[CML 024615] 【毎日新聞】恥ずかしいぞ原発輸出 エコノミックアニマルから「野獣」+【朝日新聞】成長戦略に「原発活用」、再稼働の推進明記 原発依存社会を継続 安倍政権素案へ

uchitomi makoto muchitomi at hotmail.com
2013年 5月 31日 (金) 10:08:21 JST


特集ワイド:相手国の民主化ブレーキも 恥ずかしいぞ原発輸出 エコノミックアニマルから「野獣」へ

毎日新聞 2013年05月22日 東京夕刊
http://mainichi.jp/feature/news/20130522dde012010007000c.html

日本の原子炉輸出第1号となった台湾の第4原発建設反対を訴え、デモ行進する市民=台北市で2013年5月19日、鈴木玲子撮影

 トップセールスの売り言葉は「世界一安全」−−。アベノミクスの成長戦略として原発輸出を掲げ、トルコ、アラブ首長国連邦(UAE)を訪れ、原発輸出を約束した安倍晋三首相。いまだ16万人もの原発事故の避難者がいることを思えば、「恥ずかしいからやめてくれ」と言いたくなる。なりふり構わず利益を追求する姿は、経済活動に血道を上げ、エコノミックアニマルとやゆされた時代よりも深刻ではないか。【庄司哲也】

 福島第1原発の事故後、官民一体で具体化させた4月30日からの中東歴訪。安倍首相は現地で「原子力の安全向上に貢献していくことは日本の責務」と、原発輸出を成長戦略の柱に据える考えを強調した。サウジアラビアでは「(日本は)世界一安全な原発の技術を提供できる」とアピール。一方、国内向けには2月の施政方針演説(衆院)で「できる限り原発依存度を低減させる」と表明、国内外で言葉を使い分けている。

 「リコール中の自動車を他国で販売するようなもの。日本独自の経済倫理思想のかけらもない。たとえグレーゾーンであってももうければ良いという考えを私は『修羅の経済思想』と呼んでいますが、まさにそれです」。中央大学総合政策学部の保坂俊司教授(比較文明論)は、原発輸出を切り捨てる。

 保坂さんによると、日本の伝統的な経済倫理思想を表す言葉は「三方善(よ)し」だ。近江商人に由来するもので、経済活動は生産者、流通者、消費者それぞれが、自己の利益ばかりを優先せずに他者の立場で考えるという発想だ。

 エコノミックアニマルという言葉は1960年代後半から70年代にかけて、日本人が利己的に振る舞い、経済的利益ばかりに血道を上げることを示す言葉として流行した。

 保坂さんは「当時でも他者の利益を考え、その上で自らの利益を上げるという姿勢はまだ残っていた。金が金を生むバブル経済の崩壊を経て『他者性』は失われました」という。

 核拡散防止条約(NPT)未加盟のまま核実験を強行してきたインドとの原発輸出の交渉は、損得勘定では済まない恐れがある。この問題の調査を続けてきた岐阜女子大南アジア研究センターの福永正明・客員教授は「原発事故だけでなく、軍事転用やテロの危険性をはらんでいます」と、警鐘を鳴らす。

 インドは核保有国だが、核実験の強行で30年以上も国際社会から原子力関連貿易や技術移転の制限を受けている。原発は老朽化し、ウラン燃料も不足する。福永さんは「原発は核兵器に欠かせないプルトニウムを生む。インドに原発を売ることは核兵器開発の促進につながる」と語る。

 日本は民主党の菅直人政権の10年6月、原子力協定の締結に向けた交渉を開始した。だが、「インドが再び核実験を行った際には協力を停止する」という日本側の示した条件にインド側が反発し交渉は中断。その姿勢からは「核」の軍事利用へのこだわりが垣間見える。

 インドと敵対してきたパキスタンでは中国が原発建設を支援する。インドへの原発輸出は地域の緊張感を高めることにも一役買う。だが、大型連休中に麻生太郎副総理兼財務相はインドを訪問し、シン首相と会談。今月27日にはシン首相の訪日が予定されており、交渉の再開に向け協議するとみられている。

 倫理を捨てた“修羅”の事例はまだある。安倍内閣は、航空自衛隊の次期主力戦闘機F35の部品の対米輸出を、武器輸出三原則の「例外」とした。F35が米国からイスラエルに供与されれば、「紛争当事国に武器を輸出しない」とした三原則は崩れる。

 「通常の商品輸出、システム輸出と同じように原発の輸出を位置付けてしまう安易な政治。それが地球的な危機を招いてしまうんですね」。原発への警鐘を鳴らし続けてきた経済評論家の内橋克人さんは、そう語った。輸出先の国を、原発事故とは異なる危機をはらんだ社会にしてしまうという指摘だ。

 「例えば、日本が原発を輸出しようとしている中東諸国は絶対君主制の国が多い。それらの国では王族周辺に利益が集中しやすい。原発輸出は彼らの蓄財に手を貸すことで、裏を返せば市民社会の成熟、民主化にブレーキを掛ける。これに日本が加担してしまうことになるのです」。つまり、原発の輸出は社会的な不安定要素を輸出することにもなるという。

