[CML 024906] 「原発反対に日の丸は必要なのか?」論争―― 崔勝久さん(「原発体制を問うキリスト者ネットワーク」(CNFE)共同代表)の野間易通氏(首都圏脱原発連合)批判

higashimoto takashi higashimoto.takashi at khaki.plala.or.jp
2013年 6月 14日 (金) 19:13:47 JST


「外国人への差別を許すな・川崎連絡会議」の朴鐘碩さんと「首都圏脱原発連合」の野間易通さんとの間で市民運動における
「日の丸」の使用の可否の問題について論争らしきもの(実のところは野間易通さんの片方的なツイッター発言)があったこと
はすでに立川の岩下さんとBARAさんのそれぞれのブログにおいて紹介されていますが(注1、注2)、その野間さんのツイッタ
ー上の発言に関して「オクロス」ブログ主宰者の崔勝久さんが改めて正式な反論を試みています。見るべき論だと思いますの
でご紹介させていただこうと思います。私の思想と論理の立ち位置は崔勝久さんの論の側にあります。

注1:「『国民運動としての反原発運動』に、”まともな批判”を試みる」(Gさんの政経問答ブログ 2013年6月6日)
http://yo3only.cocolog-nifty.com/blog/2013/06/post-cff8.html
注2:「反原発運動で使われる『国民』は日本人を意味するのでしょうか?朴鐘碩さん/OCHLOSから(追記あり)」(薔薇、また
は陽だまりの猫 2013年5月25日)
http://blog.goo.ne.jp/harumi-s_2005/e/a2d6261b605d2d26cfa55ac618187430

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■原発反対に日の丸は必要なのか?(OCHLOS(オクロス) 2013年6月14日)
http://www.oklos-che.com/2013/06/blog-post_14.html

「Gさんの政経問答ブログ」の著者へ
「Gさんの政経問答ブログーー経済・政治・軍事が一体化した、グローバル支配の体制を揺さぶる言葉の振動」
http://yo3only.cocolog-nifty.com/blog/2013/06/post-cff8.html

興味深いブログに出会いました。反原発運動に日の丸を掲げることの問題点を指摘した日立の朴鐘碩に野間何がしがかみ
ついているのですが、その野間何がしを批判したGさんの「「国民運動としての反原発運動」に、”まともな批判”を試みる」という
文書です。以下、Gさんのブログに私が書き込んだものを手直してここに発表します。崔 勝久

友人の紹介で、「国民運動としての反原発運動」に、”まともな批判”を試みる」を読みました。朴鐘碩を批判した野間なにがし
を批判されてますね。野間何がしの朴批判はツィターでよく見る、単細胞で感情的な国粋主義者とは違って、それは十分に議
論のきっかけになるものだと思いました。

なにせGさんが指摘されているように、野間何がしは、「反原発運動における『国民』への言及について批判や疑問は常に提
起されているけど、まともな批判はついぞ見たことがない。ほとんどが『国民』という言葉へのアレルギーを表明したものに過
ぎない」と語り、「まともな」「国民」批判論争を待ち望んでいるかのようです。

私はGさんの野間何がし批判に概ね、賛成します。野間なにがしの本を読んでいないので、彼の理論、思想はわかりません。
しかしここでGさんが引用されている彼の言い分からすると、植民地主義とは何か、グローバリズムとは何か、そこにおける国
家の役割は何かについての根本的な理解、認識に欠けていると思います。国民国家として存在する日本とはそもそも何か、
国籍とは何か、市民とは何かという批判的な考察をしようとせず、日本という国にはいろんな人が住んでいるにもかかわらず、
日本人のものだということを前提にしているように感じます。

そのようなせいぜい教科書に出てくる(そもそも教科書とは何なんなんでしょうか)認識レベルの国民、国家観でしか語れず、
朴が原発反対に日の丸を掲げる違和感、問題点の指摘に「まともに」受けとめたうえでの批判ではありません。しかも朴が
リタイア後の日立現役非正規社員の立場から日立の会長・社長へ原発から手を引くようにと書いた要望書の重さ、その内容
には一切、触れていません。よっぽど日の丸のことに触れられるのが嫌なのでしょうか。反原発を訴える在日との連帯という
ことは言えなかったのでしょうか?

