[CML 025640] オバマ政権 報道スクープに圧力 情報源を次々訴追

BARA harumi-s at mars.dti.ne.jp
2013年 7月 29日 (月) 20:23:41 JST


新聞記事
朝日新聞・WEB
2013.7.29

米、スクープに圧力 オバマ政権、情報源を次々訴追 技術発達、容易に特定
http://digital.asahi.com/articles/TKY201307280361.html?ref=pcviewer

オバマ政権下で、報道機関の情報源がスパイ防止法違反などの疑いで訴追
される事例が相次いでいる。
電話など通信の記録が政府によって収集されていたことも明るみに出て、米国の
記者たちの間では今、政府に知られることなく内部告発者と連絡を取り合うには
どうすればいいのか、真剣な議論が交わされている。
情報の流れはグローバル化しており、日本にとっても対岸の出来事ではない。

 米連邦捜査局(FBI)が目をつけたのは、2009年6月11日に出た北朝鮮の
核実験に関する秘密報告を報じた記事だった。
フォックスニュースの国務省詰め記者が執筆した。

 FBIの捜査によると、その秘密報告に接したのは100人弱で、そのうち、報道
当日に記者と接触したのは、翌年に起訴された国務省職員1人だけだった。

 FBIは、国務省の電話や職員の端末記録を調べ上げた。
記事が出た日の午前、職員の電話から記者の机上に何度か電話がかかった。
その電話がつながっていたころ、職員はコンピューター上で秘密報告を見ていた。
同省ビルの出入り管理の記録によれば、昼の0時2分、職員は国務省から外出し、
記者も1分後に外出した。
職員は0時26分に国務省ビルに戻り、記者は4分後に戻った。
職員は、ヤフーに個人的なメールアドレスを持ち、お互いに偽名で記者と電子
メールを交換していたという。

 FBIは記者を共犯者とし、10年に記者のメールをグーグルから押収する
ための令状を裁判所に請求し、認められた。
その事実が今年5月に発覚して多くの記者らに衝撃を与えた。

 オバマ大統領が就任するまで、こうした情報源の訴追は、ベトナム戦争に
関する国防総省秘密報告書の漏洩(1971年)など3件しかなかったとされる。
ところが、オバマ政権の4年間では6件に上る。

 さらにこの6月、米国家安全保障局(NSA)が業務委託する会社のエドワード・
スノーデン元社員に逮捕状が出ている。
スノーデン氏が内部告発したのは、NSAが電話やインターネットの利用に関する
個人の記録を大規模に集めていた問題だ。
5月には、AP通信の電話21回線の通話記録が司法省に押収されていたことも
明るみに出た。

 ■記者に危機感、対抗策探る

 先月、米テキサス州サンアントニオで開かれた調査報道記者・編集者協会
(IRE)の大会。
千数百人の報道関係者が参加したが、多くの講義の中でも「スパイのテク
ニック」の会場には100人以上が詰めかけて超満員だった。

 アリゾナ州立大学でジャーナリズムを教えるスティーブ・ドイグ教授は、記者
たちに、プリペイド携帯2台を買うことを勧めた。
「一つを情報源に渡し、必要なときはその携帯だけで連絡を取り合う。
その後、それを捨てる」

 教授の指南によれば、勤務先のメールアドレスはもちろん使ってはならない。
ヤフーやグーグルに使い捨てのアドレスを作り、取材源と連絡を取り合う
目的だけに短期間限定で使う。
やりとりするメールでは決してお互いの名前や所属に触れない。
電子データは小さなSDカードに記憶させて、それを受け渡しする。
身体検査がありそうならコンドームに入れてのみ込む。

 ワシントン・ポスト紙の編集トップを長年務めたレナード・ダウニー氏は
「オバマ政権が情報漏洩に対して仕掛けている戦争は、私が見る限り、
ニクソン政権以降のどの政権よりも攻撃的だ」とIRE大会で強調した。
ニクソン大統領は、記者や政府高官の電話の盗聴を捜査当局に命じ、
別の盗聴未遂事件で辞任に追い込まれたことで知られる。

 かつての捜査当局は、記者を召喚して証言を求め、証言を拒否すれば
刑務所に送るという姿勢で情報源を明かさせようとした。
ところがオバマ政権下での訴追例も含め、最近は技術の発達で、記者が
供述しなくとも、捜査機関は情報源を直接探り出すことができる。
ベテラン政治記者のデービッド・コーン氏は「記者の情報源を探し出す手段は、
昔よりもはるかに幅広く、技術的に簡単になった」と大会参加者に警戒を
呼びかけた。

 (編集委員・奥山俊宏、堀内京子)


 ■捜査指針を修正、対立は収まらず

 「報道の自由への侵害」という批判の高まりを受け、オバマ大統領は5月、
記者がからむ事件の捜査について検証を行うよう米司法省に指示した。
同省は7月に報告書を公表。「取材活動のみを理由として記者が起訴される
ことはない」との原則を改めて確認した。

 捜査のガイドラインも修正する。
取材資料を押収する際は原則として、事前に報道機関に知らせ、裁判所への
異議申し立ての機会を報道機関に与える。
さらに、エリック・ホルダー司法長官はメディア保護法の制定を議会に呼びかけた。

