[CML 025101] 【1-1】関西救援連絡センターニュース2013年6月号
松葉 祥一
mauricemerleau at yahoo.co.jp
2013年 6月 25日 (火) 13:32:22 JST
第309号 2013年6月
関西救援連絡センター
〒530‐0022大阪市北区浪花町11‐14
電 話 06-6372-0779
振替番号 00910-2-73915
発 行 隔月刊(原則として)
賛助会費 月 額 1口 500円
年間購読 送料共 1部 1,000円
■厳罰化と管理強化を目指す法改「正」が成立
□総背番号制法が成立
年金等の社会保障給付と納税を一つの個人番号で管理する「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」が五月二四日、成立した。
衆参内閣委員会での審議は、成立を前提として、セキュリティーに関してのみの議論であり、個人情報の国家管理への反対議論はなされていない。
二〇一五年十月に個人番号の通知が始まり、二〇一六年一月からはICチップを載せた顔写真付きの個人番号カードを市町村が希望者に配布するとされている。
二〇一七年一月には行政機関が
個人番号を使って個人情報をやりとりするシステムが稼働する。 今回は、個人番号の利用は社会保障や税など行政分野に限定され、医療など民間への番号使用拡大は、施行三年後の検討が明記された。
□道交法改「正」も成立
車の免許取得や更新の際、病気を虚偽申告したてんかんや統合失調症などの患者に対する罰則新設を柱とした道交法改正が六月七日成立した。
都道府県公安委員会が免許を取得、更新する人に病気に関して質問でき、虚偽の回答をすれば一年以下の懲役または三十万円以下の罰金を科す。また医師が患者の免許所持を知った場合、任意で公安委に届ける新制度も盛り込まれた。
特定の病気の影響で死亡事故を起こした人の処罰を「十五年以下の懲役」に強化する「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律案」も上程されている。
□「刑の一部執行猶予」
六月五日に参議院本会議で可決、衆議院法務委員会ではたった四時間の審議で可決され、十三日に衆議院本会議で可決、成立した。
再犯防止が謳われているが、受け皿も整備されないまま、法律だけが作られようとしている。初犯で短期刑の人と薬物事犯の人が対象である。
刑の一部執行猶予制度を新設する前に、逮捕や起訴への異議申立ての制度すらない日本の刑罰体系や、実刑判決の必要性こそを問い直す必要がある。
□「精神保健法の一部改正」
保護者の制度の廃止により、家族の賠償義務は解消されたが、家族以外の要請による強制入院が可能となった(六月十三日成立)。
□その他問題の多い法律
「カンパ禁止法(公衆等脅迫目的の犯罪行為のための資金の提供等の処罰に関する法律)」や五月二九日に上程された「児童ポルノの単純所持の罰則化」も、成立すれば警察の権限拡大は必至である。
五月二一日に発表された自衛隊のサイバー防衛隊創設や通信記録保存の義務付を含む「サイバーセキュリティ戦略」も、テロ対策を口実にした治安強化に他ならない。
大阪府警による規制/妨害に抗議する
在特会等のヘイトデモなどに対してカウンターを呼びかけてきた『友だち守る団』は、「団の存在や呼びかけを行うことが在特会らに抗議する行動の枷になってはいないかという憂慮も生まれてきた」として、「よりフレキシブルで多様なスタイルの構築」を目指して、五月二五日、解散した。
『友だち守る団』に対する大阪府警の妨害は当初から続いていた。
解散宣言によれば、「『トラブル防止』『騒音』『挑発行為』という口実を盾にしてカウンター側をやみくもに狭い場所へと追いやる」「許可場所を離れての行動を認めないばかりか、横断幕・プラカードさえ『在特会への挑発行為』としてチェックされ、拡声器も使用させない」「機動隊の壁を作ってカウンター行動の存在を差別デモやヘイト街宣から隔離する」、「道路使用許可申請は、カウンター側には在特会から近い場所では認めないのに、在特会等には認める」という状態が続いていた。
また今年二月には、公安三課が在特会らの被害届をおぜん立てして、出頭要請、家宅捜索などを行うという事態まで起きている。
■谷垣法務大臣は死刑の執行を停止せよ!!
谷垣法務大臣は、二月二一日の死刑執行から二ヶ月後の四月二六日、再び死刑を執行した。これは、自民党政権下の鳩山法務大臣時代の執行ペースに戻ったといえる。今後二ヶ月毎に死刑執行が行われるのではないかと危惧されている。
執行されたのは、「市原ファミレス二人射殺」事件(二〇〇五年四月二五日)被告の元組長と組員だった二人である。
▼宮城吉英氏(東京拘置所)
二〇〇五年五月二五日に逮捕され、千葉地裁(金谷暁)で二〇〇五年十二月十二日に死刑、二〇〇六年十月五日の東京高裁(池田修)判決は控訴棄却、二〇〇九年六月十五日、最高裁(今井功)が上告を棄却し、死刑が確定。
▼浜崎勝次氏(東京拘置所)
二〇〇七年三月八日に逮捕。千葉地裁での死刑判決(古田浩)は二〇〇七年十月二六日、二〇〇八年九月二六日東京高裁判決(安広文夫)、 最高裁(横田尤孝)での上告棄却は一昨年二〇一一年十二月十二日であり、確定後一年四ヶ月しか経っていない。
谷垣法務大臣は執行後の記者会見で、宮城・浜崎両氏を執行した理由や執行間隔に対して、「個別の執行をどういうふうにしたか、答えは差し控えたい。間隔に特段の理由はない」「死刑制度の存置にはさまざまな議論があるが、必要なものとして、国民の皆さんの多くの認知を得ている。裁判所が結論を出し、改めて法相が執行の結論を出す。だから(死刑囚の記録を)一つ一つていねいに検討すると言うに尽きる」と述べた。
今回は、前回の死刑執行時と比較すると、執行された人の判明は遅く、法務大臣の記者会見終了後の記事も少なかったように感じられる。
昨年、「暴力団による不当な行為の防止等に関する法律(暴対法)」が改悪され、「暴力団員に人権はない」という治安対策の流れの中で、今回の執行は行われた。元暴力団員の死刑確定者なら、死刑確定後一年四ヶ月しかたっていなくても、世間も騒がないとの思惑もあったのではないか。
現在、確定死刑囚は一三四人となった。
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