[CML 025107] 自衛隊広報、ソフト戦略 DVD・おまけ・ドラマ、全面協力 「防衛産業知って」
BARA
harumi-s at mars.dti.ne.jp
2013年 6月 25日 (火) 23:44:44 JST
新聞記事
朝日新聞 2013.6.25
自衛隊広報、ソフト戦略 DVD・おまけ・ドラマ、全面協力 「防衛産業知って」
http://digital.asahi.com/articles/TKY201306240759.html?ref=comkiji_redirect
戦車を特集したDVDなど、自衛隊の監修で生まれた商品が次々に登場し、売れている。
今年は、陸・海・空の各自衛隊がそれぞれ制作協力した映画やドラマも相次ぎ登場。
防衛省の積極的な広報戦略の背景に何があるのか。
「島国の日本に戦車はいらないなんて思ったりしてませんか? そんなことは決してありません!」
“女子高生”が熱く語りかける。DVD「よくわかる! 陸上自衛隊~陸の王者! 日本を守る戦車の
歴史~」の特典「『不肖・秋山優花里の戦車講座』出張版」だ。
主音声は男性のナレーションだが、副音声では女子高校生が戦車に乗って戦うアニメ「ガールズ&
パンツァー」のキャラクター、秋山優花里の解説が聴ける。
先月の発売1週間で1万5千枚以上が売れ、オリコンの週間ランキングで総合首位になった。
カルチャー・教養DVDが音楽や映画などを抑えて首位に立ったのは初めてという。制作した
リバプールは「アニメファンによる上積みは予想していたが、ここまでとは」。
陸上幕僚監部広報室長の大塚裕治1佐は「自信はありました」と胸を張る。
3世代の戦車を登場させ、制作に全面的に協力。
安倍晋三首相が4月にイベントで「10(ヒトマル)式」戦車に乗ったことも、注目度を上げた。
背景には、兵器のハイテク化→価格上昇→新規調達数の減少→現有兵器のメンテナンス費上昇→
さらなる調達数量の減少――という構造的な問題がある。
約1300社の国内企業がかかわり、1両約10億円とされる10式戦車は、国産技術の結晶だ。
兵器産業=死の商人というイメージを恐れ、戦後長らく防衛産業が自らアピールすることはなかった。
大塚1佐は「日本周辺の安全保障環境が厳しさを増す今こそ、自衛隊を支える防衛産業のことを国民に
もっと知ってほしい」と話す。
防衛産業側にも変化の兆しがある。
5月には、戦車の砲身をつくる日本製鋼所が工場の記者見学ツアーを受け入れた。
陸自が打診した200社のうち27社が取材に応じると表明しているという。
■復興活動経て信頼感
自衛隊を取り巻く状況も変化している。
東日本大震災での復興活動などもあり、ホームページへのアクセス数は5年前に比べて2倍近い。
中央調査社の信頼感調査では、自衛隊への信頼度は2000年3月の3(最高5)から昨年5月では
3・7に伸び、教師や国会議員を抑えてトップに。
後押しするように、様々な商品が生まれている。
模型を付録にする雑誌を発行するデアゴスティーニ・ジャパンは3月、「自衛隊モデル・コレクション」を
出版。
UCC上島珈琲は今月、缶コーヒーのおまけに戦車などの組み立てモデルをつける。
フィクションの世界でも存在感を増す。
この春は、航空幕僚監部広報室が舞台のドラマ「空飛ぶ広報室」に空自が協力した。
ある防衛省幹部は「まずは自衛隊の姿が国民の目に触れることが大事だ。
それが防衛への関心や、隊員の獲得のきっかけになる」という。
現実世界では、憲法改正と国防軍創設を目指す安倍政権の発足前後から、尖閣諸島や竹島、
ミサイル問題などを巡り、近隣の国々との間に緊張も生じている。
離島防衛の強化を急ぐ自衛隊は今月、米軍の水陸両用戦演習「ドーン・ブリッツ」に初参加。
別の防衛省幹部は、「周辺に分かりやすい脅威が目立ってきたので、自衛隊の『正義の味方』ぶりが
際だってきた」と話す。
(山本奈朱香、其山史晃)
■熟議なき流れ危惧
<纐纈厚・山口大副学長(政治学)の話>
自衛隊は尖閣や竹島問題で国民の間に自衛隊への期待が高まっているとみて、各種メディアとタイアップ
する形で広報活動を一段と強化している。
ただ、ソフトに市民に接近する一方で、高支持率の安倍政権が続く間に、憲法改正や国防軍創設など、
「これまで出来なかった宿題」を片付けたい、との気持ちも透けて見える。
熟議なしにこうした流れができ始めていることを危惧する。
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