[CML 024775] ATTAC京都ブログより:【開催報告】「脱成長」は危機を救済できるのか? ドイツの社会運動内の論争から学ぶ
uchitomi makoto
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2013年 6月 7日 (金) 20:55:09 JST
ATTAC京都ブログより:【開催報告】「脱成長」は危機を救済できるのか? ドイツの社会運動内の論争から学ぶ
http://kyotoblog.attac.jp/2013/06/blog-post.html
先にお知らせしたとおり、ATTACドイツのマティアス・シュメルツァーさんをお迎えし「”脱成長”は危機を救済できるのか? ドイツの社会運動内の論争から学ぶ」を開催いたしました。
「脱成長」という、親しみやすいとは言い難い議論であるにもかかわらず。20名以上の方にお集まりいただき、質疑応答も活発に行われました。
シュメルツァーさんの講演は、昨今日本でも注目を集めているセルジュ・ラトゥーシュの「脱成長」論を批判的に継承し、南北間の公正やジェンダー問題などの要素を加味していくべきだ、という趣旨のものでした。
シュメルツァーさんによれば、国民一人あたりのGDPがあるラインを越えると、GDPと教授する福利に相関は見られなくなる、と多くの厚生経済学者は考え始めているという点から、「成長」概念の限界が見え始める、というものです。従って「脱成長」はこの一定ラインのGDPを越えた先進国の議論であり、第三世界においてはまだまだ「成長」の必要性は否定できない、とされました。
その上で、環境上の条件、特に気候変動の問題が「成長」の上限を規定するため、我々は「成長なしに生活レベルを維持すること」を真剣に考慮しなければいけません。もちろんここで問題なのは種々の資源の利用であり、単純に額面上のGDPが延びるかどうかというのは問題ではありません。ただ、環境負荷を減らさずにGDPを成長させていくのは難しいのではないか、ということは言えるでしょう。
そういった意味では、「脱成長」という言葉そのものが強すぎる主張であるという問題も含んでいます(それゆえに、キャッチフレーズ的に濫用されてしまうということにも、シュメルツァーさんは批判的であるようです)。シュメルツァーさんとしては、Agrowth (無神論 Atheism や アセクシュアル Asexual と同じ接頭辞の A。無成長とでも訳すべきであろうか)ぐらいの言葉がいいのではないか、との意見でした。ドイツ語では「ポスト成長」のような意味合いの言葉を使うとのことです。
いずれにせよ、賛否両論を含めて、脱成長論議は高い関心を得ており、今後もこういった機会を通じてみなさまと考えて行ければと思っています。
投稿者 Sho Kasuga
ATTAC京都ブログより:【開催報告】「脱成長」は危機を救済できるのか? ドイツの社会運動内の論争から学ぶ
http://kyotoblog.attac.jp/2013/06/blog-post.html
ATTACドイツ交流・討論会「『脱成長』は危機を救済できるのか?ドイツの社会運動内の論争から学ぶ」
https://www.facebook.com/events/512474478807604/
当日は23名の参加者でした。現代ドイツ政治の専門家である大阪大学の木戸衛一さん(ブックレット『ドイツ左翼党の挑戦』の著者)やATTAC京都の古参メンバーやさまざまな方が参加されて、世界の社会運動の最先端の課題について議論いたしました。
脱成長論そのものについてはATTAC京都の例会でこれまでにも何回も議論してきましたので「脱成長論」そのものについてのシュメルツァーさんの議論はまったく同感できることばかりでしたが、私個人としては独仏の脱成長論の違いやドイツの社会運動や政党政治(緑の党や左翼党やドイツ左翼・左派)の中での「脱成長」をめぐる議論やスタンスなど純粋ドイツ的な情勢について大変勉強になりました。またATTACドイツとATTACフランスの違いや当たり前のことですがATTACドイツ・フランス、ドイツ緑の党や左翼党の内部にもさまざまな意見や議論があることなど社会運動における複数主義・多元主義(プルーラリズム)的なあり方を学ぶことが出来ました。社会運動に従事していると議論や主張を明快にしわかりやすくするためにあえて議論を単純化し一面化してしまいがちなものですが(図式化すると最もわかりやすい)、複雑な現実に対してそれを多様な側面から評価し議論する大切さを学んだ交流・討論会でした。
それにしても本当は重要ではあるのですがこんなマイナーなテーマの学習会にほとんどチラシもまかず実質的に前日にインターネットで呼びかけたにもかかわらず23名もの方が参加されたことに感謝です(きょうと緑の党は130名の党員がおりますが、当日は選挙の会議を行っていて中心メンバーは参加できずゴメンなさい)!
今後とも京都の地で「脱成長」についての議論と運動を深化できればと思っております。
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