 日本の原子炉の初の輸出先は台湾だった。台北市から東に約40キロに建設中の台湾電力第4原発で、原子炉は日立製作所と東芝、タービンは三菱重工業が受注。当初は04年稼働を目指したが、工事は進捗(しんちょく)率95%で中断している。

 例として挙げるのが、日本国内だけで独自の進化をしたといわれる携帯電話。生産者側の価値観で作られ、利用者が使わない、使いこなせない機能がたくさんある。「付加価値をつけることで単価を上げ、利益を得てきた」と指摘する。

 トルコとは、総事業費が2兆円超のシノップ原発建設の優先交渉権で合意した。輸出する側には大きな利益だが、福島原発では、最近も汚染水漏れや停電による冷却システムの停止が起きている。相手に「原発は有益」と胸を張って言い切れるのか。保坂さんは「もしも原発事故があった場合に、他者(相手国)に対して製造者としての責任を果たせるのか。そういう視点を持っているのでしょうか」と疑問を投げかける。

 00年の台湾初の政権交代で、民進党政権は工事凍結を打ち出した。建設続行か凍結かを巡って、発足したばかりの内閣が瓦解(がかい)するなど政治は混乱。その後も与野党対立の大きな軸となってきた。現在、建設の是非を巡る住民投票実施案が審議されている。台湾で日本の原子炉が生み出したエネルギーは、今のところ政治の摩擦熱だけだ。

 「デフレからの脱却」という安倍政権の掛け声のもと、円安・株高が進行し、企業ばかりでなく、庶民も沸いている。経済にプラスなら、核保有国に原発を売り、武器輸出禁止の原則も捨て去るのであれば、それはエコノミックアニマル(動物)を飛び越え、ビースト(野獣)だろう。少なくとも、政府が掲げる対外戦略のうたい文句「クール・ジャパン」(かっこいい日本)にはとてもみえない。

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成長戦略に「原発活用」、再稼働の推進明記 原発依存社会を継続 安倍政権素案

朝日新聞 朝刊(2013年05月31日)
http://www.asahi.com/shimen/articles/TKY201305300683.html?ref=pcviewpage

 安倍政権が6月にまとめる成長戦略の素案に「原発の活用」を盛り込み、原発再稼働に向けて「政府一丸となって最大限取り組む」と約束することがわかった。東京電力福島第一原発事故を受けて脱原発を求める声は根強いが、安倍政権の経済政策「アベノミクス」で目指す経済成長には原発が欠かせないという姿勢を鮮明にする。

 素案は、成長戦略をまとめる産業競争力会議で5日に示され、12日までに正式に決めたうえで、14日にも政府方針として閣議決定する。成長戦略に「原発の活用」が入れば、中長期にわたって原発に頼る経済・社会を続けることになる。

 朝日新聞は「成長戦略(素案)」を入手した。エネルギー政策では、成長を担う企業が活動しやすくするため、原発事故後の電力不足を解消したり、火力発電につかう燃料費がかさんで値上がりする電気料金を抑えたりする必要があると指摘している。

 そのために必要な政策として「電力システム改革の断行」「高効率の火力発電の導入」などとともに「原子力発電の活用」を盛り込んだ。具体的には、原子力規制委員会が安全と判断した原発は「判断を尊重し、再稼働を進める」としたうえで、地元の理解や協力を得るために「政府一丸となって取り組む」と明記し、原発再稼働を積極的に進める方針を打ち出す。

 安倍晋三首相は、民主党政権が打ち出した「2030年代に原発ゼロを目指す」という方針を「ゼロベースで見直す」と表明している。ただ、原発への依存は「できる限り低減させる」として、10年以内に中長期的なエネルギー政策をまとめることにしていた。

 しかし、電力業界や産業界から原発再稼働を求める声が強まったのを受け、原発の活用に前のめりになった。5月には早期の再稼働を求める自民党の議員連盟ができた。首相も15日の参院予算委員会で「(再稼働を)できるだけ早く実現していきたい」と表明している。

 産業競争力会議でも産業界などから「原発を早く再稼働し、国策として一定比率を持つべきだ」(民間議員の榊原定征・東レ会長)との意見が相次いだ。竹中平蔵・慶応大教授ら一部議員から慎重論も出たが、政権は成長戦略に原発活用を組み込んだ。(藤田知也)

 ■原発事故後のエネルギー政策の変化

 <2011年>

 3月 東日本大震災・東京電力福島第一原発事故

 <2012年>

 5月 国内の全原発が停止

 7月 関西電力大飯原発3、4号機が再稼働
    東京電力が実質国有化

 8月 政府の討論型世論調査で「2030年に原発ゼロ」支持が半数近くを占め、最多に

 9月 野田政権が「30年代に原発ゼロを目指す」とする革新的エネルギー・環境戦略をまとめる

11月 自民党が選挙公約に「原発再稼働は原子力規制委員会の安全審査を前提に3年以内に判断」と明記

12月 安倍政権発足

<2013年>

 1月 安倍首相が「『30年代に原発ゼロ』方針をゼロベースで見直す」と表明

 5月 安倍首相が再稼働について「できるだけ早く実現していきたい」と答弁 		 	   		  


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