[CML 024640] 五野井郁夫氏(高千穂大学准教授)の無知とファシズムや社会排外主義を容認する「危険」な論について自覚的でありたい~Re: 明朝、NHK「おはよう日本」ヘイト・スピーチ問題の見込み
higashimoto takashi
higashimoto.takashi at khaki.plala.or.jp
2013年 6月 1日 (土) 13:38:25 JST
前田さん wrote:
> ともあれ、NHKがはじめて、「人種差別禁止法の制定を」、「規制することこそ
> 表現の自由」という主張を流してくれたのは良かったです。
「NHKがはじめて、『人種差別禁止法の制定を』、『規制することこそ表現の自由』という主張を流し」たのはたしかに一歩前進だ
とは私も思いますが、そのNHKのはじめてのヘイト・スピーチ関連ニュースに最近マスメディアの寵児になっている感のあるただ
「若手」(1979年生)の政治学研究者というだけがとりえ(と私には思われる)の五野井郁夫氏(高千穂大学准教授)を登場させ
たのは見識のある行為とは思えません(もともとNHK総体に「見識」など期待していませんが)。
すでに本MLにもこの「若手」の政治学者、五野井郁夫氏批判を含む記事を2本ご紹介しているのですが、同批判が主題の記事
ではありませんでしたので、あるいは見落とされているのかもしれません。
改めて五野井郁夫氏(高千穂大学准教授)批判を主題にして再掲しておきます。
1本目。広原盛明さん(元京都府立大学学長)の五野井郁夫氏批判。
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(引用者注:広原盛明さんの五野井郁夫氏批評↓)
「(「嘉田新党」の持ち上げについては)毎日の方はもっと肩に力が入っていた。『特集ワイド:「嘉田新党」を考える』(12
月3日)を組んで3人の識者を写真入りで登壇させ、嘉田新党の参戦で総選挙の構図はどう変わるか、イタリアの「オリ
ーブの木」のように既成政党に対抗することは可能なのかを特集する大判のインタビュー記事を掲載した。そのうちの
ひとり、ある若手政治学者(引用者注:五野井郁夫高千穂大准教授)の発言が当時の雰囲気(マスメディアの意図)を
典型的にあらわしているので以下に紹介しよう。
(引用者注:広原盛明さんが批判的に引用している五野井郁夫氏の論↓)
『「真の第三極」が現れたと言えるだろう。「真の」とは、脱原発を求める国民の声に寄り添い、将来のビジョ
ンを打ち出しているという意味だ。対照的に、日本維新の会は「偽りの第三極」の様相が露呈しつつある。
「偽り」とは、確固たるビジョンを持たないこと。世間受けする政策を掲げてはすげ替え、保守票も脱原発票
も欲しがっている印象だ。石原慎太郎代表の考えと党の公約が一致しているかも疑問だ」
『「未来」が発表した「びわこ宣言」は「経済性だけで原子力政策を推進することは、国家としての品格を失い、
地球倫理上も許されない」と述べている。非常にわかりやすく、国民の切なる願いに応えようという姿勢を感
じる。官邸前や経団連前などで脱原発デモが続いている。「未来」はこのような動きと連動し、選挙後は原発
政策の決定過程に大きく影響するポジションを得る可能性がある。これまで投票率の低かった若い世代が
「未来」に関心を示せば、イタリアの「オリーブの木」のように政党連合への躍進もありうる』
『確かに、自民を除く他の政党も、脱原発を打ち出してはいる。しかし民主はマニフェスト破りの過去があり、
政権与党として脱原発への踏み込んだ具体的プロセスを提示できていない。社民、共産に投票しても実効
性があるのか疑問に思う有権者も少なくない。「シングルイシューで政党が成り立つのか」という批判が出て
いるが、原発以外の基本政策も、消費増税の凍結、雇用の拡大、TPP交渉入り反対など明快だ。エネルギ
ー問題は国の最重要課題なので、そこで一致する政治家が集まるのは野合ではない』
(「新「オリーブの木」、あるいは「緑茶会」の提唱について ――広原盛明さんの「嘉田新党(日本未来の党)はなぜ失
墜したか~「極右第3極」の台頭、「保守補完第3極」の消滅~」という論攷に学ぶ」(弊ブログ 2013.04.26)参照)
http://mizukith.blog91.fc2.com/blog-date-20130426.html
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2本目。金光翔さん(岩波書店社員。元「世界」編集部員)の五野井郁夫氏批判。
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■西谷修・五野井郁夫「デモは政治を開けるか」 (金光翔 私にも話させて 2013-02-21)
http://watashinim.exblog.jp/17869195/
『世界』臨時増刊号を拾い読みしていたら、五野井郁夫という人の以下の発言に遭遇して驚いた。
「近年のデモの参加者は無理をせず、行ける時に参加しています。また、官邸前の弁護団がよい例ですが、「接見弁
護があるから今日は行けません」とか「30分だけ行けます」とかいうのもあります。ここが気にくわないから出て行く、
だけれども戻って来られるという、やわらかな共同体。
実際、いいことか悪いことかすぐに判断はできませんが、鬱憤晴らしで極右のデモにも行くけど、反貧困の
