[CML 024693] 伊藤律スパイ説修正 内部文書発掘で判明(東京新聞 森本智之記者)~「遅れた追悼 ――伊藤律(日本の被占領期の日本共産党政治局員)について(私の「覚え書き」)」附記

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2013年 6月 3日 (月) 19:35:59 JST


以下、「遅れた追悼 ――伊藤律(日本の被占領期の日本共産党政治局員)について(私の「覚え書き」)」(注)の附記として
記しておきます。

この東京新聞の記事(2013年5月28日)を筆写しながらふつふつとした怒りが込み上げてくるのを押さえることができません
でした。誰に対してか? 人は人を売ってまで生き延びようとする。ここにその実例がある。そうした人の生は生という名に
値するのか? 善人も悪人もない。人として存在すること自体への悲しみ。人というものの罪深さに対する怒り。一個の、一
瞬の、おのれの誤解にすぎないことが人をとりかえしようもなくを死にまで追いつめることもある。そうしたことどもへの怒り。
しかし、形而上的な怒りとは言いたくない。「世間虚仮唯仏是真」とも言いたくない。あくまでも現実として起こっていることへ
の怒り。人として誤りは避けがたい。錯誤も避けがたい。であるならば、私どもにできうることは「過ちては則ち改むるに憚る
こと勿れ」(論語・学而第一)ということに尽きるのであろうか。理としてはそのとおりでしょうが、なにかしら悲しさとやるせな
さだけが遺ります。
注:http://mizukith.blog91.fc2.com/blog-entry-580.html

■伊藤律スパイ説修正 内部文書発掘で判明(東京新聞 夕刊 2013年5月28日)
http://members.jcom.home.ne.jp/katote/TokyoRitsu.jpg

小見出し:捜査関係者ら→ねつ造断言
ネタもと→GHQスパイ

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昭和史に残る国際スパイ事件のゾルゲ事件。その摘発の端緒は、共産党元幹部の伊藤律の密告だった―――。伊藤の
生誕百年に当たる今年、通説とされてきたこの「伊藤律スパイ説」が事実上、覆された。伊藤を「革命を売る男」と指摘し
た松本清張の「日本の黒い霧」に発行元の文芸春秋が異例の断り書きを入れることになったからだ。この通説はどう突
き崩されたか。 (森本智之)

「ようやくここまで来たかという思い。『労働者生活四十五年』の自分にしてはよくやったかな」。渡部富哉さん(八三)は話
す。元共産党員。戦後しばらくして党から離れたが、旋盤工として働き、労働運動に携わってきた。一九八五年二月、共
通の知人の葬式で、偶然、伊藤と知り合い親交を深めることになった。

中国での二十七年の投獄で、目も耳も不自由な伊藤は、筆談で「スパイをしていない」と言う。しかし、頼るべき伊藤の家
族は共産党に籍があり、沈黙を守らざるをえない。渡部さんは一人、突き動かされるように調査を始めた。

発掘した最も重要な資料は、生き残っていた特高捜査員の証言だ。和歌山市に生存していた捜査員の所在を突き止め、
伊藤が供述する前から特高がゾルゲスパイ団のメンバーの監視を始めていたことを明らかにした。

また、捜査指揮に当たった検察幹部らの座談会発言録も探し当てた。この中で、戦後、検事総長となる井本台吉は「伊
藤律なんかほとんど関係ないよ。あれを伊藤が全部ばらしたようにしちゃったんだね」と述べている。

こうした調査結果を九三年、「偽りの烙印」にまとめた。だがこれにとどまらず「事件の奥深さに引き込まれるようにさら
にのめり込んだ」。ゾルゲの本国である旧ソ連など海外の研究者らとも交流を始め、国際シンポジウムを二年おきに開
催するなどして資料の発掘を進めたのだ。

そこで新たに分かったのが、捜査を指揮した特高の係長がまだ事件の進行していた当時、内部研修会で発表した内容
だ。係長は「事件の検挙全体が伊藤の口一つから出たかというと絶対にそうではない」と断言。さらに「伊藤はこちらの
内偵線(スパイ)によって分かっている問題については一言も言わない」などと述べ、別の特高側スパイにより、事件の
情報を得ていたことを暴露していた。この係長は戦後、伊藤スパイ説を証言した張本人だった。

そもそもスパイ説のきっかけは、米国が四九年、発表した「ゾルゲ事件の真相」という報告書。共産党も伊藤を除名処
分とし、その後、ゾルゲ事件で死刑となった日本人協力者尾崎発実(ほつみ)の異母弟で評論家の秀樹(ほつき)が「生
きているユダ」を執筆。清張もこれに続き、通説として広まった。

一橋大の加藤哲郎名誉教授(六六)が発掘した米公文書は秀樹の"ネタもと瓩、金で雇われたGHQ(連合国軍総司
令部)のスパイだったことを明らかにした。この人物は秀樹の元同志でゾルゲ事件の生き残りとして秀樹に情報提供し
たが、加藤氏は、「GHQから月二万円で雇われ、伊藤律を『革命を売る男』に仕立て上げた」と指摘する。

一連の調査について、映画「スパイ・ゾルゲ」を監督した篠田正浩さん(八二)は「驚くべき内容で九割方書き上げてい
た脚本を一から書き直したほど」と振り返る。研究者の間では、既にスパイ説は大きく揺らいでいたが、今回、文芸春
秋に訂正を申し立てたのは遺族が共産党から退いたことによる。律は「いずれ真実が明らかになる」と言い残して亡く
なった。次男の淳さん(六六)は「一番の理解者の母も十年前に八十三歳で亡くなった。これから父の生涯を本にまと
めたい」と話した。渡部さんは「律は、中国で投獄されたのは『野坂参三の謀略』と話していた。今度は野坂の闇を解
明したい」と話した。
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東本高志@大分
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