 ただ、報告書の公表後にもニューヨーク・タイムズ記者を情報漏洩事件の
法廷に召喚する決定が出て、同紙が反発。
対立は収まりそうもない。

 ■野放しの状態

 <ジャーナリストの堤未果さんの話> 
2001年の同時多発テロ後、ブッシュ政権下で「愛国者法」が制定されて以降、
当局による国民の監視は野放しになっている。
日本でも、秘密保全法案を秋の臨時国会に提出することが検討されている。
市民が情報を手に入れたり、記者が取材したりすることが、今と同じではなく
なるおそれがある。


 ◆キーワード

 <アメリカのジャーナリズムと内部告発> 
内部告発者の秘密情報をめぐって報道機関と政府が対立した事例は過去にもある。
大統領を辞任に追い込んだウォーターゲート事件(1972年)の報道、ベトナム
戦争の終結を早めたともいわれる国防総省秘密報告書の報道(71年)、
NSAによる令状なしの通信傍受に関する報道(2005年)などが有名。
権力監視の役割を果たした例として、日本など各国のジャーナリズムにも影響を
与えてきた。


 ■オバマ政権下で取材源が訴追された時期と、事件の容疑・概要

09年12月 FBI契約翻訳者が在米イスラエル大使館盗聴の記録をブロガーに漏洩 


10年 4月 元NSA幹部がシステムに接続してNSAの情報を入手し、ボルティモア・
サン紙記者に提供

10~11年 陸軍上等兵が、米軍ヘリによるロイター通信記者ら掃射のビデオなど
大量の電子ファイルを持ち出してウィキリークスに提供

10年 8月 国務省職員が北朝鮮に関する秘密報告をフォックスニュース記者に
漏洩

10年12月 CIAの元作戦担当官がイランの核開発に対するCIAの秘密妨害
工作に関してニューヨーク・タイムズ記者に情報漏洩

12年 4月 CIA対テロセンターの元情報官が、アルカイダ幹部の拘束や尋問を
担当した職員の名前をニューヨーク・タイムズ記者らに教示

 (肩書は事件当時。訴訟記録などから作成。容疑の一部は確定していない)

******

オバマ政権、情報漏洩を次々摘発 「厳しすぎ」批判も
http://digital.asahi.com/articles/TKY201306290164.html?ref=reca

 【ワシントン=望月洋嗣、ニューヨーク=中井大助】
オバマ米政権が、機密情報を流出させた政府関係者を、スパイ防止法違反容疑で
次々に摘発している。
28日までに米軍の元最高幹部も新たな捜査対象に浮上した。

 米国家安全保障局(NSA)の機密文書を流出させたエドワード・スノーデン容疑者 

(30)への訴追にも世間の視線が集中。
過去の政権より格段に厳しい取り締まりぶりを批判する声も米社会から出ている。

 米メディアによれば、米司法当局が捜査しているのは、米軍制服組ナンバー2の
統合参謀本部副議長を務めたカートライト元海兵隊大将。
オバマ大統領の信頼が厚く、米軍制服組トップの統合参謀本部議長への登用も
有力視された人物だ。

 カートライト氏は、オバマ政権がイランへのサイバー攻撃を極秘に指示していたと
いう機密情報を、米紙ニューヨーク・タイムズに漏らした可能性があるという。
攻撃は2010年に実施され、イランは核物質濃縮作業に必要な遠心分離器の
一部を停止させた。

 米司法当局は、ニューヨーク・タイムズが昨年6月にこの攻撃の詳細を特報した
ことを受け、スパイ防止法違反容疑などで捜査に着手した。
攻撃の中心的役割を果たしたカートライト氏も、捜査対象になった。

 同氏の弁護士はコメントを拒否。
ニューヨーク・タイムズは「秘密の情報源についてはコメントしない」としている。

 内部告発者に対するスパイ防止法違反の適用はオバマ政権下で急増。
レーガン、ブッシュ(子)政権でも報道機関への情報提供で1人ずつ訴追されたが、
オバマ政権では既に7人。このうち、公判に進んだ4人はいずれも、司法取引
などを通じてスパイ防止法罪が撤回されるなどしたが、「簡単に用いすぎだ」との
声があがっている。

 スノーデン容疑者から情報提供を受けたガーディアン紙のグレン・グリーンワールド 

記者は、同容疑者の行為について「多くの人は、何らかの法違反だということで
一致するだろう。
しかし、どのように考えればスパイ容疑なのか」と指摘。
「オバマ政権は自分たちに都合のいい機密情報は絶えずリークするが、自分たちに
とって恥ずかしいことや、悪いことを暴くリークが嫌いなだけだ」と批判している。


米国家安全保障局(NSA)
.
通信傍受・盗聴・暗号解読などの「信号情報」活動を担当する国防総省傘下の情報
機関。
1952年に発足。職員は3万人以上、予算も中央情報局(CIA)を上回るとされるが、
機密になっている。
米国に英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドが加わった英語圏5カ国の
傍受情報システム「エシュロン」の主導権を握っているとされる。
インターネット上の電子メールによる情報も収集しているとみられている。 



CML メーリングリストの案内