[CML 023208] 細田案が浮き彫りにする「政党間1票格差」(社民党支持者の1票の価値は、公明党支持者の1票の0.45票分)の違憲性

OHTA, Mitsumasa otasa at nifty.com
2013年 3月 17日 (日) 21:07:33 JST


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細田案が浮き彫りにする「政党間1票格差」(社民党支持者の1票の価値は、公明党支持者の1票の0.45票分)の違憲性
http://kaze.fm/wordpress/?p=449

【目次】

(1) そもそも、定数を削減する必要性がない
(2) 何とか優遇枠(「中小政党枠」「現制度の比例区=政党優遇枠」)は違憲
(3) 比例区で「中小政党優遇枠」を設けても、自民に対する「超優遇」ぶりは改善されない
(4) 読売と産経が細田案につられ、「政党間1票格差」の問題を指摘
(5) なぜ全国票で議席配分数を決定しないのか

自民党の細田博之選挙制度改革問題統括本部長が中小政党に配慮するとして、通常の比例区の定数とは別に、「中小政党配慮枠」を設ける衆議院比例区選挙制度案を提案している。

細田議員事務所に案の詳細を何度も聞いたが、事情を分かる方と話せず、14日と15日の報道によれば、3月12日に書いた批評の前提が間違っていた。お詫びして、今回の記事に差し替えたい。

細田案の「中小政党配慮枠」は「少数政党切り捨て」「中規模政党優遇」で、2012衆院選より格差を拡大(3月12日)
http://kaze.fm/wordpress/?p=446

比例30減、中小に優遇枠60=自民が改革案了承−衆院選挙制度
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2013031400061
<衆院選挙制度改革>野党、自民案を一斉批判
http://mainichi.jp/select/news/m20130315k0000m010109000c.html

細田案は、以下のようになる。

1)現行定数の180から30を削減して150とし、現行の11ブロックを8ブロックに再編する。
2)全党枠定数90と中小政党枠定数60を別々に人口比例(10年度国勢調査に基づく)で8ブロックに割り当てる。
3)各ブロックごとに全党を対象に1回のドント式配分を行い、全党枠の当該ブロック分を全党に、中小政党枠の当該ブロック分を得票率第2位以下に配分する。
4)当該ブロックで得票数の低い政党が得票数の高い政党の議席数を超えないよう配分する。


(1)そもそも、定数を削減する必要性がない

そもそも、3月1日に「平和への結集」をめざす市民の風が要望書で指摘したように、定数を削減する必要性がない。

「国民負担と引き替えの国会議員定数削減」「有権者の権利を縛るネット選挙法案」で各党議員に要望
http://kaze.fm/wordpress/?p=445

(2)何とか優遇枠(「中小政党枠」「現制度の比例区=政党優遇枠」)は違憲

さじ加減で、根拠なく60という中小政党枠を設け、選挙結果を誘導することは、投票意思の反映という選挙制度の本質と相容れない。

日本維新の会は中小政党枠について「違憲裁判を起こされる。話にならない」と反対し、民主党の岡田克也政治改革推進本部長も「憲法違反の可能性がある」と指摘している。

<衆院選挙制度改革>野党、自民案を一斉批判
http://mainichi.jp/select/news/m20130315k0000m010109000c.html
衆院選改革案:比例に中小政党枠60議席…自民了承
http://mainichi.jp/select/news/20130314k0000e010172000c.html

優遇枠を設けていることが違憲であると判断しているのなら、現在の小選挙区比例代表並立制で政党優遇枠に他ならない比例区を設けて無所属候補を差別していることも違憲になるはずである。選挙制度は無所属候補にも政党候補にも平等なものでなければならない。

比例代表制の要素をなくしたいわけではない。優遇枠としてではなく比例代表制を組み込むことは可能である。

中選挙区比例代表併用制を提案する
http://kaze.fm/wordpress/?p=164

(3)比例区で「中小政党優遇枠」を設けても、自民に対する「超優遇」ぶりは改善されない

細田案のシミュレーション結果を表3に示す。表1〜3の衆院選比例区のシミュレーションは、2012衆院選の結果( http://kaze.fm/wordpress/?p=435 )に基づいた。

確かに、自民党の議席占有率は2012衆院選、表1(全国1区の中小枠なしの細田案)、表2(中小枠なしの細田案)と比べて減少し、議席占有率が比例区得票率を下回るようになる。自民以外は維新を除いて、議席占有率が2012衆院選のときを上回る。

いくら読売や産経が中小政党に対する「優遇」ぶりを強調してみせても、2012衆院選で比例区得票率が27.62%、小選挙区得票率が43.01%しかなかった自民の全国議席占有率(比例区と小選挙区の合計)は2012衆院選で61.25%、細田案で60.00%だから、自民に対する「超優遇」ぶりはほとんど改善されない。

(4)読売と産経が細田案につられ、「政党間1票格差」の問題を指摘

読売と産経が細田案につられて、「政党間1票格差」を書いている。よくやってくれた。

中小政党配慮、「1票の価値」で問題視の声も
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20130315-OYT1T00244.htm
「『1票の価値』の平等の観点から憲法上の問題があるとの指摘」
衆院選改革案「選挙シミュレーション」 自・維・民、比例は拮抗
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130315-00000109-san-pol
産経新聞 3月15日
「同じ一票でも、第1党と第2党以下で投票価値が著しく異なることになり、投票価値の平等に反する制度だといえそうだ。」

一連の裁判では「選挙区間1票格差」(地域代表性格差)の問題が争われているが、1票価値の格差としては「政党間1票格差」の方が重大である。

1票の格差とは何か
http://kaze.fm/wordpress/?p=381

比例区における政党間1票格差の定義は、「1議席当たりの得票数」を各党ごとに求め、1番小さい政党の「1議席当たりの得票数」で割った値、となる。

政党間1票格差の最大は、2012衆院選で社民の4.87 倍(対自民)、細田案でも同党の2.20倍(対公明)となっている。一人一票実現国民会議の表現を使えば、社民党支持者の1票の価値は、公明党支持者の1票の0.45票分(細田案)しかない。

違憲の目安となる「選挙区間1票格差」は衆院で2倍とされる。現行の選挙制度でも細田案でも政党間1票格差が2倍を超えていることは、論理必然的に違憲である。

(5)なぜ全国票で議席配分数を決定しないのか

細田議員も比較大政党と中小政党の格差を縮減できると認めているからこそ、11ブロックを8ブロックにしている。表1に示すように、ブロック制を取りながらも政党への議席配分数を全国集計の票で決定すれば、政党間1票格差は1.23倍以下となる。

このような方式はドイツの小選挙区比例代表併用制などで採用されている。何も中小政党枠を設けて優遇する必要はない。なぜ細田議員はこの方式を採用しないのか。

中小政党に配慮するのでなく、全政党に配慮して、得票率と議席占有率を一致させる必要がある。同時に選挙制度は、政党と無所属候補にとっても平等でなければならない。

太田光征



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