デモにもコアメンバーとして参加するという人が出てきています。どちらも現代社会の犠牲者ではあるわけ
で、アイデンティティのクラスターが一つだけではなくなっていることは確かです。希望的観測ですが、そうな
ると世界の見方も複数性を持ってくるから変わるのかなと思います。」(西谷修・五野井郁夫「デモは政治を
開けるか」『世界』臨時増刊、第841号、2013年2月)
この発言は、この人物のいろいろな点を曝け出している。
・日本の極右が特定の人々や歴史的事実を排撃していることへの無関心・容認
・「現代の犠牲者」だと規定することで、その行為の責任性を問わない点に見られる、同情したふりをしながらの若者
への蔑視感情
・「反貧困」と「極右」を対立的にしか捉えられない無知。ファシズムや社会排外主義の問題性に関する認識の欠落
・極右デモへの参加も「世界の見方も複数性を持ってくる」可能性の一つとして肯定的に捉える破廉恥さ。(運動の幅
を広げるためには右翼の参加も許容しなければ、というよくある弁明ではなく(それ自体も問題であるが)、極右デモ
への参加がポジティブなものとして捉えられているところに、この五野井の<新しさ>がある)
・主張それ自体としては極右デモへの参加を肯定しているにもかかわらず、「いいことか悪いことかすぐに判断はでき
ませんが」「希望的観測ですが」などと自己弁明する小心さとセコさ(前回記事で書いた、川崎市長のようである)
私が指摘した<佐藤優現象>とは、「佐藤が右派メディアで主張する排外主義を、リベラル・左派が容認・黙認するこ
とで成り立つ」ものであるが(「<佐藤優現象>批判」)、五野井の発言は『世界』のそうした傾向が何ら変わっていな
いどころか、排外主義への加担を肯定する発言が掲載されているという点で、より進化していることを示していると言
えよう。
(「あらたな『民主党応援歌』としての『世界』別冊2013年3月号について ――革新内部の『右傾化』のひとつの実例
として読む」(弊ブログ 2013.02.22)参照)
http://mizukith.blog91.fc2.com/blog-entry-528.html
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広原盛明さんは上記で紹介した論攷で五野井郁夫氏(高千穂大学准教授)について「マスメディアに迎合するだけの若手政治
学者やその他の識者は、もっと勉強して主体性を確立してほしい」とも批判しています。五野井氏が主張する論の危険性につ
いて私たちはマスメディアの評価に惑わされることなくもっと自覚的であるべきでしょう。
東本高志@大分
higashimoto.takashi at khaki.plala.or.jp
http://mizukith.blog91.fc2.com/
From: Maeda Akira
Sent: Friday, May 31, 2013 11:18 AM
To: muboubi at peace.cside.to ; all-rentai at yahoogroups.jp ; 市民のML ; 人種差別撤廃NGO ; HANK ; P-8 ; seek for the new people's media ; VAWW-NET Japan ; WAM
Subject: [CML 024623] Re: 明朝、NHK「おはよう日本」ヘイト・スピーチ問題の見込み
前田 朗です。
5月31日
> 明日5月31日、NHKの朝の番組「おはよう日本」で、7時ころにヘイト・
> スピーチ 問題が取り上げられる見込 みです。NHKがこの問題を取り上げる
> のは初めてということです。さて、どういう番組になるか。
>
今朝、放映されました。
新大久保のヘイト・デモの様子を紹介し、五野井郁夫さん(高千穂大学)の、こ
ういう発言を許しておく社会ではいけないという趣旨の発言。ヘイト・ デモに
反対する署名運動の金展克さんの紹介。「ウオールストリート・ジャーナル」な
ど国際社会からの批判。最後に、「人種差別禁止法の制定を」、 「民主主義と
人格権が重要ならば、ヘイト・スピーチを許さないのが表現の自由の本来の意
味」という私の発言を紹介。
私の発言は唐突で意味不明です(苦笑)。
少し補足説明します。
日本憲法学の圧倒的多数説は、次のように主張しています。--表現の自由は、
民主主義と人格権を根拠としている、重要な権利であり、他の権利より も優越
的地位にある。それゆえ、表現の自由を守るために、たとえヘイト・スピーチで
あっても処罰はできない。
これに対して、私は次のように主張しています。--「朝鮮人をぶっ殺せ」と叫
ぶのは、民主主義と関係ない。むしろ、民主主義の否定につながる。人 格権に
反する。民主主義と人格権だから表現の自由が大切であるというのならば、ヘイ
ト・スピーチを処罰することこそ表現の自由の本来の意味であ る。欧州では、
表現の自由を口実にユダヤ人迫害を煽った歴史的経験をもとに、ヘイト・スピー
チを禁止している。
このような発言の一部が、上記のように放映されました。
ともあれ、NHKがはじめて、「人種差別禁止法の制定を」、「規制することこ
そ表現の自由」という主張を流してくれたのは良かったです。
> 今日は参議院で有田芳生議員がヘイト・スピーチについて質問したそうです。
> これまで の質問・発言よりも立ち いった内容のようです。
>
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