[CML 023107] 細田案の「中小政党配慮枠」は「少数政党切り捨て」「中規模政党優遇」で、2012衆院選より格差を拡大

OHTA, Mitsumasa otasa at nifty.com
2013年 3月 13日 (水) 00:38:48 JST


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真面目に平等な国民主権と議会制民主主義の基盤を考えろ、有権者を選挙制度改革に参加させろ、という声を国会議員・政党にぶつけていきましょう。参院選までに一大争点にしたいと思いますので、転送・転載をよろしくお願いします。

細田案の「中小政党配慮枠」は「少数政党切り捨て」「中規模政党優遇」で、2012衆院選より格差を拡大
http://kaze.fm/wordpress/?p=446

[要旨]
 自民党の細田博之衆議院議員が中小政党に配慮するとして比例区に「中小政党配慮枠」を設ける案を提案していますが、2012衆院選ではそもそも中規模政党(維新・民主・公明・みんな)の議席占有率と比例区得票率はほぼ一致していて、維新・民主・公明に至っては既に自民と同様、議席占有率が比例区得票率を上回っています。
 「中小政党配慮枠」を設けることで、維新・民主・公明は議席占有率がさらに高くなる一方で、共産以下の少数政党は2012衆院選よりも、また同枠を設けない場合の細田案(現在よりも30少ない定数150、現在より3ブロック少ない8ブロック)よりも、議席占有率がさらに低くなります。
 「中小政党配慮枠」は確かに高すぎる自民の議席占有率を低くしますが、少数政党の本来の取り分を中規模政党に持っていく仕掛けに過ぎません。現在の小選挙区比例代表並立制の本質がさらにひどくなるだけです。


自民党の細田博之選挙制度改革問題統括本部長が中小政党に配慮するとして、通常の比例区の定数とは別に、「中小政党配慮枠」を設ける衆議院選挙制度案を提案している。これを公明党は容認するという。

公明、比例配慮枠「50」要求…自民案容認へ
http://www.yomiuri.co.jp/election/shugiin/news/20130309-OYT1T00262.htm?from=ylist

現在の衆議院比例区選挙では、定数180を11ブロックに割り当てている。細田案は、11ブロックを8ブロックにし、定数180から30を削減して150とし、そのうちの30議席を中小政党(得票率2位以下の政党)だけに割り当てるというもの。

まず、3月1日の要望書で指摘したように、定数を削減する必要性がそもそもない。

「国民負担と引き替えの国会議員定数削減」「有権者の権利を縛るネット選挙法案」で各党議員に要望
http://kaze.fm/wordpress/?p=445

細田議員も比較大政党と中小政党の格差を縮減できると認めているからこそ、11ブロックを8ブロックにしている。表1に示すように、ブロック制は取りながらも政党への議席配分数を全国集計の票で決定すれば、死票は最小化する。このような方式はドイツの小選挙区比例代表併用制などで採用されている。なぜ自民党はこの方式を採用しないのか。

表1〜4の衆院選比例区のシミュレーションは、2012衆院選の結果( http://kaze.fm/wordpress/?p=435 )に基づいている。

細田議員の原案の検討の前に、「中小政党配慮枠」を設けず、定数150を8ブロックに割り当てただけの場合はどうなるかを見てみる(表2)。

表2に示すように、表1と比べ、みんなの党・共産党・旧日本未来の党・社民党の6議席が他党に移る(みんなの党を境に、比例区得票率と議席占有率の乖離が明瞭となり、少数政党側に不利となる)。1票格差(「1議席当たりの得票数」を各党ごとに求め、1番小さい「1議席当たりの得票数」で割った値)の最大は旧未来の1.41倍となる。

定数が削減されているとはいえ、ブロック数、従って死票が減少するため、2012衆院選と比べ、全体的に比例区得票率と議席占有率の乖離が縮小しているが、社民は議席を獲得できなくなる。

細田議員の原案ではどうなるか(表3-1)。「中小政党配慮枠」定数30も8ブロックに割り当てて、各ブロックごとに議席を配分した。近畿ブロックでは日本維新の会が第1党なので、近畿ブロックだけは自民党にも「中小政党配慮枠」から議席を配分したが、その他のブロックでは自民を除く各党のみに議席を配分した。

表3-1に示すように、自民の比例区得票率と議席占有率がほぼ一致するようになるが、表2(定数150、8ブロック/「中小政党配慮枠」なし)で既に議席占有率が比例区得票率を上回っていた維新・民主・公明の議席がさらに増え、2012衆院選の議席占有率を上回るようになる一方で、共産・旧未来・社民・大地は議席が減り、2012衆院選の議席占有率を下回ってしまう。

これでは少数政党に配分されるべき議席を中規模政党に移すだけだから、「中小政党配慮枠」は設けない方がいい。定数120も定数30もブロックに割り当てるには少な過ぎるため、現在のブロック式比例代表制の弊害を拡大しているに過ぎない。最大の1票格差は表2(定数150、8ブロック/「中小政党配慮枠」なし)からさらに拡大し、共産の2.28倍となる。

上記読売記事によれば、公明は細田案に基づく試算で自党比例区の獲得議席数を22議席としているので、表3-1の結果と一致している。従って、細田案では「中小政党配慮枠」も8ブロックに割り当てているものと思われる。ただ、念のため、表3-2で「中小政党配慮枠」を全国1区とした場合も計算してみた。

表3-2では、2012衆院選と比べ、少数政党の格差がごくわずか改善されるものの、中規模政党が優遇され、2012衆院選の議席占有率と比例区得票率の乖離が小さかった状態が破れていることが分かる。最大の(政党間)1票格差は社民の4.17倍と極めて高く、2012衆院選のときの同党の4.87倍とほとんど変わらない。

裁判では「選挙区間1票格差」(地域代表性格差)の問題が争われている。なぜか参院と衆院で違憲の目安となる格差に違いが見られ、衆院ではそれが2倍とされる。1票価値の格差としては政党間1票格差の方が重大であり、現行の選挙制度でも細田案でも政党間1票格差が2倍を優に超えていることは、論理必然的に違憲である。

公明は先に、「中小政党配慮枠」を原案の30から50〜60に増やすことを要求していた(上記読売記事)。

通常の8ブロックに定数90、「中小政党配慮枠」に定数60を割り当てると、表4に示した通り、比例区得票率で自民より劣る維新が自民よりも多くの議席を獲得するようになる一方で、共産以下の少数政党の議席は表3-1(定数120、8ブロック/定数30、「中小政党配慮枠」)よりさらに少なくなる。最大の1票格差はさらに拡大し、共産の3.16倍となる。

細田案の「中小政党配慮枠」は要するに、「中小政党配慮」になっていない。「少数政党切り捨て」「中規模政党優遇」であり、2012衆院選よりさらに格差を拡大する。

中小政党に配慮するのでなく、全政党に配慮して、比例区得票率と議席占有率を一致させる必要がある。同時に選挙制度は、政党と無所属候補にとっても平等でなければならない。

太田光征


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