Re: [CML 025069] Re: 同感。 Re: ヘイト・クライム禁止法に対して疑問Re: 「ヘイト・クライム禁止法
石垣敏夫
motoei at jcom.home.ne.jp
2013年 6月 24日 (月) 17:14:31 JST
みなさん
「表現の自由は権力に対する、民衆の抵抗として
勝ち取った権利である。
弱者を抑圧する表現の自由などない。 (宮本有紀2013.3.12週刊金曜日より)
石垣敏夫
禁止法に対して疑問Re: 「ヘイト・クライム禁止法
前田 朗です。
6月23日
ご意見ありがとうございます。
ここにはいくつかの論点が混在しています。とりあえず、主なものを3つ。
第1に、国家権力、とりわけ警察権力の権限拡大について。
――近代民主主義の下における刑法の基本原理は、補充性の原理とも呼ばれ、刑法
には断片性、謙抑性が求められます。過剰な国家介入を許さず、市民の自由の領
域を確保するという考えです。欧州諸国はほとんどすべてこの考えを採用してい
ます。そして、基本的な刑法典の中にヘイト・クライム、ヘイト・スピーチ処罰
規定を盛り込んでいます。やはり近代民主主義の原理である差別の禁止、非差別、
法の下の平等、人格権を重視するからです。その下で、警察権力の不当な行使が
行われることは、どこの国でもあるかもしれません。それを批判するのが、市民
自治、市民による監視、ジャーナリズム、弁護士の任務です。
第2に、ヘイト・クライム、ヘイト・スピーチ規制法が、マイノリティに対する
弾圧に逆用されないか。
――これはヘイト・クライムをどのような犯罪として構成するかにかかわります。
ヘイト・クライムは、単に「AがBに人種的動機で犯罪を行うこと」を意味する
のではありません。社会に存在する構造的差別の下でマイノリティに対して行わ
れる差別と暴力です。この認識がなければ、逆転現象が起きます。アメリカの社
会学者の中には、「白人に対するヘイト・クライム」があると主張する人もいま
すが、多数の社会学者はこれを否定していると思います。仮に、黒人が白人に対
して「白人を殺せ」と叫びながら暴力を振るえば、暴行罪や傷害罪が成立します
が、それはヘイト・クライムではないと考えられています。ヘイト・クライムの
規定様式をどのようにするのかによりますが、欧州諸国の刑法を見ると、条文の
文言にはマイノリティと書かれていませんが、実際の適用事例を見れば、明らか
にマイノリティに対する犯罪と理解されています。ネット上で、ある弁護士が、
沖縄で「米軍は出ていけ」と叫んだらヘイト・クライムで逮捕される、と頓珍漢
なことを書いていました。ヘイト・クライムというものをまったく理解していな
いためです。
第3に、諸外国はともかく、日本の警察は、意図的に逆転現象をつくりだすので
はないか、日本人と朝鮮人が衝突した事案では、朝鮮人を逮捕するのではないか。
――その恐れはあります。しかし、それはヘイト・クライム法の問題ではありませ
ん。暴行罪でも、傷害罪でも、名誉毀損罪でも、およそいかなる犯罪規定であっ
ても同じことが起きます。なぜなら、日本の警察は一貫して朝鮮人や中国人に対
して差別的な法運用をしてきたからです。それをチェックするのは、市民の監視
です。そのためにヘイト・クライム法が必要です。これまで日本政府は朝鮮人差
別政策を推進し、警察は朝鮮人を弾圧し、有名憲法学者は「表現の自由だから差
別発言を禁止できない」とヘイト・クライムにお墨付きを与えてきました。憲法
13条の個人の尊重、人格権や、憲法14条の法の下の平等を度外視して、憲法
21条の表現の自由だけを唱えてきました。差別を容認し、放置してきたのです。
こうした現状を改めるためにヘイト・クライム法が必要です。そして、それが世
界の常識だと、私は主張しています。
----- Original Message -----
>
> 森永和彦さんの指摘に同感です。
>
> もし、「ヘイト・クライム禁止法」が成立したら・・・?
> いつの集会だったか忘れましたが前田朗さん自身が、
> 「場合によっては、外国人が日本人に向かって『この日本人め!』と言ったら
咎められるかもかも?」
> と危惧していました。その危惧が現実のものになるのではないでしょうか。
>
> アメリカやイスラエルに抗議するデモ・集会で感情的な発言が出れば、
> それが「ヘイト・クライム」だとして摘発されるのではないでしょうか。
> 政治弾圧の口実に使われてしまうのではないでしょうか。
>
> 「ヘイトスピーチは許せない」という世論(と、言うほどのものか疑問ですが)
を受け入れるようなポーズを取りつつ、
> 言論統制の手段にしてしまうのではないでしょうか。それが政府の常套手段で
はないでしょうか。
> 人権を無視している日本政府・捜査機関が、人権を守るために運用するわけが
ありません。
>
> いま必要なことは、国家権力の増大に歯止めをかけ、
> 冤罪や政治弾圧が起きない社会を目指すことだと思います。
> 政府・捜査機関に、さらなる権限(弾圧の手段)を与えるべきではないと思い
ます。
>
>
>
>
>
> --- On Wed, 2013/6/19, partickthistle at goo.jp <partickthistle at goo.jp>
wrote:
>
>
>
> 前田教授が、ヘイトクライム犯罪化の主張をされていますが、私はこれに同意
できません。
> 在特会へのカウンターを逮捕するような国家権力が、こんな法律をまともに運
用するわけがないではありませんか。
> たとえば反ヤスクニを主張したら「宗教を理由に憎悪を扇動した」とか、そう
いう結果になることは目に見えています。
> 部落解放同盟が「人権擁護法」を推進する誤りに陥っているのと同様です。
> 差別・憎悪扇動に対しては、ブルジョア国家権力に頼るのではなく、労働者人
民の実力で対抗していくべきです。
>
> 森永和彦
>
> 2013/06/18 (Tue) 17:47, "Maeda Akira" <maeda at zokei.ac.jp> wrote:
> > 前田 朗です。
> >
> > 6月18日
> >
> > 「ヘイト・クライム禁止法(27)」をブログにアップしました。
> >
> > http://maeda-akira.blogspot.jp/2013/06/blog-post_18.html
>
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