[CML 024875] インドへの原発輸出/グリーンピース・インド サミット アイチさん
BARA
harumi-s at mars.dti.ne.jp
2013年 6月 13日 (木) 10:13:55 JST
新聞コラム
朝日新聞6月6日朝刊
私の視点 インドへの原発輸出 市民に反対、福島収束が先 サミット・アイチ
(グリーンピース・インド事務局長)
http://digital.asahi.com/articles/TKY201306050641.html?ref=comkiji_redirect
我が国インドのシン首相と日本の安倍晋三首相が5月29日、日印原子力協定の
早期締結に向けての交渉加速を盛り込んだ声明に署名した。
この交渉は、東京電力福島第一原発事故を受けて中断していたものだ。
しかし、原発事故は収束しておらず、発生当時と事態は変わっていない。
インドの電力不足には解決策が他にもあるが、原発から出る放射性廃棄物については
解決策がない。
グリーンピース・インドは一貫して原発に反対しており、日印原子力協定の交渉再開自体、
到底受け入れることができない。
今、安倍首相に伝えたいことが三つある。
一つめは、インド民衆は誰もが原発を望んでいるわけではない。
福島事故の後、インドでも市民による原発反対運動は拡大している。
しかし、国際人権NGOのアムネスティ・インターナショナルも強く非難しているように、
反対運動に対する政府の弾圧がある。
2012年9月には、南インドでクダンクラム原発建設に反対する民衆に警察が発砲し、
漁師が亡くなっている。
二つめは、インドには原子炉メーカーなどのサプライヤーにも事故責任を問える原子力
損害賠償法(原賠法)があることだ。
およそ四半世紀前に起きた二つの悲劇――ボパール化学工場有毒ガス漏出事故と
チェルノブイリ原発事故からインドは学び、世界共通であるはずの「汚染者負担の原則」に
のっとり、2010年に原賠法に製造者責任を取り入れた。
原子炉メーカーにとっては安全性向上への動機ともなる。
日本の法律では、原発事故の際、電力会社だけが責任を負うことになっているが、
福島事故から学び、このような原賠法に見直しをしてはいかがだろうか。
安倍首相は5月13日の国会で、原発輸出に関して「事故の教訓を共有し、世界に貢献」と
語った。
しかし、一刻も早い事故の収束と原因究明こそが最も求められている世界貢献ではない
だろうか。
放射能は国境を越え、今でも福島原発から放出・拡散され続けている。これが三つめだ。
最後に、日本の市民のみなさんにも一言お伝えしたい。
日本の原発事故被災者への賠償が進んでいないと聞く。
いま日本政府が全力をあげるべきなのは、インドなど新興国へ原発を無責任に売り込む
ことではなく、福島事故の収束と自国の被災者の速やかな救済ではないのか。
そのために日本の市民社会に立ち上がってもらいたい。
事故の責任を全うさせること、それは、日本が原発輸出をやめることにもつながるはずだ。
(Samit Aich 国際環境NGOグリーンピース・インド事務局長)
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