[CML 024663] 安倍「教育再生」の道徳教科化-その問題点
Okumura Etuo
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2013年 6月 2日 (日) 12:41:01 JST
愛媛の奥村です。
内海さん、いつも、情報ありがとうございます。
重複される方、すみません。
BCCでお送りします。
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みなさんへ
安倍政権が推し進める
公教育における道徳の教科化は、
フランス革命(1789)が起源といわれる近代公教育諸原則、
つまり、国家権力からの公教育の独立性の担保である
1、選択教化的徳育(訓育)排除の原則
に明白に反します。
なお、公教育の諸原則は、
すべての市民に開かれたかつ公費によって維持される公教育
と上記の1と下記の4点の国家権力からの公教育の独立の担保だといわれます。
2、宗教的・思想的・政治的中立性の原則、
3、知育(真理教育)中心原則、
4、知育における教育権(知育の内容・方法の決定権)の独立(自由)の原則
5、私教育の自由の原則(私教育における知育の自由・宗教等の選択教化的徳育の自
由、私人の私立学校設立の自由・私立学校選択の自由
とりわけ、
明治にはじまる日本の公教育は、
国家によって完全に支配され、
その教育内容も、教育勅語にもとづく徳育(修身)が中心であり、
学校は、その教育勅語にもとづく修身を中心とした教育によって、
帝国臣民としての自覚としての忠君愛国の精神を植え付け、
天皇のために命を捧げる「軍国少年・少女」を育成する場と化し、
国民をあの忌まわしい侵略戦争に動員するうえで決定的な役割を果たしました
という歴史性がありますので、
極めて重要な課題であると思います。
この、選択教化的徳育(訓育)排除の原則は、
近代国民国家の普遍的原理・原則の
公権力の価値的中立と対をなす極めて重要な原則だと思います。
宗教学者の 村上重良氏は、
『国家神道』(岩波新書)のなかで、
「教育勅語が国民にたいしてふるった絶大な強制力は、
天皇の現人神としての宗教的権威に淵源していた。
そこに掲げられた国体の教義と実践倫理の規範は、
神聖不可侵で批判を許さない政治上の三権の所有者である天皇の名において、
国民にあたえられた。国体の教義を不動のものとして成文化した教育勅語が、
大日本国の国教である国家神道の経典としての機能を担った」(138頁)と述べてい
ます。
つまり、大日本帝国は、権力の行使を拘束・制限し、権力の行使を憲法により、
政治権力の構成と限界を定めて、適正化を図ることで、
人権を保障するいわゆる近代立憲主義国家の原理・原則である価値的中立を担保した
国家ではなく、
教育勅語に示される「国体の教義」という
特定のイデオロギー・価値観を国是とする天皇制軍国主義国家でした。
公教育も同様に、近代公教育諸原則が前記のように採用されていません。
戦後の日本の教育は、
このような国家と教育の関係を解放・改革することが、
戦後教育の命題であったといえると思います。
このことを考えると、
安倍政権が進める「徳育教育強化」は、戦前のその状況への回帰であり、
近代公教育諸原則に真っ向から反します。
杉原泰雄著
「憲法と公教育 -「教育権の独立」を求めて」
勁草書房がこの点に関する参考になりました。
この点に関する資料などの情報をお願いします。
安倍政権の「教育再生」は、憲法改悪の地ならし
「教育再生」の要の「新教育制度システム」の本質
について、下記に掲載しました。
時間がありましたら、読んでみてください。
http://kyoukasyosaiban.web.fc2.com/sub6/2013/saisei.html
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なお、下記は、
教育家などからなるアメリカ対日教育使節団が派遣され、日本側相談相手の日本教育
家委員会が発足(1946.2.7)、これを母体に教育刷新委員会(以下「教刷委」)が設
置され、その第9回、12回建議の抜粋で、
極めてラジカルな内容になっています。
「道徳」教科化を考える参考になるだろうと思います。
中央教育委員会設置の建議(第9回、1947.12.27)
「教育を民主化し且広く国民文化の向上を図るため中央教育委員会を設置すると共
に、新たに文化省(仮称)を設け学校教育、社会教育、体育、学術、芸能、宗教その
他文化に関する一切の事項を管掌し、現在の文部省はこれに統合すること。」(抜
粋)
中央教育行政機構の建議(第12回、1948.2.7)
「日本国憲法において民主的で文化的な日本国を建設することを内外に宣言したので
あって、これがためには左記事項を根本方針として新たに学芸省(仮称)を設置し、
これに伴い文部省を廃止することが必要である。
(二)学芸省は、所管行政については、できうる限り民意を尊重して、国民の創意と
活動に期待し、いやしくも科学、技術、芸術、教育その他文化の実体に干渉を加える
ことがあってはならない。
学芸省の権限
(二)学芸省は、所管行政については、さきに本委員会で決議したところに従い、そ
の基本的事項については、中央教育委員会(仮称)の審議を経ることとする。
(三)学芸省は、思想、良心、宗教、言論、出版等の精神活動の自由に関する基本的
人権の保障に、不断の関心を払い、科学、技術、芸術、教育その他文化の実体に干渉
してはならない。」(抜粋)
神田・寺崎・平原著「史料 教育法」 学陽書房 より
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Subject: [kyoukasyo-trial:3605] 教科書関連情報5.31-1
安倍「教育再生」の中身の一ついじめ問題を利用して
道徳の教科化についての動きの朝日新聞の5月29日付け記事を
添付いたします。
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