私の主張は、野間何がしの主張とは根本的に違います。結論的に言うと、原発体制は植民地主義であり、それは国家と資
本が作り出したグローバリズムだということです。従って、野間何がしが「再稼働反対」を反原発運動のスローガンに掲げて
も、「原発輸出反対」を同列にしなかったというのは、原発体制はグローバリズムであり植民地主義であるという本質を見抜
いていないということになります。

植民地主義を進め原発輸出によってその地の人への加害者になろうとする日本のシンボルの日の丸を掲げることは、明ら
かに原発体制を根底的に批判していくことと矛盾します。一国平和主義の枠を批判的に超えずして、グローバルな原発体制
と闘うことはできません。そしてこの一国平和主義こそ、戦後日本の平和運動、そしてそれを批判してきた新左翼も超えられ
ない枠であったのです。原発反対運動も同じ過ちを犯すのでしょうか。

おそらくGさんも私と同じ世代の人だと思います。Gさんは小熊英二も記している新左翼に対す華青闘(華僑青年闘争委員会)
の告発と、それに対する新左翼各党派の自己批判、そしてその後40年経った現実をどのように考えておられるのでしょうか。

日本の戦前の植民地主義は清算されておらず、戦後はそれをひきづったまま戦後の経済復興とともに原発体制を作り上げ
ていきました。在日への差別(野間何がしは「当然の法理」が何か知っているのでしょうか。これは知識の問題ではなく、「当
然の法理」によって外国人が差別されている実態を知っているのかどうかの現実認識の問題です)、民族学校への弾圧、原
発輸出は戦後の新たな、植民地なき植民地主義の実態を示しています。反原発運動は本質的に植民地主義と対峙するもの
であり、反核・反戦・反差別を謳うものです。

そこでは国民国家の象徴とも言うべき日の丸を掲げた運動はあってはならないのです。野間なにがしは、植民地主義とは何
かということを、植民地主義による抑圧、搾取された人達の立場から考えたことがあるのでしょうか。「在特会」と対峙するとき、
自分自身の価値観の中にその植民地主義の、原発体制を推し進めてきた価値観が巣食っていると考えたことがあるのでしょ
うか。植民地主義との闘いは、外在的なものに終わらず、ただ「原発ムラ」への反発に終わらず、内在的なものであり、自らの
解放のためであるということを自覚しているのでしょうか。

Gさんもそうだと思うのですが、野間なにがしだけでなく、一刻も早く、首都圏反原連及び6月2日に分裂行動をした反原発を
掲げるふたつの団体も、すべて原発の「再稼働・輸出反対」と両方を大きくスローガンとして掲げることを願います。「再稼働反
対」だけの反原発運動はこれまでと同様、一国平和主義の運動の枠に留まることになるでしょう。

私の植民地主義批判の内容は、6月7日の仏大統領来日に反対する院内集会で話した内容を参考にしてください。
http://www.ustream.tv/recorded/33963405

同じく原発輸出と日の丸を批判した官邸前でのデモの発言もあります。
http://www.ustream.tv/recorded/33966067

野間何がしは、「国民国家とは植民地主義を再生産する装置」と看破した西川長夫をしっかりと読むべきですね。

参考までに私のブログで書いたものを紹介します。
2013年6月10日月曜日
先週は画期的な一週間でした。Twitterで綴ります。
http://www.oklos-che.com/2013/06/twitter.html


以下、参考資料:「朴鐘碩の「反原発運動で使われる「国民」は日本人を意味するのでしょうか?-朴鐘碩」
http://www.oklos-che.com/2013/05/blog-post_25.html に噛みついた人物はなんと、反原連、レイシストしばき隊のリーダと
言われている人物だったとは! まずは彼のツィター発言より。

 http://twilog.org/kdxn/date-130525
野間易通@kdxn

● むしろここではっきりと「国民」を名指ししなければ、いつまでたっても日本人は原発政策の責任を自分のものとして捉え
ることはできないだろう。ここで安易に「国籍を超え」てはならない。

●国民主権の民主主義国家が政策として行ったことに主権者の「国民」が責任を負うのは当たり前で、それを問うたからと
いって外国籍の住人を反原発運動から排除することを意味しないし、「国民」という言葉を使わなければ国籍を超えたこと
になるわけでもない。

●反原発運動における「国民」への言及について批判や疑問は常に提起されているけど、まともな批判はついぞ見たこと
がない。ほとんどが「国民」という言葉へのアレルギーを表明したものにすぎない。

●日本国家を批判するために描かれた日章旗にまで「疑問」を持つのは、日の丸というシンボルに対する逆方向からのフ
ェティシズムにほかならないと思う。

●こういう論理も何もないいちゃもんはそろそろやめにしてほしい。
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東本高志@大分
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http://mizukith.blog91.fc2.com/ 



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