[CML 024845] ねつ造されたシリアの宗派間戦争
Yasuaki Matsumoto
y_matsu29 at ybb.ne.jp
2013年 6月 11日 (火) 21:20:20 JST
みなさまへ (BCCにて)松元
シリアの「宗派間戦争」について、社会活動家のシェーマス・ クック氏の声
を、拙訳ですが紹介させていただきます。カルタルッチ紹介後の続報です。
※【訳者注】著者の引用文は【 】で括っています。また、rebelは、日本では通
常、「反政府勢力」 「反政府軍」あるいは「反体制派」などと訳されています
が、実態に即して 「反乱軍」としています。
*Syria’s Fake Sectarian War***
*ねつ造されたシリアの宗派間戦争***
シェーマス・クック(松元保昭訳)
出典:Intifada Palestine:08 Jun 2013 12:29 AM PDT
http://feedproxy.google.com/~r/intifadapalestine/yTiY/~3/Wmmcbf5pG9Y/?utm_source=feedburner&utm_medium=email
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シ リアとさらに広範な中東の運命は、両刃の剣の上に立っている。西側メディ
アは、中東を血の海にしかねないスンニー派とシーア派のイスラム 教徒同士の
宗派間 戦争が差し迫っているというたちの悪い警告を発している。このような
戦争は、地政学的な理由からねつ造されている完全に人工的な見せかけ のもの
である。 もっとも影響力のあるスンニー派であるサウジアラビアおよびカター
ル―双方とも米国の同盟国―が近ごろシリア政府とヒズボラに対するジ ハードを
要求したと き、彼らのあからさまな意図は、地域におけるイランの重要な同盟
国の破壊によってサウジアラビアおよび最も親密な同盟国である米国の外交 政
策を後押しする ことにあった。多数派であるシリアのスンニー派ムスリムが同
国人シーア派とシリア政府を突然攻撃し始めるだろうか?まさか。NATOに
よって収集されたシ リア内外の人道的活動家のデータ資料は次のことを示唆し
ている:
【「シリア人の70パーセントはアサド体制を支持している。他の20パーセントは
中立と考えられ、残り10パーセントが反乱軍を支持すると表明 した。」】
アサド支持の70パーセントは、大部分がスンニー派である。このデータは、シリ
アで起こっている ことについて休みなく集中砲火を放っている西側メディアの
偏向報道に明らかに反している。カタールによって昨年収集された前の世論調査
は ほぼ同じ結果で あったし、また西側メディアによっても同様に無視されてきた。
上の記事は、精通しているデータ・ ソースを引用した:
【「ス ンニー派はアサドを好きではない。しかしコミュニティの大多数は反乱
から撤退している。残っているのは、カタールとサウジアラビアがスポ ンサー
になっている外国人戦闘員だけである。彼らはスンニー派に、アサドよりはるか
に悪いと見られている。」】
シリアのスンニー派は、41人の礼拝者および84名の他の負傷者に加えてシリア・
スン ニー派の最長老聖職者を殺害したスンニー派モスクのテロ爆撃のように、
民族浄化という戦争犯罪の詳細な一覧を含む外国人過激派の行動に、 おそらく
反感を抱いている。
最近のサウジおよびカタールのスン ニー派指導者によるジハードの要求は、お
そらく反乱軍に対して大きな勝利を収めているシリア政府への反応であろう。反
乱軍は現在、主には コミュニティの援助という彼らの基盤を完全に失ったため
にひどい負け戦を喫している。
現 在、衰えている反乱軍の奮闘を梃入れするために緊急の行動をとっている別
の重要な反乱軍援助者がいる。例えば、米国が反乱軍側とさらに関 わりを深く
するた め、米国の政治家ジョン・マケインが反乱軍―後にテロリストと確認され
ている―に会うためにシリアを旅しているあいだ、アルカイダ指導者 はシリア政
府に対 する反乱軍援助のためにスンニー派にごく最近の嘆願をした。
その間、欧州連合が、さらにもっと多 くの武器が反乱軍に集中されるようシリ
アへの武器禁輸措置の引き下げで一致する一方、ニューヨークタイムズは、
CIAがシリア内部へのす でに大規模な武器取引計画を強化したことを確認した。
さ らにその上、イスラエルが占領したゴラン高原国境付近でシリア政府を攻撃
させることによって、反乱軍がシリア・イスラエル間の絶望的な戦 争を起こさ
せよう としている一方で、フランスは、―国連代表はまさに事実は正反対である
と提案したのだが―シリア政府が反乱軍に対して化学兵器を使用した 証拠を現在
もって いると語っている。
ま た、カタールおよびサウジアラビアのジハードを支持する宗教指導者たち
は、彼らの最近の反ヒズボラの公式宣言で巨大な賭けをしているとい う関係も
ある。ま た、その支えを宗教指導者に大いに依存し、すでにそれ自身ぐらつい
ている体制のうえに政治的な不安定をさらに誘発するリスクもある。
ヒズボラはまだ、2006年のイスラエルの軍事的敗北ゆえにイスラム世界のいたる
ところ で崇敬されてい る。また大部分のイスラム教徒は、イスラム教徒多数派
のシリアにジハードを揺り動かすことにはおそらく無関心であろう。また、シリ
ア政府 とヒズボラを攻撃 することは、大部分のジハード戦士にとって理想的な
立場とはいえないイスラエルおよび米国との同盟を意味するだろう。
シリアの火薬庫が大規模な地域戦争の 引力の中に容易にロシアおよびアメリカ
合衆国と共に周囲の中東諸国を引きずり込むことは、非常にありうることだ。
もしオバマ大統領が、反乱軍に対する 米国の援助を拒否し、地域の米国同盟諸
国にも同様に要求するなら、シリア紛争は非常に早く終結するにちがいない。オ
バマは、シリアの状況 を現実として認めるべきであり、自分の国を破壊された
くないシリアの人々の願望を尊重すべきである。
そうではなく、米国は反乱軍をさらに武装させることさえ検討している。米国上
院議員ジョン・マケイン は、もしイランを 弱体化させるなら過激派のシリア
乗っ取りを大目に見るだろうと語ったとき、シリアにかんする非公式の米国政府
の政策が明らかにされた。こ の点で過激派のシ リア乗っ取りは、多数国家の乱
痴気騒ぎ(オルギー)と暴力の只中にその地域を巻き込み爆発炎上させるあい
だ、さらに数百万人の難民と何万 人もの命の犠牲を 伴うだろう。
メ ディアは、見え透いた政治的な意図を知らないふりしてこのようなジェノサ
イド(大量殺戮)をイスラム教の宗派間暴力のせいにするだろう。 望むらく
は、トル コの社会運動が西側にコントロールされた反シリア同盟からトルコ政
府を引き離すことであり、同時に他の中東諸国にも同じ様にする権限を与 える
ことだろう。
(以上、松元保昭訳)
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