けの『朝日新聞』朝刊(第7面)の記事であるが、 
その記事中でも、「日本企業が原発を輸出した先で事故が起きた場合、 
現地の電力会社だけが責任を負う制度もある。ただ、相手国もCSCに 
入っている必要がある。」とあり、安倍政権は、このCSC条約加盟を、 
原発輸出先の国に押し付けてゆく腹づもりなのであろうが、危険な原発 
を売りつけて、事故が起こっても輸出元の原発メーカーや日本政府は 
一切責任を取りませんという無責任・身勝手極まる条約だと思います。 


(以下、各紙記事転載) 

「原子力損害補償条約加盟へ 再稼動や原発輸出後押し」   
11月1日(金)付けの『朝日新聞』朝刊(第7面)記事 

 政府は31日、原子力事故の損害補償について定めた国際条約 
「原子力損害補完的補償条約(CSC)」に加盟する考えを表明した。 
賠償が一定額を超える場合に、加盟国が資金を出し合って支える 
仕組み。原発の再稼動や海外輸出を後押しする狙いがあるとみら 
れる。ただ、福島第一原発事故の賠償は対象外だという。 
 CSCは米国が主導し、アルゼンチン、モロッコ、ルーマニアの計 
4カ国が加盟。各国の拠出金は原発の出力などで決まり、その額 
が賠償支援の上限になる。 
 また、日本企業が原発を輸出した先で事故が起きた場合、現地 
の電力会社だけが責任を負う制度もある。ただ、相手国もCSCに 
入っている必要がある。     


原発賠償条約:訴訟先を国内限定 政府が加盟方針 
毎日新聞 2013年10月31日 21時36分(最終更新 11月01日 00時05分) 

 政府は31日、「原子力損害の補完的補償に関する条約」(CSC)に 
加盟する方針を決めた。新たな事故発生時の損害賠償の訴訟先を 
国内に限定し、国外裁判による巨額の懲罰賠償を回避する。東京 
電力福島第1原発事故の廃炉や汚染水対策に外国企業が参入し 
やすくする狙いがある。 
 CSCは原発事故の被害者への賠償額が「責任限度額」(約450 
億円)を上回れば、締結国の拠出金で補充する仕組み。米国主導 
で1997年に採択された。発効要件(締結国5カ国以上など)を満 
たしていなかったが、日本の加盟で発効する。 
 同様の条約は欧州中心の「パリ条約」と国際原子力機関(IAEA) 
が定めた「改正ウィーン条約」(いずれも発効済み)があるが、米国 
が日本にCSC加盟を求めていた。菅義偉官房長官が31日、首相 
官邸でモニツ米エネルギー長官と会談し、締結方針を伝えた。 
                                 【吉永康朗】
  

原発事故補償条約加盟へ…他国基準の賠償回避 
読売新聞 11月1日(金)10時42分配信  

 政府は31日、原子力事故の損害賠償のルールを定めた米国主導 
の国際条約「原子力損害の補完的補償に関する条約(CSC)」に加盟 
する方針を発表した。 
  国会での早期批准を目指す。加盟すれば、事故が発生した国でしか 
訴訟できなくなり、他国の算定基準で巨額の賠償金を請求されるのを 
防ぐことができる。今後見込まれる原発再稼働に向けて、事故に備えた 
環境を整える狙いもある。 
  条約は現在、米国、アルゼンチン、モロッコ、ルーマニアの4か国が 
加盟しているが、「5か国以上の加盟国、原子炉の合計出力4億キロ・ 
ワット以上」の条件を満たしていないため、まだ発効していない。このた 
め米国が日本に加盟を働きかけていた。 
  原発事故賠償の国際条約には、西欧が中心の「パリ条約」、南米や 
東欧諸国による「改正ウィーン条約」、米国主導のCSCの三つがある。 
CSCは「異常に巨大な天災地変」の場合は事業者が賠償責任を負わ 
ないなど、日本の原子力賠償制度と大きな違いがないため、政府が 
有力候補として検討していた。加盟すれば、自国で原発事故が発生し 
た場合に他国からの拠出金で資金援助を受けることもできる。  


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